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【Burton】僕がSTEP ONをやめた2つの理由【バートン ステップオン レビュー メリットデメリットについて】

2017年、バートンが満を辞して世に放った踏み込むだけでバインディングを装着できるStep Onシステム。

デビュー以来、細かいアップデートを繰り返しながら着実にその完成度を高めていき、今やどのゲレンデでも使っている人を多く見かけるほどユーザーの支持得るまでになってきた。

また、ネットでレビューを検索してみても、「もうストラップには戻れない」という絶賛の声も多く、かつて存在した様々なステップインシステムは現れては消える一発屋芸人のような存在だったが、このStep Onシステムに関しては、既に世の多くの人にとって選択肢の一つとして受け入れられた感がある。

 

かくいう48Rも2021年末にアップデートで各段に良くなったという噂に釣られStep Onを導入してみた。

ところが、市場での絶賛の声とは裏腹、自分のスノーボードのスタイルに合わず、わずか1ヶ月で手放してしまった。

 

ということで、今回は良いレビューしか見当たらない「STEP ON」システムなのだが、こういう人は合わない可能性が高いかも?ということで、48RがStep Onをやめた主な2つの理由を中心にレビューを書かせて頂く。

世の中のレビュー記事はスノボ屋だったり業界ライターだったり、村八分を恐れてぶっちゃけた意見書いているかわからないので、どこにも忖度する必要のない素人代表として、忌憚のない感想を書いてみた。

多分、Step Onが合わない人のほうがはるかに少数派なのだろうが、自分の感じたデメリットについてしっかり共有したほうが、これから買って合わない人なあと思う人を減らせると思うので、もう売却して1年以上経っているが、インプレを殴り書いてみた。

参考になれば幸いです。

 

 

Burton Step Onとは

従来のシマノやYonex K2などのステップインシステムはブーツのソールの前後の装着された金具でバインディングに固定する方式であったが、Burtonのシステムは踵の上のアタッチメントをハイバックに、トゥーの左右をバインディングのベースプレートに固定する方式である。

脱着方法については、以下の動画が分かりやすい(ゆっくり動作を見られる)。

 

■バインディングの装着

 

■バインディングの外し方

 

踏み込むだけで装着でき、外す時もレバー1本の操作。ストラップバインディングに比べ素早く簡単で、慣れればリフトを降りてからスケーティングしながら装着、シームレスに滑り出すことができるのだ。

 

 

48Rが購入したStep On

普段の48Rの滑走道具は、バインディングは「Burton Genesis Re-Flex」、ブーツは「Burton Swath」。

なので、今回Step Onを買うにあたり似たようなフィーリングが欲しかったので、バインディングは「Burton Genesis Step On」、ブーツは「Burton Swath Boa Step On」を購入した。

同じGenesisi + Swathで比較しているので、ステップオンとストラップの比較については、モデルの違いの要因は排除できている。

 

ステップオンでもGenesisiのアイコンであるキックバックハンモックハイバックは健在。

 

 

結局やめてしまったStep On
そのメリットデメリットとは

さて、ここからはStep Onのインプレッションをメリットデメリットに分けてまとめていく。

 

Step Onシステムは旧来のステップインシステムやストラップバインディングに対してアドバンテージがある部分もあれば、気に入らない点もいくつかあった。

全てに万能な道具というものはほぼ世の中に存在しなく、メリットとデメリットを天秤にかけて自分に合ったモノを取捨選択していくわけだが、48RがStep Onに感じたデメリットについては、脱着のメリットを差し引ても重すぎて、せっかく購入したStep Onシステムではあったが「もうやめてやる!」と決心するのには十分なデメリットであった。

お金は無駄になってしまったが、乗らないと分からなかった点なので、ある意味良い経験にはなった。これから購入予定の人のために、そのインプレッションを共有させて頂く。

 

 

Burton Step Onのメリット

脱着が早い、楽チン

これは先の動画でも示した通り、装着の速さはストラップバインディングの比ではない。

さらに前かがみになる必要もないため、48Rのような中高年スノーボーダーにとっても身体への負担も小さい。

慣れれば、リフト降りてスケーティングしながら踵でハイバック起こして、そのまま踏み込んで装着。スキーヤーと遜色ない速さで滑り出すことも可能だ(一緒に滑る周りがストラップバインディングだと、結局待つことになるパターンも多々あったが、スキーヤーの友人と滑るときはとても有効性を感じた)

