安物コンデジはスマホに地位を奪われ、最近はワンランク上の画質が得られる1型センサー機が流行しているようだ。
48Rもその流行に乗り、スマホ以上の画質、そして便利なカメラが欲しく、パナソニックのハイエンドコンデジLUMIX TX1を購入した。
あまり高倍率機がない1型センサー機の中にあって、こいつの守備範囲は35mm判換算で25~250mm相当の10倍ズーム。画質と便利さの二つを考慮すると、唯一無二の存在で、まさにプレミアムコンパクト。
自分の撮影対象はスノーボード、スキーの滑走がメイン。
引いて景色と一緒に滑り手を写しこんだり、ダイナミックにアップで滑り手を大きく取ったりと高倍率レンズは必須。そして最近の1型センサーは画質がとても良い。さらにレンズ、ファインダーが本体から飛び出さないデザインで、持ち運びも楽でウェアのポケットに入れて滑っていても全く気にならない大きさだ。
48Rの場合、バックカントリー(山を自力で登って滑る)もするので、重量が軽いことも非常に嬉しい。
アウトドアシーンで外に持ち出して使うカメラとしては、大満足の買い物となった。
購入経緯:小さく軽いカメラが欲しかった
ミラーレス機+便利ズームの大きさ、重さに嫌になった。
今まではAPS-Cのミラーレス機、NEX-5Rで撮影していたのだが、この大きさ、重さである。1kg超え。いくらコンパクトなミラーレスでも18-200mm相当のレンズをつけると機動性なんてあったもんじゃない。
最近は大きさがネックで持ち出す頻度が激減。いくら良いカメラでも持っていかなければ意味がない。
もっと気軽に持ち出せて、iPhoneプラスアルファの撮影ができるカメラが欲しくなった。
そこで目をつけたのがコンデジの高倍率ズーム機。
48Rは以下の点を重視してTX1にした。
カメラサイズ:ポッケに収まるサイズが欲しい
高倍率機でも、レンズやファインダーがボディから飛び出しているデザインは、ウェアのポケットに入れて持ち運びたいという48Rの用途から外れすので除外。
CANNON PowerShot SX430。こういうコンデジに一眼レフのようなレンズをつけましたよ的なものは除外。
センサーサイズ:画質を考えると1型以上のサイズは欲しい
画質を決める上でセンサーサイズは重要だが、カメラのサイズ、レンズも同時に大きくなるので、機動性を重視するならどこかで妥協が必要だ。
とくにセンサーサイズに比例して大きくなるがレンズ。高倍率レンズや明るいレンズは、フォーサーズ機以上ではコンデジの枠に収まらない。ギリギリ高倍率でコンデジサイズに収まるのが1型センサーのTX1だ。
3万円程度のコンデジでよくある30倍ズーム機などは1/2.3型センサーが多い。上の画像を見てもらうと一目瞭然、1型に比べるとかなり小さく画質には不利。
焦点距離:10倍ズームは魅力的
TX1を唯一無二の存在にしているのは焦点距離だ。
1型センサーサイズ以上のコンパクトカメラというジャンルで、センサーサイズと焦点距離をまとめたのが下の表だ(下2行はおまけ。一般的なコンデジセンサーサイズの1/2.3型機のTZ85、さらにiPhoneを加えた)。
カメラ | 焦点距離 | センサーサイズ | |
ワイド端 | テレ端 | ||
TX1 | 25 | 250 | 1型 |
LX9 | 24 | 72 | 1型 |
G7X M2 | 24 | 100 | 1型 |
RX100 M5 | 24 | 70 | 1型 |
LX100 | 24 | 75 | フォーサーズ |
GR Ⅱ | 28 | APS-C | |
RX1 | 35 | フルサイズ | |
TZ85 | 24 | 720 | 1/2.3型 |
iPhone7 | 28 | 1/3型 |
さらに横軸にセンサーの面積、縦軸に焦点距離をとってグラフにしてみた。
右に行くほど画質に有利で、上下に線が長いほど焦点距離のレンジが広い。
こうやってみると、TX1のレンジの広さが突出している。もちろん、TX1は他に比べレンズが暗いなどの欠点もあるのだが、一台でいろんな撮影をこなしたい場合はこの便利ズームは魅力的だ。
ちなみに48Rの場合はレンズの暗さはあまりデメリットではない。晴天のスノーボード写真などは、周りが明る過ぎるくらいなのだ。
おまけで、1/2.3型機、iPhoneも追加したグラフも追加する。
