ちまたでは4型ハイエースになって乗り心地が向上したとのウワサだけど、自分が乗った感じ、少しは改善したけど、まだまだ商用車レベル、というのが正直な感想。
4型を購入する前は乗り心地良いというウワサ話を仕入れていたのだが、過度な期待は禁物、結局乗り心地の進歩の度合いはドングリの背がちょっと伸びた程度でした。
そこで、今回は1型で10万キロ、4型で4万キロほど乗ったワタクシメが、走りのシーン別にインプレッションと、なぜ乗り心地が悪いのか、原因を考察してみた。
ハイエースのサスペンションと乗り心地について
ハイエースの乗り心地の悪さの原因は、そもそも商用車で1000kg積み設定ということが大きい。
荷室に最大積載の1000kgを積んでもサスペンションがフルボトムせずに衝撃を吸収する余裕があることが前提の設計なので、空荷や荷物が少ない状況だと、サスペンションが硬すぎるのだ。
とくにセカンドシートは硬いリアサスペンションに近く、その影響をかなり受けている。そりゃあ乗り心地が悪いわなぁ。
反面、フロントサスペンションは空荷でもフル積載でも荷重があまり変わらないため(荷物は後ろに積むので)、それほど荷物を積んでいない状態でも適度に衝撃は吸収している。運転席に限って言えば、やや硬質なものの、乗り心地に大きな不満はない(48Rの主観だが)。
つまり、ハイエースの乗り心地の悪さは、乗用車用途としては、強烈に硬いリアサスペンションのせいなのだ。
ハイエース1型⇒4型で乗り心地は良くなったのか?
1型で10万キロ、4型で4万キロほど乗った感想。
グレードはスーパーGL 4WD 3Lディーゼル。
市街地走行
市街地走行でハイエースの乗り心地で一番気になるところは、路面の段差、駐車場に入るときに乗り上げる歩道の段差など。
1型の頃はスピード出して段差に突っ込むと、セカンドシートはお尻が浮くほどの突き上げがあった。もうね、ドッカーンって感じで体が宙に飛び跳ねる。
さて、4型は。
これに関してはちょっとマシになった程度で根本的には解決していない。
ドッカーンが、ドカーンになった程度で、お尻が浮くのは変わらない。もちろん荷室に積みっぱなしの工具箱やら自転車用品も盛大に飛び跳ねる(子供はアトラクションみたいで喜んでいるが)
まだまだ商用車バンという感じた。
山岳路
ハイエースは背が高い車ながら、足回りが硬いので、カーブでのロールはマシなほう(あくまで、ワンボックス、ミニバンでの比較)。
さて、4型は。
これに関してはほとんど変化なし。
従来通り、まあまあ許容できる乗り心地。よっぽどのハイペースでなければ、山岳路で車酔いすることもないだろう。
ただ、路面の継ぎ目や陥没を抜けるときは前述のリアサスペンションの硬さで、セカンドシートは尻が跳ねるのは変わらない。
ちなみに、以前代車で借りたワイエースワゴンGLはミドルルーフの背の高さとワゴンリーフによる足回りの弱さで、山岳路ではかなりロールが酷く車酔いしやすかった。
高速道路
1型の頃はやはり路面の継ぎ目(高速道路なので、大きな段差ではないが)で硬質な突き上げで、けっこう疲れる乗り心地だった。
さて、4型は。
これに関しては、結構良くなった。
高速道路のように大きな段差がなく、小さな段差を高速で走り抜けるようなシチュエーション(サスペンションに対しては、短いストロークで入力スピードが速い)に関しては従来より吸収性が良くなって高速巡航が楽になった。
ここでも余談だけど、ハイエースワゴンGLは足回りが柔らかいので高速道路はふわふわして落ち着かない。
バンとは違う足回りのワゴンGLの乗り心地に関しては別記事でまとめているのでご参考に(→スーパーGL vs. ワゴンGL比較記事)。
1型→4型乗り心地比較まとめ
というわけで、1型と比較すると乗り心地は少しは良くなっているけど、大きくは進化しておらず、所詮商用車というレベルのままだ。
そもそも1000kg積み設計なので、空荷に近い状況でサスペンションストロークを有効に使うには無理がある。
純正のままでは劇的な改善など、望むべくもない。
なぜ乗り心地が悪いのか、サスペンションの構造を見てみる
まずハイエース200系のサスペンションについて理解しよう。
(ブログにまとめると自分の勉強にもなるなー)
フロントサスペンション
トーションバーというサスペンションが使われている。
サスペンションというとコイル式のバネを想像する人が多いと思うが、ハイエースのフロントに採用されているサスペンションはトーションバーと呼ばれる金属の棒(画像の黒い棒)。
金属の棒を捩じると元に戻ろうとする力をバネとして使用している。
え、金属の棒で?と思うかもしれないが、戦車にも採用されているサスペンション。
構造が簡単な為,部品点数も少なく,コンパクト,軽量なのだ。
↓こんな感じの構造(他車種概念図)
