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【ジムニーリフトアップ問題】突入防止装置の現状まとめ

突入防止装置の新基準に端を発するジムニーリフトアップ問題。

まだまだ不透明な部分が多く解釈が割れている突入防止装置の新基準であるが、新基準発布以降の令和3年9月製造のジムニーがそろそろ3年経ち初回車検を向かえるタイミングなので、ひとまず現状をまとめてみた。

なるべく簡潔にまとめたつもりだが、解釈が割れている分部分については両方の解釈を書かせていただいている。そこらへんの事情がクリアになったら随時アップデートします。

(現時点では規制について完全にクリアになっていないので、巷で販売されている突入防止装置対応製品はまだ手を出さないほうが良いかと思います)

 

ちなみに原文はこちらで読めるが、日本語の表現が非常に難解で解釈が難しい(だから混乱するし、解釈に地域差がある状況になっている)。

8-37 突入防止装置

48Rの解釈も100%合っているわけではないので、間違いあったらご指摘ください。

 

 

突入防止装置とは

突入防止装置の役割

突入防止装置とはトラックの後部についている柵のような部品である。

 

トラックは車高が高いので、車高の低い車が追突すると下のような状態になる。

↑頭が。。。。

 

こうならないため、車には突入防止装置の装着が義務付けられているのだ。

 

 

突入防止装置がいらない車

突入防止装置は基本的に車には必須の部品だが、車側で突入防止装置に足る要件を満たしていれば装着は不要である。

ジムニーをはじめ突入防止装置を装着していない車は、新車の型式認定の時に車のこの部分が突入防止装置として機能すると申請している。

 

 

今回のジムニーリフトアップ出来なくなる騒動は、この突入防止装置が不要になる車体要件が、厳しい方向に改正されたためである(内容は後述)

 

突入防止装置新基準の原文(↓)の青字の部分。

(独立行政法人自動車技術総合機構審査事務規程抜粋)

8-37 突入防止装置
8-37-1 装備要件
自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車並びにこれらの自動車に牽引される後車輪が 1 個の被牽引自動車、後車輪が 1個の三輪自動車、大型特殊自動車(ポール・トレーラを除く。)、牽引自動車を除く。)の後面には、他の自動車が追突した場合に追突した自動車の車体前部が突入することを有効に防止することができるものとして、度、形状等に関し、8-37-2 の基準に適合する突入防止装置を 8-37-3 の基準に適合するよう備えなければならない。
ただし、突入防止装置を備えた自動車と同程度以上に他の自動車が追突した場合に追突した自動車の車体前部が突入することを防止することができる構造を有するものとして「次に掲げる要件に適合する自動車」にあっては、この限りでない。

上記の次に掲げる要件に適合する自動車」の要件改正が今回のポイント。

 

 

ジムニーはどこを突入防止として届けているか

ジムニーの場合はリアパンパーとフレーム後端のクロスメンバーを突入防止装置に相当する構造として届け出ている。

 

これら構造物は地上からの距離などが細かく規定されているが、この要件が厳しくなるのが今回のリフトアップ騒動の事の発端である。

 

 

突入防止装置の代わりとなる構造についての変更点

変更内容

突入防止装置の代わりになる構造だが、先に述べたバンパー部とラダーフレームのクロスメンバー部の2つがあり、どちらかが要件を満たせば突入防止装置は不要になる(両方満たす必要はない)。

それぞれ要件が異なるので、順に解説する。

 

なお、お触れ原文は大変理解しにくい日本語で書かれているのだが、当記事では次の解釈で読み取っている。

「その他の後面構造部」 = 「バンパー」

「その他車体の後面構造部」 = 「ラダーフレーム後端のクロスメンバー」

 

 