それにしても、フルサイズ機のセンサー面積は圧倒的だ。1型機の8倍以上の面積。段違いの画質、ダイナミックレンジというのも頷ける。
横軸がかなりフルサイズの面積に引っ張られて、1型センサー機の普及コンデジに対するメリットが分かりにくいので、フルサイズ機を除いたグラフも作成した。
こうやってみると、1型センサー機は1/2.3型センサー機やiPhoneの4倍以上のセンサー面積でしっかりメリットがあることがわかる(TZ85の光学30倍ズームも、これはこれで便利だけど)。
雪山撮影ではEVFが欲しい
晴天下の雪山では周りが明るすぎて背面液晶が見えない。やはりファインダーは必須。
sonyのRX-100 M5もEVF付きで魅力的な機種だが、残念ながら焦点距離のレンジが不足。
TX1はポップアップではないEVFがついている。
以上を考慮して
コンパクトなボディ、なるべく大きなセンサーサイズ(1型以上)、高倍率レンズ、EVF付きと考えるとTX1一択となった。
24mm-70mmの焦点距離から選ぶと各社からプレミアムコンパクトを選択できる状況だが、「高倍率ハイエンドコンデジ」という選び方では、現状TX1しか選択肢がない。
実機レビュー:小さくても凄いヤツ
真っ黒で硬派な外観。
個人的には、すごく好みなデザイン。
やはり男のカメラは真っ黒に限る(独断と偏見)。
【SPEC】
・撮像素子:2010万画素1型高感度MOSセンサー
・レンズ:25~250mm相当(35ミリ判換算)、F2.8~5.9
・モニター:3型/約104万画素
・サイズ:W110.5×H64.5×D44.3mm/約310g(電池等含む)
レンズがF2.8からと、他のプレミアムコンパクトより暗いが、25-250mmの10倍ズームが特徴だ。
サイズ感:コンパクトで気軽に持ち出したくなる
高倍率レンズだが、本体はコンパクト。他の24mm-70mm程度の焦点距離の1型センサーコンデジと同程度。重量は約310g。小さいのでぎゅっと詰まった感じで重く感じるが、気になるほどではない。
電源オンでそれなりにレンズは飛び出すが、電源オフでコンパクトになるので全く不便はない。
NEXに比べ随分コンパクトになった。
カメラがポケットに入るサイズになると、急に携帯率が上がることがわかった(笑)
余談だが、上の画像をだと、APS-CセンサーのNEX-5Rのほうが本体は小さい。やはりカメラサイズを小さくする上でネックになるのはレンズなのだ。
ホールド感:グリップがイマイチ
持ちにくい。
理由はグリップの出っ張りのなさと、表面がツルツルしているからだ。
とくにスノーボード中の撮影など、インナーグローブで操作することが多いので、滑って落としそう。
ゴム板でも貼ろうか。
*追記*
持ちにくさ改善のため、貼り付け式の追加グリップを購入しました。
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背面液晶:解像感のよい液晶画面。チルトがないのは残念。
Sony NEX-5Rに比べ見やすくなった!
バリアングルだったらもっと良かったのだが、それでも見やすさ、解像感、タッチパネルの反応は上々。ストレスなく使える。
背面液晶の解像感は個人的に超重要。撮った写真が上手く見えるからだ。逆に背面液晶がしょぼいカメラだと、上手く取れた写真でもカメラ確認時では綺麗に見えないので非常に残念。
定番の保護フィルムは買ってすぐ貼り付けた。
操作系:ボタンは小さいが、コンパクトとしては及第点
調整系は上部ダイヤルとコントロールリングでストレスがない。また、タッチパネルでAF位置の選択もスムーズで使い易い。タッチパネルは薄手のグローブをしたまま操作可能だった。
ボタン類はコンパクトカメラなので仕方ないが、スノーボード時の薄手のインナーグローブをしたままだと多少押し辛い。ま、これ以上ボタン配置にゆとりを持たせると、本体を大きくするか、液晶を小さくするしかないので、しかたない部分ではあるが。。
総じて、このサイズのカメラでは及第点だろう。
操作系のインターフェイスは、NEX-5Rに比べると、TX1は各種機能の呼び出しや設定変更など、直感的に分かり易い。タッチパネルベースの操作がやりやすく、タッチパネルの設定ボタンを押すと、そこにぶら下がっているメニューが数種現れたり、簡単に目的の機能まで到達できる。
NEX-5Rとは世代も違うのでアレだが、操作性は大きく向上した。
