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【MTB】電動コンポはスタンダードになるのか?2シーズン使って感じたメリット/デメリットについて

SRAMが先駆けて進めている自転車コンポの電動化。

電動コンポはフロントシングルのようにこの先MTBのスタンダードになるのだろうか?という疑問を抱いたので、実際にSRAMの電動コンポを購入して、2シーズンしばき倒して実感したメリットデメリットについてや、その先の電動コンポの可能性について書いてみる。

 

SRAMの電動コンポシリーズ

SRAMの電動コンポについて、まずは理解しやすいようにシリーズ体系から軽く解説する(覚えておくと便利)。

SRAMではコンポのグレードごとに下記の名称がつけられていて、下表のように左に行くほどグレードの高いコンポになっている。

高い 安い
XX(クロカン)
X0(エンデューロ)
GX NX SX

 

Shimanoのグレードで言うと、

  • XTR = XXやX0
  • XT = GX
  • SLX = NX
  • DEORE = SX

というような感じである。

 

また、SRAMではグレードの後についてくる用語でコンポの機能がおおよそ分かるようになっていて、各用語は次のようになっている。

  • Transmission(=T-Type) = UDH(ユニバーサルディレイラーハンガー)
  • AXS = 電動コンポ
  • EAGLE = 12速コンポ

※TransmissionはUDH以外にもディレイラーが堅牢になったり変速性能が向上した進化バージョン。

 

と言うわけで、GXグレードを例にとって下表にコンポの名称と機能をまとめてみた。

UDH 電動 12速 11速以下
GX Eagle AXS Transmission X
GX Eagle AXS X X
GX EAGLE X X X
GX X X X

この中でもAXSがついているコンポが、今回のお題の電動コンポである。

 

電動コンポの重量

電動コンポってバッテリーが付いててディレイラーが重そうだが、シフターはスイッチだしケーブルないしで軽そうである。

というわけで、総重量として電動/ワイヤー式コンポどちらが重いのか、カタログ重量を下表にまとめてみた。

EAGLE AXS Transmission EAGLE AXS EAGLE
ディレイラ シフター 合計 ディレイラ シフター 合計 ディレイラ シフター 合計
XX 450g 50g 500g 373g 68g 441g 265g 124g 389g
X0 466g 50g 516g 390g 68g 458g 276g 124g 400g
GX 470g 50g 520g 454g 68g 522g 300g 122g 422g

電動コンポは多少シフターが軽いとはいえ、やはりバッテリーやモーターが組み込まれたディレイラーは重く、総重量はどのグレードでも電動コンポが重い結果となった。

とはいえ、100g程度の重量差なので、よっぽどの軽量化マンでなければ気にするような重量ではないと思う。

 

 

48Rが使用しているGX AXS

48Rは電動コンポのなかでも一番安価なGX EAGLE AXSを使用している。

買うタイミングにもよるが、GX EAGLE AXS UPGRADE KIT(クランクなどは使い回して、ディレイラーとシフターを電動化するキット)なら10万円以下で購入可能だ。

あとから詳しく書くが、AXSで一番廉価なGXグレードでも電動化の恩恵は十分受けることはできるので、レースでコンマ何秒を競うのでなければGXグレードで十分と思っている(XX1やX01との違いは重量のみで、電動変速機能は同じ)。

 

 

GX EAGLE AXSのインストール

電動コンポのインストールは通常のワイヤー式のコンポに比べて超簡単だ。

通常のディレイラーの場合、最近多いケーブル内装フレームだと

  1. フレームの中にアウターケーブルを通す。
  2. アウターケーブルをハンドル周りやリンク間、ディレイラー周辺の取り回しを考慮して適切な長さでカットする。
  3. インナーケーブルを通す。
  4. インナーケーブルをディレイラーに接続する
  5. インナーケーブルの端部をほつれないように処理する。
  6. 少し乗ったらインナーケーブルの初期伸びがでるので、ディレイラーを再調整する。

などのケーブルに関わる工程がたくさんあるが、無線式の電動コンポだと一切なし!!

シフターを取り付けて、ディレイラーを取り付けて、マニュアルに沿ってディレイラーを調整するだけで完了!

自分でフレーム組みする人なら分かると思うが、フレームの中にアウターケーブルを通す大変さや頭を悩ませるアウターケーブルの長さ決めをすっ飛ばせるのである!

