みなさんタイヤインサートって使ってますか?
48Rはもう数年クッシュコアを使い続けているが、一回もリム打ちパンクしたこともなければ、リムを凹ましたこともない。
巷では装着が大変と言われているが、慣れてしまえば(疲れるものの)そう大変ではないし、なによりメリットが大きいので手放せないアイテムとなっている。
今回の記事ではクッシュコアに代表されるタイヤインサートのメリットデメリットについてと、装着のコツについてまとめてみた。
インプレについては素人MTB乗りが酔っ払いながら書いた戯言なので、話半分程度に。
タイヤインサートとは
今回購入したクッシュコアに代表されるタイヤインサートとは、チューブレスタイヤに中に挿入して使用するもので、リム打ちに対する保護やインサート自体がタイヤを支えることでより低内圧でもビードが外れず運用できるため、最近ではチューブレスの必需品として広まってきたパーツである。
各社からすでにたくさんの製品が販売されているが、設計思想の違いから大きさやインサートフォームの密度などに違いがあり、様々な商品が世に出ている。
一般的にインサートの大きさやフォームの密度については、次のような特性を持つ。
タイヤインサートの特性
- インサートが大きいほど剛性が高くパンクに強いが、装着しにくく重くなる
- インサートが硬い(密度が高い)ほど剛性が高くパンクに強いが、装着しにくく重くなる
という感じで、ざっくりインサートの剛性は、装着のしやすさや重さとトレードオフの関係にあるので、自分の行くフィールドやライディングスタイルで選べば良い(例えばトレイルでもしものときのリム打ちパンクを防ぎたいなら小さめ(密度低く軽い)のインサートで十分用を足すし、富士見パノラマのようなダウンヒルコースで低内圧運用でグリップ重視しつつリム保護や耐パンク性能を求めるなら、重くて硬いインサートが向く。
下記に代表的なインサートを示すが、各社装着のしやすさやリムの保護を考えて、さまざまな設計をしていることが見て取れる。
■CUSHCORE
■VITTORIA
■Tubolight
■Huck Norris
タイヤインサートのメリット デメリット
タイヤインサートはライディングにおいて大きなメリットがあるのだが、一方でデメリットも小さくないので、自分のメインのMTBフィールドやライディングスタイルを理解してタイヤインサートを選ぶことが重要である。
タイヤインサートのメリット
メリット①リムの保護
タイヤが潰れてもインサートが保護してくれるので、リム打ちパンクやリムが変形することを防いでくれる。
特に接地面積を大きくとってグリップを上げるためにチューブレスタイヤを低内圧で運用している人は、リム打ちしたときに岩とリムでタイヤが挟まれて簡単に穴が空いたりする。
↑は空気圧1.2barでふじてん走って、溶岩ロックでリム打ちパンクした時の画像。岩とリムにタイヤが挟まれて、穴が空いてしまった(まあ、48Rの抜重が下手くそってのもあるのだけど)。
この日、朝の2本目くらいでタイヤに穴開けて終了したのが、これくらいの大きさの穴だとシーラントで塞がらず、予備タイヤも持ってきてないのでこの日のライディングはジエンド。
この苦い経験がワタクシがタイヤインサートデビューしたキッカケでございます。
メリット②低内圧で運用できる
悩ましいMTBの空気圧セッティング。
一般的に空気圧を下げると接地面積が広がってグリップがアップするが、あまり下げ過ぎるとリム打ちしたり、タイヤがヨレたりビードが外れたりする。
上図はコーナリング中のタイヤにかかる力を表した図である。
タイヤには自転車を旋回させようとする旋回内側に向かう「FRICTION FORCE」と自転車を外側に押しやる「INERTIA(遠心力)」が働いて上図左側のようにタイヤがヨレるような変形をする。空気圧が低くこの変形が大きいと(タイヤのヨレが大きいと)、乗っていてもタイヤは旋回内側を向うとしているのだが、バイクは外へ逃げようとする動きで、タイヤとバイクの動きのズレがなんだか気持ち悪い。
ところが、タイヤインサートが入っていると内側からタイヤケーシングを支えているので、低内圧走行でもタイヤが踏ん張ってくれてヨレるような挙動を感じにくい。
結果、低内圧によるグリップアップのメリットを、タイヤがヨレることなく享受できるのだ。
メリット③低内圧でもビードが落ちない
クッシュコアのようにビード間に収まるような構造のタイヤインサートはビードをロックしてくれるので、低内圧でバームに当て込んでもタイヤが外れたり、一瞬ビードが外れてエアが噴き出したりしない。