 

ぶっちゃけ、リフトに座る直前に後ろ足はめてそのままリフト乗車、リフト降り場からそのまま滑ったりもできます(良い子は真似しちゃダメだぞ)

 

レスポンスがよい。

Step Onはトゥーの左右、ヒールカップで固定するため、バインディングの縦方向にも横方向にもしっかりブーツが固定されて、ストラップバインディングに比べ遊びが少なくレスポンスが良い。

昔使っていたアキュブレードもそうだったのだが、ストラップバインディングはストラップの中でブーツが動いたりストラップが変形したり若干の遊びがあるのに対して、ステップオンは板に足裏がくっついているという感じなので、少しの操作でクイックに板が反応する。

(操作に遊びが少ないので、ストラップバインディングの遊びを使ってライディングしている人には逆に合わない可能性あり。後述する)

 

 

ブーツのソールが薄い(旧来のステップインシステムに対するメリット)

過去にアキュブレードのステップインシステムを使っていたのだが、アキュブレードはブーツのソールの底にステップインのアタッチメントついていた。

そのため、構造的にどうしてもソールが厚くて足裏感覚に乏しさを感じていた(その後、Burton のReFlexバインの足裏からの情報量の多さに驚いて、すぐにアキュブレードはやめてしまったほど)

 

一方で、バートンのStep Onに関しては、装着のアタッチメントはトゥーの左右と踵の後ろあたりに取り付けられている。

そのため、ソールの厚みに関してはストラップバインディングのブーツと同等。

 

48RはブーツはバートンのSWATHを履いていたのでStep On用のブーツもSwath Step Onを購入したのだが、ソールの厚みについては同等。エッジのグリップ感や板のしなりや反発感など足裏感覚の情報量の多さについてはストラップバイン同等で驚いた。

この足裏感覚というのはスノーボードを楽しむ上でとても重要だ。雪面の状況に合わせて板の荷重を細かく操作したり足裏から板のしなりを感じ取ったり、よりマニュアル車的な楽しみがある。

アキュブレードはその点において、厚いソールと硬いバインディングで足裏からの情報量が遮蔽されているように感じていた。情報量の少ない道具でも滑ることはできるのだが、もう少し雪面とのやりとりを楽しめるような道具で滑った方が楽しい。

 

下の画像はStep On と普通のSwathを並べて撮ってみたが、アタッチメントがある以外はソールの厚みなどは同等だ。

 

このメリットに関しては、ストラップバインに対してのメリットというよりは、旧来のステップインシステムに対してのメリット。

 

 

 

 

パウダーでも問題なし(旧来のステップインシステムに対するメリット)

バックカントリーエリアでツボ足では腿まで埋まってしまうコンディションでも、ベースプレートの雪さえ手で払えば、あっさとりバインディングを装着することができる。

バックカントリーエリアでも特に問題なし。

 

以前使っていたアキュブレードは金具周りの雪の付着にシビアかつけっこう強く踵を踏み込まないと装着できなかったため、底なしパウダーでの再装着に苦労する場面があったが、Step Onに関してはヒールカップのロックシステム心臓部には雪が付きにくいし、多少の雪はロック部をはめ込めば、雪が押し出される構造になっている。

また、踵をはめ込むときの力もアキュブレードより小さな力でOKなので、底なしパウダーでも簡単に装着することができた。

 

 

Burton Step Onのデメリット

細かいところまで上げるとデメリットはたくさんあるのだが、デメリット①②についてはメリットと天秤にかけても自分には受け入れることができなかった記事タイトルの「ステップオンをやめた2つの理由」にあたる部分である(ほかにも細かいデメリットはいくつかあるが)。

 

デメリット①ヒールカップが大きくドラグする

Step Onの心臓部はハイバックに鎮座している。

そのため、ハイバックがかなり厚くなっており、そのあおりでヒールカップがかなり大きく張り出しているのだ。

 

実際にStep On GENESISとストラップのGENESISで寸法をチェックしてみた。

(板はBC Stream DR161、アングルはF15 R-12、ディスクの穴はヒールのドラグを抑えるため、バインディングを前に出せる穴を使用)

 

・ストラップのGENESISのヒールカップの張り出しは23mm

 

・Step On GENESISのヒールカップの張り出しは38mm!!

