48Rが持っているのは2021-2022年モデルのちょっと古いATLASなのだが、けっこう特徴的なバインデンングなので、今更ながらだが自分のメモも兼ねてレビュー記事をアップする(2021-22シーズンにフルモデルチェンジして、それ以降は大きな変化がないので24-25Atlasもほぼ同じです)
簡単に言うと、硬めでしっかりブーツをホールドするバインで、がっつり板を立てたカービングや斜度のあるゲレンデで高速フリーランする人に向いています。
レビューする人
レビューする人はブログ管理人の48rider。
一応スノーボードは2010年からやっているのでそこそこの歴があり、2019年にTEC1も取っているので、一応普通にカービングはできます(TEC2は3点足りなくて落選)。
滑りのジャンルはカービング、検定、グラトリ、パウダー、バックカントリー、地形遊び、コブなど色々やる人です。
ちなみに検定はオールラウンダーとしての拘りでツインチップの板でダックスタンス(12,-12)という縛りでやってます。
UNION バインデンングの2つの系譜
ATLASの立ち位置を説明する前に、UNIONバインの大きな特徴を解説する。
UNIONバインデンングは様々なバインディングモデルをリリースしているが、大別すると「レギュラーディスク」と「ミニディスク」の2つの系譜に分類することができる。
レギュラーディスクのモデルは大きな面積のディスクと硬めのベースプレートの組み合わせで、ライダーのパワーをしっかりとボードに伝達するのを意識した設計思想。ゆえにレビュラーディスクモデルには、カービング向けやビッグエア向けなど、ハイスピードで滑る人に向いたバインが多い。
一方でミニディスクは硬いディスクの面積を最小限にしつつ、さらに柔らかいベースプレートを組み合わせることで、ボードのフレックスやライダーがボードの上で動きやすい設計思想になっており、ジブやグラトリ/ラントリなどに向いたバインが多くラインナップされている。近年はその動きやすいフレックスから、サーフスタイルのパウダー勢にも人気が出てきている。
UNION ATLASとは
UNION ATLASはレギュラーディスクを採用したモデルで、硬めのベースプレートに硬めのハイバックを組み合わせた剛性の高いバインディング。メーカーのフレックスレートは10段階中の8である(Unionでこれより硬いのはATLAS Proというテク選を意識したカービング特化モデルのみ)
さらにレギュラーディスクにはキャンバーディスクと呼ばれる金属プレートも仕込まれており、これがパワー伝達や反応の早さをさらに高めてくれる。
この部分はベースプレートもディスクもしならせることを意識したバートンとは180度逆の設計思想というのも興味深い。
フレックス狙いのバートンと、パワー伝達のUNION。
重量はMサイズで1007gとなかなかの重量級。
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剛性を狙ってゴツめの作りなので、重いのはしかたないでしょう。
UNION ATLASレビュー
硬さの確認
まずは室内で装着してみて、プレスなどして硬さを確認(雪の上より、滑らない床でやったほうが、バインの特性がよくわかります)。
第一印象は「硬っ!」
キャンバーディスク+硬いベースプレートで、足元がしならず、板のフレックスが上がったかのような感じ。硬い分、ライダーの動きはダイレクトに板に伝わりそうである。
そしてしっかりとしたホールド感もATLASの特徴。バインの剛性やストラップの硬さから遊びがなく、ブーツをしっかりとベースプレートに固定されている感じである。これはレスポンスや安定感はありそうだが、逆にうとルーズに乗りたい人にはホールドがしっかりしすぎているかも。
そしてハイバックも結構硬い印象。
全体的に剛性が高く、いかにも上級者モデルといった雰囲気だ。
滑走レビュー
ATLASといえばカービング!ということで五竜のグランプリ(写真撮り忘れたけど、UMPLID UNW8にATLASという組み合わせ)。
こういうところでは、良い、ものすごく良い。
グランプリはカービングバーンとしては結構斜度があるのだけど、しっかりとしたフレックスのベースプレートや硬いハイバックのお陰でハイスピードでも安定したエッジング可能。レスポンスも良くてカービングが楽しい!そしてしっかりしたホールド感は乗り手に不安を感じさせることなく、ついつい今までより速いスピードで滑れるほど(急斜面ハイスピードでもこけそうとか、エッジが抜けそうという怖さ感じにくい)
そしてUNION全般に言えることなんだけど、金属のヒールカップが薄くてヒールターンでドラグしにくいのもカービング勢に人気の所以。
評判通り、カービングには最高。
急斜面でバチバチに板を立てたカービングが楽しすぎる。
そしてハイスピードのフリーランもその安定感で乗りやすい。
斜度のある八方尾根スキー場でも、雪面が荒れてようがパワーで滑り抜けてしまう。地形で飛んだときもアプローチからランディングまでの安定感はさすがATLAS。
次にパウダー。
パウダーも結構いいよね。
安定感あるバインだから、ゲレパウでシュプール入りまくってもハイスピードでオラオラ行ける感じ。ただ、ホールド感が強くて板の上で乗り手が動きにくいので、ちまちま遊びながら滑るのはちょっとやりにくいかも。あと自分はやらないけどスノーサーフ系の滑りにも向いてないと思う。
白馬エリアの斜度のあるパウダーバーンを太板スキーヤーと一緒にチョッかる人向きです(笑)
ルーズさがないので、地形遊びも苦手かな。
バンクス遊びではホールド感の強さが逆に仇となって、動きを作りにくい。
最後に、緩斜面での低速グラトリは自分が下手になったかと思うくらい苦手。
ボードの上で前後に動きにくいのでプレス系の技はしにくいし、ベースプレート硬くて板がしなりにくいので反発ももらえない。。
例えると硬くてグラトリに向いてない板でむりやりグラトリやっている感じかな。ラントリだとスピードで反発もらえるので気にはならないけど、低速グラトリでの扱いにくさは想像以上だった。Atlasだとかなり脚力が持っていかれる。。
検証のために片方だけUNION ULTRAつけてみたら、ULTRAのほうがグニグニ動けるのに、ATLASはガチホールドされるので、やはり板の上での自由度はないバイン。
とはいえ、高速では自由度がない分ポジションが安定するので滑りやすいのだが。
ATLASレビューまとめ
がっつり剛性が高く、高速での安定感が高いのが特徴のATLAS。
剛性に振りまくっているので、オールマイティというより合う人にはあうが、合わない人にはとことん合わないバインだと思う。
48R的には次のような人にはおすすめする。
向いている人
- カービング勢
- 高速フリーラン
逆に次のような滑りのひとには全然向いてない。
向いてない人
- グラトリ
- 低めの速度で壁に当て込み(白馬ネタだがバンクスやパノ林とか遊びにくい)
- 初級者(硬すぎて滑りにくいだけだと思う)
また、合わせる板は硬めの板が相性が良いと思う。
ベースプレートやディスクが板のしなりを抑えてパワーを伝えるコンセプトなので、WRXのようなグラトリボードでは足元だけ変にフレックスが硬くなるので相性良くなかった。
硬いフレックスの板だとバインの剛性とも相まって、パワー感やハイレスポンスが活きてくる。
以上、なかなか特化したバインディングで面白かったので、レビュー書いてみました。
TECテストのように、斜度のあるバーンで左右均等なカービングを安定してするには、けっこう武器になると思います!