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【簡単】シマノ 油圧ブレーキホースカット方法【簡易エア抜き】

Mondraker Summuの油圧ブレーキホースが若干長めなのがずっと気になっていたので、先日ブレーキホースを5cmほど詰めて適正な長さにした。

油圧ブレーキというとエア抜き作業など面倒に思う人も多いかと思うが、ホースカットだけなら簡単にエアを抜くことができるので、意外とサクッとできてしまう。

今回の記事は、ブレーキホースカットと簡易エア抜き作業の紹介です。

 

ブレーキホースカット時のエア抜き作業手順

油圧ブレーキのエア抜きというとちょっと専門的な作業が必要と思うかもしれないが、レバー付近でホースカットするだけなら、レバー周辺にしかエアが入ってないので、キャリパー側からの作業は一切必要なく、レバーから簡単にエアを抜くことができる。

以下では、漫画絵でホースカット時のエア抜き手順を紹介する。

 

油圧ブレーキの構造

まずは簡単に油圧ブレーキの模式図を下図に示す。

レバー側のマスターシリンダー内のピストンを押すと、油圧ブレーキ内のブレーキフルード(油圧を伝える液体)の圧力が上がり、ブレーキキャリパー側のピストンが押し出されてブレーキディスクを挟みブレーキ力が発生させる。

この時、中学物理で習うパスカルの原理が働き、ブレーキフルード内の圧力は全ての場所で同じ圧力になるので、

例えば

  • 入力側マスターシリンダーのピストンの断面積を2
  • ブレーキキャリパー側のピストンの断面積4
  • ブレーキキャリパー側はピストン2個なので合計断面積は8

のようなピストン断面積のとき、ブレーキを踏み込み入力側マスターシリンダーで油圧Pを発生させると

  • 入力側マスターシリンダーのピストンを押す力は2xP
  • キャリパーが側のピストンを押す力は8xP

となり、4倍の力を得ることが出来きるのである。これが油圧ブレーキが大きな制動力を得ることができる仕組みである。

 

 

ホースカット時の簡易エア抜き手順①

さて、油圧ブレーキのホースをカットして長さを調節すると、当然一度ブレーキフルードが詰まっていた空間が開放されるので、エアが混入する。

ホースカットで油圧の密閉が開放。

 

ホースカットしてもう一度ブレーキホースが繋いでも、エアが混入してしまう。

 

とはいえ、この時のエアの混入はレバー付近に限定されるため、レバーから簡単にエアを抜くことができる。

レバーにブリーディング用のジョウゴをつけて、フルードを少し入れる。

 

この状態でレバーをストロークさせたりレバーをドライバーの柄で叩いてやると、空気は上に抜けるので、簡単にエアがジョウゴまで抜けてくれるのだ。

 

シマノ ブレーキホースカット手順

必要工具

  • ホースカッター
  • プライヤー
  • プラスチックハンマー
  • 8mmスパナ
  • 2.5mm六角レンチ
  • シマノブレーキ用オリーブ&インサート
  • ジョウゴ(シマノブリーディングキット)

コネクタのインサートだが、48Rは長年プライヤーでホースを摘んでプラスチックハンマーで挿入しているが、専用ツールを使えば簡単です。

↑これはホースカッターも一緒になっているので一台二役でおすすめ。

 

また、ジョウゴはシマノ ブリーディングキットに含まれているものを使っている。

シマノ ブリーディングキットはこれ一台でシマノの油圧ディスブレーキ全てに対応しているので(MTBもロードも)、買っておいて損はないキット。

 

 

 

シマノ油圧ブレーキのオリーブ&インサートについて

シマノ油圧ブレーキ用のオリーブとインサートだが、シマノはホース径が2種類あるので、それぞれに対応したものを準備すること。

 

ハイパワーのBH90とスタンダードのBH59がラインナップされており、ホースの外径はどちらも同じなのだが、内径(ホースの厚さ)が異なっている。

ハイパワーのBH-90のほうがホースが厚く、高圧力でもホースが膨らむ圧力損失が発生しにくくなっておりパワー伝達に優れるホースとなっているのだ。

 

 

自分のブレーキがBH90かBH59かは、下の互換表をご参考に。

 

 

ちなみに、アマゾンで販売されている10個セットとかの純正互換品は購入しない方がよい。

これ、オリーブが入りませんでした。。。

 

 

 

手順①任意の長さでホースカット

まずはホース根本についているカバーをずらして外す。

 

カバーを外すとコネクティングボルトが見えるので、8mmスパナでボルトを外す。

 

コネクティングボルトを外すとホースを抜くことができる。

 

任意の長さでホースカット

(ワイヤーカッターでやっているが、専用ホースカッターのほうが断面が綺麗に切れるのでベター)

 

この時、ホースからオイルが垂れると余計なエアが混入するので、ホースは極力上に向けておく。

 

 

手順②インサートとオリーブの取り付け

シマノのマニュアルでは万力にホースを挟んでプラハンで叩き込んでいるが、専用ツールがあればインサートの挿入は簡単。

 

48Rは専用ツールも万力も持ってないので、プライヤーでホースを挟んでプラハンで叩きます(シマノのマグラもこの方法でもできちゃう)。

 

下の状態でプラハンで叩く。

インサートの挿入完了。

 

専用工具もいいなぁとは思うのだが、使用頻度低いし代用できるものは代用しちゃいます(使用頻度低くても、代用できない専用工具は買うけど)。

 

手順③ホースの取り付け

ホースにカバー、コネクティングボルト、オリーブを通した状態でブレーキレバーに挿入する(カバー忘れないように!)

 

8mmスパナで5-7Nmで締め込む。

この時、ホースをレバーの奥に押し込まないとホースの位置が不適切になってオイル漏れの原因になるので注意。

また、オリーブの潰れでブレーキオイルをシールしているので、手ルクレンチとはいえ適正トルク付近になるように意識して作業すること。

 

最後にカバーをかけて、ホースの接続作業は完了。

 

 

手順④ブレーキオイルの簡易エア抜き

2.5mmの六角レンチでレバーのキャップボルトを取り外し、ジョウゴをセットしてシマノのミネラルオイルを注ぐ(下は注ぎ過ぎ、エア抜くだけなら1cmも注げば十分)

 

先述した通り、エアはレバー付近に少し入っている程度なので、この状態でブレーキレバーを何度もストロークさせるとエアが抜けていく。

 

レバーのストロークでエアが抜けなくなっても、ドライバーの柄などで叩いてたりして、しつこくエアを排出する。

 

エア抜きが完了したら、レバーにオイルをいっぱいまで浸して、オイルを溢れさせながらキャップボルトを締める。

 

最後にパーツクリーナーで溢れたオイルを洗浄して作業完了。

この時、オイル洗浄は徹底的にすること。オイルで汚れたままだと、オイル漏れしていても判別できないからだ。洗浄は整備の基本です。

 

 

シマノ油圧ブレーキの
ブレーキホースカットと簡易エア抜き作業まとめ

ホースカットだけなら記事で書いた通りレバーからだけの作業で十分エアが抜けるので、全工程でも30分くらいの簡単作業。

ホースが長くて気になってたのだが、やっと適正な長さでホース取り回しもスッキリして、作業して良かったです(ブレーキ組む時、ホースが短くなりすぎるのを恐れて、ついつい長めにしちゃうよね)

メンテナンスの参考になれば幸いです。

 









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