リアバンパーで測る場合

リアバンパーを突入防止装置の代わりとするには、次の要件を満たさなければならない。

リアバンパーの要件

  1. バンパー下縁は地上から550mm以下
  2. パンバーは自動車後端から450mm以下
  3. バンパーは車体全幅から左右100mm以下まで覆っている

ただし、突入防止装置の代わりになる構造として届け出ているのは純正バンパーの場合である。社外バンパーでも突入防止装置の代わりになるかは、今後注意すべきポイントである(全国のジムニーショップが陸運支局に事前確認を取っているが、「〇〇県はOKでした」「XX県は純正バンパーでないとダメでした」という事態になっており、ワケワカメである)。

 

なお、実はこのバンパーの要件は令和3年9月1日の新基準では変更されていない。

次に解説するフレームで測る要件が厳しくなりクリアするのが難しくなるため、こちらのバンパーで測る基準が今後重要になってくるというわけである。

 

 

 

フレームで測る場合

今回の新基準で厳しくなるのはこちらの基準。

 

従来の基準(平成27年7月26日から令和3年8月31日以前に製造の車)

ラダーフレーム後端クロスメンバーの要件

  1. ラダーフレーム後端クロスメンバーの下縁が地上700mm以下
  2. ラダフレーム後端クロスメンバーが自動車の後端から600mm以内
  3. ラダーフレーム後端クロスメンバーが自動車の幅の60%以上

 

令和3年9月1日以降の基準(令和3年9月1日以降に製造の車)

ラダーフレーム後端クロスメンバーの要件

  1. ラダーフレーム後端クロスメンバーの下縁が地上600mm以下
  2. ラダフレーム後端クロスメンバーが自動車の後端から600mm以内
  3. ラダーフレーム後端クロスメンバーが自動車の幅の60%以上

 

今回の突入防止装置新基準で厳しくなるのは、クロスメンバー下縁が地上700mmから600mmになる部分で、これがジムニーリフトアップにとってめちゃくちゃ大きな障壁となるのだ。

 

なんせ、純正車高でもクロスメンバー下縁から地面までの距離は560mm(コイルに個体差あるので、多少前後する)。

2インチ(50mm)アップすると610mmでもうアウトになってしまうので、このフレームで測る方法で基準内に収めるのは困難である。よって、今後リフトアップジムニーで突入防止新基準に収めるには、先述したバンパーで測る方が重要になってくるのである。

(ちなみに、従来の基準の700mmでは3インチアップ+大径タイヤでも基準内に収まるので、突入防止装置の要件は以前からあったものの、さほど気にする必要がなかった。)

 

 

突入防止装置要否の対象年式の整理

リフトアップ規制法の対象年式をまとめた表がこちら。

製造年月日 地面から
バンパー下縁までの距離
地面から
クロスメンバー下縁までの距離
平成27年7月25日以前 規制なし 規制なし
平成27年7月26日
〜令和3年8月31日
550mm 700mm
令和3年9月1以降製造 550mm 600mm

 

また、ジムニーの形式と製造期間は次のとおり。

形式 製造期間
JB23 10型 2014年(平成26年)7月〜2018年(平成30年)7月
JB64/JB74 1型 2018年(平成30年)7月〜2021年(令和3年)10月
JB64/JB74 2型 2021年(令和3年)10月〜2022年(令和4年)7月
JB64/JB74 3型 2022年(令和4年)7月〜2024年(令和6年)4月
JB64/JB74 4型 2024年(令和6年)4月〜

1型の末期(ほんのわずか)と2型以降が対象となる。

リフトアップ規制の緩いJB64/JB74 1型中古の価値上がるかな?