しかも、万が一パンクしても、インサートがビードを保持してくれるので、パンクした状態でもゆっくりなら走れてしまうのだ。レースならとりあえずゴールラインまでは走り切れるし、フィールドでもパンクして押し歩きする必要なく乗って帰還できる(もちろんパンクした状態ではリム保護のためにゆっくり走る必要があるが)
メリット④チューブレスタイヤのビードが簡単に上がる
チューブレスタイヤのビードをフロアポンプで上げるのって、なかなかの重労働である。
まして、リム形状とタイヤの相性が悪いと永遠にビードが上がらなくて、途方に暮れることもしばしば。
(チューブレスタイヤ用のエアボンベを使えば上げられることもあるが、これこれで最初にエアタンクに加圧するのが面倒)
ところが、タイヤインサートが入っているとインサートがビードを内側から外へ広げているので、通常のフロアポンプでも難なくビードを上げられるのだ。
これは多くのコンプレッサーを持っていない普通の自転車乗りには有難いメリット。
48Rはビードが上がらずに四苦八苦して無駄に時間を使うのが嫌なので、なにげにこのメリットは重視している。
タイヤインサートのデメリット
デメリット①組むのが大変(とにかく大変)
これ、本当にインサートを床に叩きつけたくなるくらい大変なのよ。
特にDHケーシングやワイヤービードのタイヤなど、剛性が高いタイヤとクッシュコアPROの組み合わせは絶望的。
48RはミシュランのDH22というワイヤービードのタイヤとクッシュコアPROの組み合わせは、タイヤを嵌めることができなかった。。。。
また、苦労してタイヤを組めたは良いものの、今度はタイヤを外すのも大変なのだ。ビードを落とそうにもクッシュコアが中にいるので簡単にはビードを落とせないし、リムからビードをめくるのも大変。
この問題に対しては、剛性の高いタイヤレバーを使うことである程度は解決できる。
クッシュコアのタイヤレバーは価格は高いのだが、レバー部の剛性の高さと力の入れやすいハンドル形状で、圧倒的に作業性は良い。
また、もうちょっとお安いのないの、というところではMuc-OFFのタイヤレバーも剛性が高いので、ペラペラのタイヤレバーよりは作業効率は良くなる。
↑この厚みで剛性を確保し、インサートが入っていてもビードを無理くり落としてくれる(Muc-OFFのタイヤレバーは厚みがあるので、リムとタイヤの間にレバーを挿入するのはちょっと大変だが)
デメリット②重量増加
単純にインサート分重量が重くなる。
自走で登る人やクロカンでは小さくないデメリット。ゲレンデオンリーでも、タイヤが重くなったことによるバイクの振り回しの重さは若干感じるかな。
とまあ、なんだかんだデメリットはあっても、総合的にはメリットが上回っているので、タイヤインサートはやめられないんだけど。
クッシュコア(CUSHCORE)を購入
48Rはタイヤインサートでは最もポピュラーなクッシュコア(CUSHCORE)を使っている。
実はクッシュコアにも色々種類があって、一番強力なPROから、TRAIL(2023夏発売)、XCの三種類がラインナップされている。
PROがもっともポピュラーで皆クッシュコアといえばPROをつかっているのだが(クッシュコアといえばPROのことを指すくらい)、48Rはクロカン用のXCモデルも使っていたりする。
各モデルのスペックをまとめると下表の通り。
モデル | リム径 | 重量 | 適応タイヤ幅 | 適応リム内幅 |
CUSHCORE PRO | 27.5 | 250g | 2.1-2.6 | 22mm-35mm |
CUSHCORE TRAIL | 27.5 | 199g | 2.1-2.6 | 22mm-35mm |
CUSHCORE XC | 27.5 | 140g | 1.8-2.4 | 22mm-32mm |
CUSHCORE PRO | 29 | 260g | 2.1-2.6 | 22mm-35mm |
CUSHCORE TRAIL | 29 | 212g | 2.1-2.6 | 22mm-35mm |
CUSHCORE XC | 29 | 150g | 1.8-2.4 | 22mm-32mm |
当然インサートのサポート力はPRO>TRAIL>XCの順となり、PROのほうがよりリム打ちに対する防御力や低内圧使用時のヨレにくさはあるのだが、とにかく組みにくい。