インストールはワイヤー式ディレイラーに比べめちゃ簡単でした。

 

ちなみに、AXSのマニュアルは日本語で用意されているので、自転車メンテができる人ならそれほど苦労せず取り付け可能だと思う。

EAGLE AXSのマニュアル

EAGLE AXS TRANSMISSIONのマニュアル

 

 

GX AXSを2シーズン使って感じた
メリットデメリット

2シーズン、週末ライダーの自分が実際に使い倒して感じたメリットデメリットについて、書いてみる。

(なお、乗り手はそれほど上手くないおじさんです)

 

電動コンポのメリットについて

メリット①抜群の操作性

AXSディレイラーが正確かつどんな時でも素早くシフトするので、上りでペダルにトルクがかかってようがお構いなしに素早く軽いギアに切り替わるし、逆に下りのシフトアップでもワンプッシュで複数段のギアアップするなど、あらゆるシーンでスムーズかつ素早いシフトチェンジが可能になっている。

また、ギアが切り替わる際のショックやガチャ音も小さく、シームレスな変速を実現している。スコスコギアが変わるから乗ってて気持ち良い!一気にギアを切り替えたい場合は、ワンプッシュではなくシフターのボタンを押し続けることでマルチシフトも可能となっている(スマホアプリの設定で、マルチシフトの有無や、押し続けた場合の最大変速数も設定可能)

 

ワイヤー式コンポだと急登でペダルに大トルクをかけた状態ではうまくギアが変わらないので一瞬だけペダルのトルクを抜く小技を使ったりするが、GX AXSならその必要がないので、難しい上りセクションでもライン取りやトラクションの掛け方に集中してライドすることができた。シフトチェンジが多いトレイルの上りでは、想像以上に電動化の恩恵は大きかった。

 

また、シフターは単なるボタンなので、ギアのアップダウンを任意のボタンに割り付け可能だ。

↑設定で動作を逆にもすることができる。

 

どんな感じで変速するか、GoProをチェーンステーに取り付けて動画も撮ってみた。

ペタルの邪魔にならない位置にしか取り付けできなかったので、カメラアングルいまいちでよくわからないよね。。(変速の素晴らしさを伝えたかったのだが)

 

ちなみに、シフトワイヤーの伸びも考慮する必要がないので、一度初期調整をしてしまえば、2年間でライド中にシフトの調子が悪くなったことは一度もない。唯一ホイール交換した時にちょっとだけ調子が悪くなったことがあるが(ハブなどの個体差でスプロケの位置が微妙にズレた)、シフターのスイッチまたはスマホアプリを用いて0.2mm単位でガイドプーリの位置調整がでできるので、簡単にアジャスト可能だ。

 

 

 

メリット②シフター操作が軽い

通常のディレイラーはディレーラーのバネでシフトケーブルを引っ張っていて、その綱引きでシフトチェンジをしている都合、シフターのレバー操作が重いし、ペダルに大トルクがかかっている状態ではシフトレバーが動かせなかったりする。

一方で電動コンポのシフターは単なるディレイラーを動かすスイッチでしかないので、重いだの軽いだのがなく、スイッチを押すだけでシフトチェンジ可能だ。

 

また、最新のTransmissionではシフターはボタン化!

なんか未来感あるよね。

 

 

メリット③防水性も心配なし

野外で使用するものなので防水はバッチリ。雨の日走って泥だらけになっても、ざぶざぶホースで水をぶっかけて全く問題なし。

さすがに高圧洗浄機は避けているが、2年間この洗い方でトラブル出たことはないので、電動コンポだからといって特に扱いに気を使う点は全くない。

 

メリット④ケーブルが減って見た目スッキリ

ハンドル周りやディレイラ周辺からシフトケーブルがなくなるので、ちょっとだけ見た目がスッキリ。

 

ちなみに、ENDURO S-WORKSのフレームには、アウターケーブルをフレームに通さない場合の穴埋めプラグも付属してくる。

電動コンポの採用が多い最近のバイクでは当たり前部品なのかな!?

 

また、お手持ちの内装ケーブルのバイクを電動化した場合、シフトワイヤーが通っていた穴は塞いだ方が良いので、アマゾンなどで適当な径の汎用ホールプラグが使えそう。

 

 

メリット⑤インストールが簡単

記事前半でも書いたが、MTBをフレームから組むときって、ワイヤーの取り回しやアウターケーブルの長さを決めが意外と面倒。その作業が一切なくなるので、ディレイラーを組むのが超簡単になる。

この簡単さを味わうと、これまたアウターケーブルの取り回しが面倒なドロッパーポストも無線電動が欲しくなる程である(電動ドロッパー高くて買えないけど)。

 

 