 

何インチアップするとアウトになるのか

何インチアップすると突入防止装置の新基準に引っかかるか検証してみた(車高には個体差があるので目安です)

 

純正リアバンパーの場合

タイヤサイズによっても車高が変わるので、タイヤ別に検証してみる。

 

純正リアバンパー+純正タイヤ

①地上から純正バンパー下縁までの距離
(〜550mm)
②地上からクロスメンバー下縁までの距離
(〜600mm)
純正車高 380mm 560mm
1インチUP 405mm 585mm
2インチUP 430mm 610mm
3インチUP 455mm 635mm
4インチUP 480mm 660mm

②の赤字部は基準を超えているが、①で550mmをクリアしているため、車検は問題なし。

 

純正リアバンパー + 225/75R16の場合(タイヤ半径27mmアップ)

ジムニーに装着するタイヤとしては大きめの225/75R16の場合。

①地上から純正バンパー下縁までの距離
(〜550mm)
②地上からクロスメンバー下縁までの距離
(〜600mm)
純正車高 407mm 587mm
1インチUP 432mm 612mm
2インチUP 457mm 637mm
3インチUP 482mm 662mm
4インチUP 507mm 687mm

②の赤字部は基準を超えているが、①で550mmをクリアしているため、車検は問題なし。

ジムニーの純正リアバンパーは重たいデザインで薄いショートバンパーに交換する人が多いが、突入防止装置としてみたら超優秀で、4インチアップでも車検は問題なしである。

 

 

 

社外リアバンパーの場合

社外バンパーの場合、そもそも突入防止装置の代わりとして認められるか、現在不透明である(各県の陸運局の回答がバラバラで統一されてない状況。今後統一見解がでる可能性があります)。

ただし、いったんそれは置いといて、社外バンパーでも突入防止装置の代わりになると仮定して検証してみる。

 

社外バンパーの場合、寸法はまちまちなので各々調査頂くとして、48Rが使用しているハイブリッジファースト(以下、HB1st)のリアショートバンパーを例にして考えてみる(48R号のデータをもとに検証してます。個体差やスペアタイヤ有無でも多少変わります)

 

HB1stリアバンパー純正タイヤの場合

①地上からHB1stバンパー下縁までの距離
(〜550mm)
②地上からクロスメンバー下縁までの距離
(〜600mm)
純正車高 468mm 560mm
1インチUP 493mm 585mm
2インチUP 518mm 610mm
3インチUP 543mm 635mm
4インチUP 568mm 660mm

4インチUPはまずアウト。3インチアップでも個体差があるので怪しくなってくる。

 

HB1stリアバンパー + 225/75R16の場合(タイヤ半径27mmアップ)

①地上からHB1stバンパー下縁までの距離
(〜550mm)
②地上からクロスメンバー下縁までの距離
(〜600mm)
純正車高 495mm 587mm
1インチUP 520mm 612mm
2インチUP 545mm 637mm
3インチUP 570mm 662mm
4インチUP 595mm 687mm

3インチアップではまずアウト。2インチアップもギリギリで車検が怪しいライン。

 

 

今回はHB1stバンパーでの検証だったが、チューブタイプのバンパーのようにもっと薄いバンパーの場合、基準をクリアするのはさらに困難になる。

 

 

社外バンパーが突入防止装置としてNGの場合

まじめに新基準の要件を読むと、純正バンパー以外は認められないと48Rは解釈しています。

 

HB1stリアバンパー + 純正タイヤ

①地上からHB1stバンパー下縁までの距離
 (〜550mm)
②地上からクロスメンバー下縁までの距離
(〜600mm)
純正車高 468mm 560mm
1インチUP 493mm 585mm
2インチUP 518mm 610mm
3インチUP 543mm 635mm
4インチUP 568mm 660mm

社外バンパーが突入防止装置として認められなかった場合、かなり厳しい!