 

・Union Atlasは14mm。

カービング勢に人気のこのバイン、ヒールカップが金属製で薄く、ドラグに関して優秀。

 

この差よ。

カービングするとき、ヒールサイドで手首を着くくらいなら大丈夫なのだが、そこからもうちょっと板を立てようとするとドラグでエッジが抜けてしまう。最初、なんかいつものGenesisより転ぶなーって思ってたら、ヒールカップが原因だったのだ。

バインをもっと前振りにすればヒールドラグの問題は改善に向かうのだが、48Rはスイッチでも滑りたいので、前振りなセッティングは自分のスタイルには合わない。

 

というわけで、今現在ドラグで悩んでいる人は、ステップオンではさらにドラグしまくるので注意が必要だ。

 

 

デメリット②可動域が狭くなる

Step Onはブーツの両サイドでロックするので、バインディングの横方向の可動域がストラップより狭くなる。

この矢印方向の稼働が結構制限される。

 

一方で、ストラップバインだと下の動画のように横方向にけっこう大きな可動域がある(バートンのやわらかめのブーツSwathと、これまたやわらかめの23 Union Urtlaの組み合わせ)

ストラップが伸びたり変形して、ブーツをバインディングの中で傾けることができる。

ステップオンだとソールをぴったりベースプレートに固定されるので、このような動きをすることができないのだ(Step Onも売却前に動画撮っておけば良かった)。

 

48Rはこのブーツを傾けることによる可動域を結構活用しているようで、Step Onのように足裏をぴったりバインディングにロックされてしまうと、いつものような可動域が得られず、どうにも拭いきれない違和感が足にまとわりつく。

出来ることが出来なくなるほどの違和感ではないのだが、微妙にトリックの精度が落ちたり回転が足らなかったりバランス崩したりリカバリー力が落ちたり、気持ちよく滑ることができない。

たいした足前でもなく時間もないサンデーボーダーの48riderにとって、貴重な滑走は気持ちよくスノーボードをしたい。この違和感の大きさは、一瞬で履ける利便性を大きく上回ってしまうのだ。

 

また、これは48Rの勘ぐりだが、バートンの契約プロも同じような違和感を感じているのではないだろうか?本当に良いものなら、コンペで使っても良さそうだが、少なくともオリンピックやXゲームの公式戦でStep Onを使っている選手はみたことがない。

(プロモーションではStep On使っていても、彼らは異次元にスノーボードが上手いので、ステップオンでさらり1080をして「調子良いっすよ!」とか言ってても、それは一般人は1mmも信用してはいけないと思っている)

 

ちなみに、カービンガーの神様ラマ先生は、22-23シーズンから前足ストラップ、後ろ足Step On。

ストラップの可動域とStep Onの便利さの良いとこどりのセッティングだが、裏を返せばやはりラマ先生も乗り味はストラップのほうが上と思っていて、脱着の頻度が低い前足はストラップを好んでつかっているのではないだろうか(Step Onのほうが性能が上なら、わざわざこんな面倒なセッティングせず両足ステップオンでしょ)

 

48Rとしてはボードの上で身体を動かして積極的に板を操作したいので、板の上での身体の自由度は重要。これもステップオンを受け入れられなかった理由の一つ。

 

 

デメリット③裾を噛みこむと、外れない

これは使い方のミスだが、思わぬところでトラブルになるかもしれない。

Step Onはブーツの踵の上のパーツをヒールカップに固定するので、パンツの裾が噛みこまないように裾を止めるクリップがついている。

普段のゲレンデでは外れることはないが、深いパウダーをツボ足でハイクするような場面では、雪の抵抗でクリップから裾が外れ、裾を噛みこんでしまう恐れがある。

48Rは一度これで裾を噛み込みロックをしてしまい、どうしてもバインディングが解放できなくて超困ってしまった(最後はパンツを引っ張りながら解放レバーを操作してなんとか外れたが、バインかパンツどちらかが壊れるかと思うくらい硬かった)。最悪、パンツの裾を切ったという話も聞いたことあるくらい裾ロックは大変なのだ。

バックカントリーから帰還後のトラブルだったので良かったものの、まだ山中で登り返しがある場面でトラブったらと思うと、ゾッとする。

バックカントリーではちょっとしたトラブルでの遅れが、天候急変や雪崩のリスクを高めてしまうこともあるので、バックカントリーでは信頼のストラップバインディングを使いたい、というのが48Rの見解。