48Rは1.0Barとか極端に内圧を下げないのでそこまでインサートのサポートは必要とせず、単にリム打ちに対する保護さえあれば良いという考えなので、最近はXCモデルを好んで使っている。
先にミシュランとDH22とクッシュコアPROの組み合わせは組めなかったと書いたが、PROからXCモデルに変更したら組めたことも付け加えておく。
クッシュコアのHPではヘビィーデューティーなタイヤリムの組み合わせより、軽量リム/軽量タイヤにクッシュコアの組み合わせを推奨していたりするのだが、48Rはヘビーデューティーなタイヤ/リムにクッシュコアXCを組み合わせるのがお気に入りである。
クッシュコアの取り付け方のコツ
ネットやSNSで散々大変と言われているけど、ちゃんとやればほとんどのタイヤは組めると思う。ただ、タイヤの組み合わせによっては握力死亡するので、乗る日は交換したくないです(本音)
手順①リムにタイヤインサートを嵌める
まずは裸のリムにタイヤインサートを装着する。
リムにインサートを当てて、最初にそこを下にして踏んづけて固定してやると、比較的スムーズに装着できる。
この時、クッシュコアの切れ込みとチューブレスバルブの位置は合わせること。
手順②インサート付きのリムをタイヤの中に入れる
タイヤの中にインサート付きのリムを入れる。
インサート分外径が大きくなるが、これはそんなに難しくなく中にいれることができる。
この時、タイヤのビード部にビードワックスを塗っておくとその後の作業が簡単になるのでオススメ。
バイクや車のタイヤ組み込みではビードワックスって必需品なんだけど、なぜか自転車屋さんには置いてないのでホームセンターやカー用品店で入手しよう。
手順③片側のビードを嵌める
最初の作業は工具なしで作業する(というか、チューブレスはビード部に傷がつくとエア漏れの原因になるので、タイヤレバーは極力使わない方がよい。48Rはインサートなしなら手だけビード嵌めます)
リムの手前側から親指でビードを落とし込んでいき、奥に向かってビードを組んでいく。
↓この状態はまでは手だけで組んだ。
この状態では嵌ってない部分のビードがパツパツで、無理に作業するとビード部のゴムが傷ついたり最悪ビードが切れるので、もうひと作業かます必要がある。
ここでチューブレスタイヤを組むときのコツなのだが、タイヤのビードはケブラーまたは鉄製で伸びないので、ビードの最後の部分をリムにはめるにはリムの断面形状を理解する必要がある。
下記は4輪だがタイヤリムを断面で見た図である。
自転車に限らず四輪でもオートバイでもリムにはドロップと呼ばれる径が小さい部分が存在する。そこの径の小さい部分にビードを落とし込むことによって反対側は径に余裕が生まれるのだ。
というわけで、先ほどのリム組途中のタイヤのビードをリムのドロップに落とし込んでいく。
最後に嵌める部分以外は、極力ビードをドロップに落とし込むと次の作業が簡単。
ビードをドロップに落とし込むとパツパツだったビードに余裕が生まれるので、タイヤレバーで簡単に嵌めることができる。
手順④反対側のビードも嵌める(ここが山場)
次は反対がの作業で、こちらのほうが大変。
先ほどと同じ手順でビードを嵌めていくのだが、既に嵌めた反対側のビードとクッシュコアが邪魔をしてなかなかビードを落とし込めない!
それでも無理くりビードをドロップに落とし込むのだが、力技で握力を相当消耗する。
なんとかビードを落とし込めたら、最後の部分をタイヤレバーで嵌め込む。
ヤマ場の作業完了。
作業時間はクッシュコアなしのチューブレスなら3分もかからず装着できるけど、クッシュコアありなら10分弱程度。握力の消費は10倍くらい(笑)
乗る日はやりたくない作業です。
また、今までの経験上、①サイドウォールの硬いタイヤ、②ワイヤービードのタイヤ、③幅が狭いリムは作業が難しくなるのでご注意を。
手順⑤空気を入れてビードを上げる
ここはクッシュコアの苦労が報われる部分。
クッシュコアが中に入っているとフロアポンプでも簡単にビードが上がるので、とても助かっている。
チューブレス運用でビードが上がらない苦労と時間の浪費を考えたら、クッシュコアを組み込む方が簡単です。
クッシュコアレビューと空気圧
さて、クッシュコアを入れたときの適正空気圧もわからないので、色々と空気圧を振って試していく。
ちなみに、タイヤは前後ミシュランのワイルドエンデューロで、普段の空気圧はFr1.5bar Rr1.8barの設定。
①前後0.8bar
クッシュコアでリムが保護されているのを信じて、思いっきり下げてみる!