2インチアップですでに基準を超えてしまうので、実質1インチアップしかできないことになる。

 

HB1stリアバンパー +225/75R16の場合(タイヤ半径27mmアップ)

①地上からHB1stバンパー下縁までの距離
 (〜550mm)
②地上からクロスメンバー下縁までの距離
(〜600mm)
純正車高 495mm 587mm
1インチUP 520mm 612mm
2インチUP 545mm 637mm
3インチUP 570mm 662mm
4インチUP 595mm 687mm

225/75R16を履きたい場合、1インチアップと組み合わせるだけで基準アウト(かといって純正車高に225/75R16は、フロントタイヤが干渉するので装着NG)。

うーん、社外バンパーが突入防止装置として認められなかった場合、かなり厳しい事態になる。

 

新基準適用車においては1インチアップしかできないうえ、タイヤの大径化もソコソコしかできないことになる。

 

 

突入防止装置新基準の対策

さてさて、リフトアップ規制法ともいえる突入防止装置新基準であるが、突入防止が不要になる要件を満たせなくても、突入防止装置をつけてしまえば車検をクリアすることができる。

 

対策品は各ジムニーショップさんから既に販売されているものがあるが、ここでも解釈が別れているので現時点ではすぐに手を出さない方が良い状況と48Rは考えている(実際に車検が始まるまで様子見が吉)

 

JB64/JB74用の突入防止装置

突入防止装置にも大きさと取り付け位置に要件があり、これを満たさないと突入防止装置として認められないし、車検もクリアできない。

要件は次の通り。

突入防止装置の要件

  1. 車体全幅から左右100mm以下まで覆っている
  2. 地上から突入防止装置下縁まで550mm以下
  3. 自動車後端から400mm以下
  4. 装置の高さが100mm以上
  5. 強固に取り付けられていること(3.5t以下の自動車は強度要件なし)

 

これを愚直に守って製品化したのがジムニースタジオ入間さんの突入防止装置。

基準を満たしているので、これなら車検で文句は言われまい。

 

 

社外バンパーが突入防止装置の代わりになる場合

社外バンパーが突入防止装置の代わりになるなら、メインのバンパーが550mmをクリアできなくても、クリアできる位置にサブバンパーを取り付けようじゃない、というアイデアでクリアする方法。

この場合、メインバンパーが地上から550mm以下の要件を満たさなくてもサブバンパーが550mm以下なので要件を満たしているでしょ、という解決方法(見ての通り高さサブバンパーの高さが100mmないので、突入防止装置としての要件は満たしていない。あくまで「サブ」のバンパー)

 

 

まだ確定ではないが、一応これでOKと回答している陸運支局もあるようだ(ただし、まだ実際に突入防止新基準の車検が始まってないので、もうしばらくは様子見したほうが良さそう)。

 

 

なお、車検の時だけ純正タイヤを履いたりバカ重いスペアタイヤつけて車高落としたりはダサいのでやめましょう。車検以外でもちゃんと基準に適合する車に乗るのが大人のジムニー乗りです。

 

 

 

突入防止装置新基準まとめ
(というか、愚痴)

まとめるために情報を色々集めるなかでふつふつと疑問が湧き上がったのだが、この新基準って、誰得??

トラックには以前から突入防止装置装置はついているので、今まで突入防止装置がついていなかったリフトアップしたジムニーやらハイラックスなどの四駆車に的を絞った改正にしか思えない。

ところが、ジムニーやハイラックスに追突したところですぐにリアアクスルに当たるので、車は潜り込むことはなくそれほど危険があるとは思えない。。

そこを100mm基準厳しくしてどうなるの??安全になるの??

突入防止装置要件改定の経緯をご存知の方がいらっしゃいましたら、コメント欄でこっそり教えてください。

 

また、令和3年9月1日以降製造のジムニーは2インチリフトアップするとクロスメンバーで測る方では既に基準外になるので、社外バンバーが突入防止装置として認められるかに注視しながら、対策練ってください。

 

以上、参考になりましたらコメントや、またSNSなどで拡散していただけると幸いです(もうすぐ突入防止装置新基準適用車の車検が始まるので、意見交換したいです)。

 

他にも「JB74ジムニーシエラ(☜クリック)」カテゴリーで様々なジムニーに関する記事書いてます。よろしければ、そちらの記事もどうぞ。







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