トーションバーが捻れるのが、コイルスプリングの圧縮に相当する。
リアサスペンション
リーフ(板バネ)スプリングが用いられている。
ドラムブレーキの後ろに見える細長い板状のものが板バネだ。
この板がしなったり反発で元にに戻る作用をサスペンションとして利用している。
メリットは構造が簡単(=コストダウン)、重荷に耐えられる。
デメリットは乗り心地が悪い、ストローク長を長く取りにくいこと。
此奴が乗り心地の悪さの元凶でもあるパーツだ。
なにが問題で乗り心地が悪いのか
なぜこのリアサスペンションがよくないのか、原因を考察してみる。
まずは板バネの動作の理解から。
通常の板バネのみの場合
適当にパワポで作った絵なので少々乱暴です。
ものすごく乱暴な絵で、実際はリーフは1枚ではないんだけど、概念を理解して欲しい。
要は、板がしなることでタイヤがストロークする。
荷重が増すと、ほぼ比例してストロークする。
このグラフの傾きがいわゆるバネ定数(バネレート)。バネが硬くなるとこの傾きが急になる。
ハイエースの板バネの場合(ヘルパーリーフ付き)
これも、例によって乱暴な絵です。ハイエースにはヘルパーリーフと呼ばれる短い板バネがついている。
ストロークして、ヘルパーリーフがメンリーフに接触するA点から硬いヘルパーリーフが作用するので、A点からサスペンションは硬くなる(バネ定数があがる)。
ヘルパーリーフは1000キロ積みの荷重に耐えるためにあるんだけど、此奴がサスを硬く(バネ定数をあげている)んですな。真犯人。
ヘルパーリーフがない状態に対して、赤矢印分ストロークが減る!つまり、乗り心地が硬くなる!!
どうすれば乗り心地がよくなるのか
元凶から手を打ちましょう。
ここまで読めば、如何にヘルパーリーフが乗り心地を硬くしていることが分かって頂けたと思う。
48R号は、できるだけ安価な方法で改善を模索中。
①チープで効果的な方法は、ヘルパーリーフ逆付け
ヘルパーリーフが効くのを遅らせる狙いだ。
ヘルパーリーフは上側に反っているのだが、逆向きに取り付けることによって、ヘルパーリーフが作用するのを遅らせることができる。
通常はAまでストロークするとヘルパーリーフが効いていたのが、B点まで遅らせられる。すなわちサスペンションの柔らかい部分をAからBまで伸ばすことができる。同じ荷重がかかった場合、ヘルパーリーフ逆付けの青矢印のほうが赤矢印より多くストロークしているので、乗り心地が良くなる。
ちなにみ、4型の2WDでは純正で逆付き形状らしい。しかし、4WDの48R号はジャッキアップで確認してストレート形状?orやや上反り。ジャッキアップの時点でヘルパーリーフのバンプラバーがメインリーフに接触しそう。1Gではがっつり接触している!!!
ネットで調べると、1〜3型はがっつり上反りなので、逆付けによる効果は大きいようだ。
4型SGL4WDの48R号はあまり上反りではないので、効果は薄そう。
4型2WDは標準で逆反りに近いらしい(これはちょっと乗り心地が良いとのウワサ)。
逆付けは1〜3型のオーナーさんは大いに試す価値あり!なにも部品購入はいらないのだから!
②安価部品で乗り心地改善。ストッパー変更
ストッパー(バンプラバー)を薄型に変更することでヘルパーリーフが効き始めるまでのストロークを長くすることができる。
赤丸のストッパーを薄型に変更する。それによって、少しヘルパーリーフが作動するまでのストロークを稼ぐことができる。
結構効果があるらしい。
48R号も導入を考えている。
③これも安価、リーフバッファプレート
これもヘルパーリーフの作動を遅らせるパーツ
板厚分、ヘルパーリーフとメインリーフのギャップを拡大することができる。
これも安価なので48Rも導入検討中。
前述のストッパーと合わせると、けっこうヘルパーリーフの作動を遅らせられるのではないか。
これは取り付け候補。
④そもそもの元凶を交換。ヘルパーリーフがないコンフォートリーフ!
ヘルパーリーフのない、乗用用途に最適化された板バネに交換。
ただし、1000kg積みに対応しなくなるので、構造変更申請が必要。
ヘルパーリーフがないので荷重に対してリニアにストロークするバネ特性。ヘルパーリーフ付と違い、途中から急に硬くなることがないので、突き上げがかなり軽減されるらしい。
しかし、お値段はかなり高く、8万円でござんす!
工賃も入れると、10万円超え!!
これは予算オーバーなので、48R号の検討から除外。
というわけで、ハイエース48R号
乗り心地改善プラン
②の薄型ストッパーと③のリーフバッファプレートで計画中。
近所に取り付けお願いできるショップがないので、次の車検でディーラーに取り付けを依頼しようかなと。
取り付けたらまたインプレッションしまーす。
他にも「ハイエース」タグで色々と記事書いてます。よろしければ、そちらもどうぞ。