さっそくコースイン。
ファーストインプレッションは思ったより走れる!ビードが外れないかヒヤヒヤしたが、48R程度のペースなら大きな問題はなさそうだし、タイヤが大きく撓むのが分かって接地面が広く感じてグリップも良い。
ただ、タイヤがベコっと変形するので、バームの立ち上がりなどRrに荷重のかかるコーナーでは腰砕け感があって、タイヤがよれて外に逃げる感じで加速が悪い。
ギャップに対しては空気圧が低いのでしっとりギャップを吸収してタイヤにもショックアブソーバーがついたように乗り心地は良いが、ちょっと転がりが重い感じがあるので、ちょっと低すぎるかなぁと。
→前後0.8Barは
空気圧が低いのでタイヤを潰してグリップを引き出しやすい。フラットコーナーメインならFrの設定としては悪くない。ただ、Rrはちょっとタイヤがヨレ感あるし転がりも悪いので、もうちょっと上げたい感じ。タイヤ変形大きいので、富士見パノラマみたいなハイスピードコースならインサートあってもリムのダメージ心配。
②Fr1.0bar Rr1.3bar
Rr0.8barは低過ぎる感じだったので、Rrは結構上げてみる。
うん、バランス良くなった!
クッシュコアのサポートもあるのでインサートなしのFr1.5bar Rr1.8barに比べてタイヤがヨレ過ぎる感じはないし、空気圧低めなのでタイヤの接地が大きくグリップも良い。ギャップもしっとり吸収しつつも、潰れすぎ感もないので、総じて低内圧のメリットを引き出しつつリムも保護も考えたバランスだと思う。
→Fr1.0bar Rr1.3barは
グリップ重視のセッティングとしては結構良い。急な下りとかオフキャンバーのコースならこれくらい下げたい。
③Fr1.3bar Rr1.5bar
差は微妙なんだけど、グリップは②のほうが良かったが、コーナーの立ち上がりやコブでプッシュを入れたときの加速感はこちらの空気圧のほうがちょっと上な気がする。もちろんグリップもインサートなしのFr1.5bar Rr1.8barより良い感じなのだが、タイヤが潰れて接地面が広がって安心できる感じは②のほうが上だし、フロントが滑っても挙動がゆったりしているのも②かな。
とはいえ、Rrがしっかりしてくるので、プッシュを入れたときの加速は良い気がして、ふじてんの馬車道のストレートのスピードの乗りはこっちの方が良い気がする。
→Fr1.3bar Rr1.5barは
グリップとプッシュしたときの加速感をバランスさせたセッティングかな。ふじてんや岩岳のようなフローなバイクパーク向け
CUSH CORE XCの場合
CUSH CORE XCの場合、低内圧でのタイヤサポート力は弱いので、PROより0.2barより多めに入れている。
サポート弱いとはいえ、XCのほうが組みやすいし軽いしリムもある程度の保護を期待できるので、48Rの最近のメインはこちら。
RrだけCUSH COREもあり
インサートはメリットも多いが、どうしてもインサート分タイヤが重くなってしまう。
なので、そこまで低内圧運用でグリップを求めないのであれば、FrはインサートなしにしてRrだけインサートを入れるのも手(リム打ちパンクはたいていRrなので)
48RもFrはインサート外そうかと考えているのだが、インサートなしだとチューブレスタイヤのビード上げが大変になるので二の足を踏んでいる状態だ。コンプレッサーなり手に入れば、実行しようかと思っている。
以上、素人のインプレでした。
クッシュコアまとめ
二輪車において、タイヤのグリップ破綻は即転倒につながってしまう。
その中でインサートを使うことによって思い切った低内圧運用ができるので、それによるグリップアップのメリットは安全なライディングをする上でメリットが大きいと思う。
そしてなにより低内圧でもリムの破損に気をつかう必要がなくなるので、気を使うことなく乗ることができる。
一方で、タイヤは重くなるので漕ぎや登りではちょっと重さも感じるが、ゲレンデメインの人ならほとんど気にはならない範囲と思う。
チューブレスタイヤにおいて、グリップアップやリムも保護できるので、個人的には必需品レベル。まだ迷っている人は一度試してみることをオススメします。