USB充電:必須装備
コンセントなくとも、モバイルバッテリーやパソコンからでも充電できるので便利。もはや必須よね。
EFV:あまり期待しないほうが良い
これは期待していただけに、残念だった。
アイカップがないので、目をファインダーに密着できず周辺の光が入り込んで見にくいうえ、0.2型 約116万ドットのモニターが小さすぎる。井戸の底を覗き込むような感覚だ。
EVFはメインの雪山撮影では周りが明るすぎて背面液晶が見づらいので、是非とも欲しかったのだが、アイカップがないので周りの光が入り込んで結局背面液晶が見にくい。それを避けようと画面に目を近づけると、今度はまつ毛がEVFにあたるので非常に不快。ファインダー像が小さいのでピントの山も掴み辛いし、構図も分かりにくい。
NEX-5Rで使っていた235万画素の外付けEVFとは雲泥の差。こちらは雪山撮影で大いに活躍してくれた。
さらにNEXはファインダーの向きを上にもできるのも、今思えばローアングル撮影で使いやすかった(今はファインダーはドナドナしてしまったが)。
さらにいうと、sonyのRX100シリーズのEVFも出来が良い。
こちらはポップアップで大きなEVFが本体から飛び出す仕組み。アイカップもあるので、目を密着することもできる。NEXの外付けEVFには敵わないが、十分実用的。
雪山ではEVFメインの撮影を考えていたのだが、とても無理。おまけ程度のEVFだった。。。
フラッシュ
個人的にはなくても良いのだが、一応ついているのでレビュー。
ポップアップ式でレンズの光軸上に配置。可もなく不可もない使い勝手。
撮影レビュー
と言っても、基本フルオートjpeg撮影の素人目線です。あしからず。
雪山撮影:AF追従、レスポンス上々
AFはけっこう早く、追従性も良い。
スキースノーボードには、フォーカス設定を動体予測(AFC)、追尾モードにしておくと、滑走者を撮る時でもAFが迷うことなく不満のないレベルで使えた。撮影のモードを記録するカスタム設定も3種登録できるので、雪山撮影向けを一つ登録しておくと便利だ。
ちなみに、滑走写真は4Kフォトと呼ばれる4K動画からの切り出し写真。スキースノーボード滑降のように連続した動きのあるものを撮影するのに便利。もちろん4Kフォト撮影中のAFの追従も調子が良い。
手振れ補正は強力。遠くの被写体を最大ズームで捉えても、ファインダー像はピタッとしている。
48Rのような素人には十分満足な画質で、パソコン鑑賞ならAPS-C機に便利ズームの旧システムと違いがわからない。
暗所:レンズは暗めだが、高感度。
近所の駅で片手持ちフルオートで撮影(2歳の娘を抱きながら)。
ISO1600 SS1/20
iso3200 SS1/60
強力な手ブレ補正と高感度性能。
片手電源オンだけでこれだけ撮れたら、トーシロの自分は満足です。
ノイズはさほど気にならないレベル。両手できっちりカメラ持てば、もっとシャープになると思う。
夜景追加。ハウステンボスのイルミネーションをフルオートで撮ってみた。
子供と手をつなぎなら片手撮影でこれだけ撮れたら満足です。
マクロ:5cmまで寄れる!
かなり寄ることができる。
趣味の煮卵を撮ってみた(牡蠣出汁醤油で味付け。黄身はとろりと半熟で絶品です)。
あまり明るくないレンズだが、寄ればそれなりに背景をボカすことができる。
最短撮影距離は5cm。
動画
なかなか動画を撮る機会がないので、良いのが取れたら更新します。
まとめ:1型センサー全部盛りカメラは外遊びのお供に最適
狙い通り、最近の1型センサー機ならではの高画質と、APS-C機に対する圧倒的軽量性。
APS-CのNEX-5Rに比べてもパソコン画面のフル表示程度なら画質にほとんど差がなく、その上体積、重量ともかなりのダイエットができた。
さらに小さい上に高倍率ズーム、EVF、1型センサと欲しいところが全部盛り。
アウトドアスポーツで使うので荷物を減らしたいが、撮影の幅となるべく画質は落としたくない自分には、一台で色々とこなせるTX1はとても重宝するカメラ。カメラを持ち出す頻度も上昇し、本当に買ってよかった。
改良して欲しい点を挙げるならば、EVFの使い勝手が悪い。次機種にはsony RX100シリーズ並みに使えるEVFを搭載して欲しいところ。それさえ改善されれば、まさに最強プレミアムコンパクトカメラ。
次機種で改善されたら、絶対買い替えますよ、パナさん!