電動コンポのデメリットについて

デメリット①価格が高い

MTB乗りならディレイラーを壊した経験がある人も多いだろう。そんな時に気になるのがディレイラーの交換費用。

Sramの電動/非電動で2024/9/16現在の定価ベース(税込)で価格をまとめてみた。

EAGLE AXS Transmission EAGLE AXS EAGLE
ディレイラ シフター 合計 ディレイラ シフター 合計 ディレイラ シフター 合計
XX 115,170 26,620 141,790 196,020 55,990 252,010 80,960 45,540 126,500
X0 97,460 26,620 124,080 140,030 55,990 196,020 54,670 41,360 96,030
GX 70,840 26,620 97,460 97,570 39,620 137,190 28,430 10,340 38,770

まとめてみて気がついたけど、最新のTransmissionのほうが安いのね。

とはいえ、どのグレードでもAXSのディレイラーは非電動に比べてお高い設定。

ディレイラーはMTBの部品でも壊しやすい部品である。もし壊した場合の修理費用が高いのは痛いし、MTBショップだってこんな高い部品を常時在庫しているショップは少ないので、パーツの入手性にも難があるだろう。昔48Rがレースしていたときも、ディレイラーは部品の入手性を重視してずっとshimanoのミドルグレードを使っていた(XTやZEEなど)。Shimanoのミドルグレードのリアディレイラーなら1万円前後なので予備で持っとくかとなるのだが、さすがにAXSのディレイラーを予備で持つのは金銭的に無理である。

 

ま、お高いディレイラーなので心配はしているものの、ディレイラーが障害物にぶつかったらモーターとディレイラーを切り離すクラッチ機構がついているので、意外と壊れにくいのかもしれない。なんせ、この前ディレイラーハンガー折れたのに、GX AXSディレイラーは無事だったのだ。

 

 

デメリット②バッテリーが切れると動かない

電動コンポの欠点はバッテリーが切れるとディレイラーを動かせなることだ。電池が切れたポジションから動かせなくなるので、中間ギアで切れた場合は潰しが効くが、トップギアやローギアでバッテリーが切れてしまうと非常に乗りにくい状態になってしまう。。

 

満充電すると25時間くらい使えるが、長く使えるだけに充電を疎かにしがちで、これから乗るぞという時に電池切れというのを何度かしてしまった(乗らない時は自動OFFになるので電池の無駄な消費がなく、充電するのは1ヶ月に1回程度)

一応、ディレイラーには電池残量が少なるなると赤く光るカラータイマーがついているが、ついつい見逃しちゃうのよね。

 

また、正確な電池残量はスマホアプリとペアリングするとこで確認できるが、スマホとペアリングなんて面倒臭いのでまずやりません。

 

バッテリー切れには注意しましょう。

ちな、全日本タイトルを何度も取っているプロライダーでもうっかりバッテリ切れやらかします(笑)

 

 

 

電動コンポまとめ

記事タイトルの電動コンポはこれからのスタンダードになるか?だが、現状ではノー。

ただし、今後電動コンポが通常コンポの1.5倍くらいの値段まで安くなれば、一気に普及は進むと思う。

 

いや、変速性能は素晴らしいしメリットがたくさんあるのだが、ワイヤー式コンポで困っていたか?と言われると別にワイヤー式でもそれほど困ってないし、素晴らしい変速性能を手に入れるために10万円出すかと言われると、コストに見合ってないかなと感じている。

 

48Rは電動コンポを一度は使ってみたかったという思いがあって購入したが、次に購入するMTBにワイヤー式コンポが付いていても、あえて電動化はせず、そのまま使うだろう(完成車から電動コンポがついているのはウェルカムだけど)。次に10万円MTBに注ぎ込むなら、電動コンポではなく予備のホイールセット買います。

 

というわけで、現状では電動コンポがスタンダードになることはなく、一部ハイエンドバイクに採用という今の立ち位置はしばらく続くと思われる。

また、将来技術革新でバッテリーやモーターが安く作れるようになりワイヤー式コンポとの価格差が少なくなってきたのなら、その時は一気に普及が進むだろうと思う。だって価格以外は大きなデメリットはないのだから。

 

つらつらとりとめのない個人的感想を酔っぱらいながら書いてきたが、最後に一言。

10万円ポンと出せるなら、電動コンポは絶対満足します!セミオートマ感覚でスパスパシフトが変わるのは気持ちが良いです(笑)

結局は趣味なので、コスパ云々よりグレードアップしたバイクを見てニヤニヤ酒が飲める人が優勝です。







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