 

 

デメリット④ストラップより若干重い

ステップオンってストラップがないから軽そうに見えるでしょ?でも実際にはステップオンブーツが重たいので、トータルではストラップバインディングのほうが軽い。

 

・ステップオンの重量

バインが836gにブーツが1026gで合計1862g

 

・ストラップバインディングの重量。

バインが892gにブーツが859gで合計1751g

 

自分の組み合わせの場合、111g/片足ストラップバインディングのほうが軽い。

ただ、48Rとしてはこれくらいの重量差でステップオンシステムを作っているのは凄いと思う。昔使っていたアキュブレードはバインディングが748gにブーツが1560gで合計2308gの激重システム!それに比べるとバートンはよくストラップバインディングと比較して100g程度の重量増にとどめたと、バートンの技術力に感心する。

ストラップバインディングより重くなっているので一応デメリットとして挙げさせてもらったが、片足100g程度の重量増なので、フィーリング上は誤差範囲かと思う。

(軽量化マニアは別として)

 

 

新型ステップオン開発中?!

実はバートンも横方向の自由度がないことは百も承知で、その弱点を克服するステップオンを現在開発中。

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仕組みとしては、ステップオンの左右の爪がかかる部分がベースプレートからフローティングされたデザイン?!

 

動画でも最後のライディングで「かなり良くなったよ!」と言ってるので、製品化されるのが楽しみ(その時はまたステップオンに戻ってくるかも)

 

 

Burton Step On まとめ

まとめると、Step Onシステムは脱着の早さ楽さのメリットはあるのものの、ヒールのドラグのしやすさとバインディング横方向の可動域の狭さが弱点。

というわけで、48Rがライディングスタイルとの相性を予測すると、

Step Onが合わない人

  • 現状ヒールカップのドラグに悩んでいる人(さらに悪化)
  • 柔らかいバイン、ブーツで足元ルーズで可動域を大きくしたセッティングに慣れている人
  • パークや地形遊びが好きな人(特にスタイリッシュな動きを出したい人)
  • グラトリメイン

 

Step Onが合う人

  • 脱着を早くしたい人
  • 脱着を楽にしたい人
  • パウダーメイン(可動域は気にならない)
  • ゲレンデクルーズメイン(トリック少なめ)
  • 硬いブーツとバインで滑っている人(元々可動域少ない)
  • スーパーフォワードセッティング(あまりバイン横方向の可動域を使ってないはず)

 

経験と少々の予測が入ってるが、合わない人合う人を予測するとこんな感じ。

 

色々独断と偏見で書いたが、バートンのステップオンが48Rに合わないからと言って、ステップオンがダメなシステムとは全く思ってはいない。

可動域を重視するのも、パウダーを効率よく滑るために脱着の早さを重視するのも、屈まない楽さを重視すのも、結局本人の自由である。ただ、自分のやりたいスノーボードと道具の特性を分かった上で選択しないと、合わないことがある、というだけのお話です。

48Rもパウダーの時はステップオンのおかげで、同じリフトに乗っていた仲間より「お先に〜!」と、いの一番に美味しいパウダー斜面に飛び込めた時は、買って良かったなぁと染み染み思ったものである。

 

ちなみに、「こりゃあかんわ」とすぐにStep Onを手放した48Rだが、娘のスノーボードデビューにはStep Onを買い与えた。

ターンもままならない初心者には可動域なんて関係ないし、それよりバインディングの脱着で座ったり立ったりで体力奪われて練習に差し支えるほうでデメリットと感じているので、いまのところステップオンの恩恵にはしっかりあやからせて頂いている(一部立ったまま板を履きにくい傾斜地では苦労しているが、親が板を足で踏んでやればOK)

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というわけで、ステップオンは合わない人もいれば合う人もいるし、要は適材適所である。

今回の共有を参考に、きちんと道具の特性を理解した上で購入を検討して頂きたい思います(最初にも書いたけど、周りのステップオン導入してる仲間の意見を聞いても合わない人のほうが少数派だと思います)。

 

バインディングって、足は固定しないといけないがある程度の自由度は必要で、本当に難しい。今回、ステップオンを試すことでストラップバインの良さを再認識でき、お金は無駄になってはしまったが、なかなか有意義な経験でした。

 







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