いきなりマツダからハイエースの皮を被ったボンゴが発表されて開けてびっくり玉手箱の48riderです。このニュースに驚いたハイエースファンは多いに違いない。
マツダはすでに2012年に商用車の撤退を宣言しており、もう商用車の販売は縮小路線かと思っていたのだが、資本提携先のトヨタからの思わぬビッグネーム車種のOEM供給である。
今回はそんなボンゴブローニイバンについて、あえてOEMのマツダ車を買うメリットデメリットを考察してみる。
ボンゴブローニイバンについて
新型ボンゴブローニイバンとは
一言で言えば、エンブレム以外はまんまハイエース。
ベースはハイエースの標準ボディで、トヨタのグレードで言えば「DX」と「GLパッケージ」がマツダで「DX」「GL」として販売される。
ハイエースでは一般ユーザーから人気の装備や内装がミニバン並みの「スーパーGL」は、ボンゴブローニイバンからは販売されない。あくまで商用ユースを意識したベースグレードのみの販売だ。
室内を比較してみるとこんな感じ。
・トヨタハイエース スーパーGLの室内。
・マツダボンゴブローニイバン GLの室内
内装に内張がなかったり、セカンドシートのクオリティが残念。
ちなみに、マツダボンゴもいまだ併売されるというから驚きだ。
こちらは1999年にモデルチェンジがあったものの、基本設計は1983年の車体が元になっているかなり年代モノ。
衝突安全性も低いし昨今新車では標準装備の自動ブレーキもない。
2019/04/24の日刊自動車新聞(会社でとっているいる業界紙)では2020年に販売を終了する記事が一面を飾っていた。
新聞によると、こんな年代物だがマツダの商用車の販売台数のうち30%を占めているというから驚きだ。
*2021/06/11更新*
予定通り2020年でボンゴは生産終了となりました。
ボンゴブローニイバンの価格は?ハイエースと比較してみる
OEM元とOEM先で価格は違うのだろうか?気になったので調べてみた。
ハイエース | ボンゴブローニイバン | 差額 | |
DX 2WD 2.0G | 2,474,000 | 2,532,200 | 58,200 |
DX 2WD 2.8DT | 3,048,000 | 3,104,200 | 56,200 |
DX 4WD 2.8DT | 3,359,000 | 3,500,200 | 141,200 |
GL 2WD 2.0G | 2,578,000 | 2,763,200 | 185,200 |
GL 2WD 2.8DT | 3,154,000 | 3,337,400 | 183,400 |
GL 4WD 2.8DT | 3,465,000 | 3,710,300 | 245,300 |
*ハイエースは「GLパッケージ」、ボンゴは「GL」の比較
ベースグレードの「DX」の2WDでは価格差は大きくないが、それ以外のグレードでは20万円前後もの価格差になった。
また、4WDの価格が高くなっているのは、ハイエースではオプションのリアヒーターがボンゴでは標準装備になっている点が効いているのかもしれない(リアヒーターは27,500円で、その差額以上に価格の開きがあるので、それ以外にも変更点あるかもしれないが)。
また、ボンゴ上級の「GL」グレードの比較では、ハイエースの「GLパッケージ」に相当するグレードなのだが、ここでもボンゴのほうが装備が良いので、ハイエースに対する価格差が大きくなっている。
ちなみ、ハイエース「GLパッケージ」に対して、ボンゴ「GL」の主な変更点は下記である。
・LEDヘッドライト標準装備(66,000円相当)
・リアクーラー標準装備(60,500円相当)
また、ハイエースでは絶対につけたほうが良い寒冷地オプションも、ハイエースは30,000円程度なのに対し、ボンゴは高い。
というわけで、やはりという結果なのだが、価格設定ではOEM先のほうが高くなるという結果だった(値引きは度外視)。
ハイエース200系オーナーにとっては朗報?!
ここにきてのイキナリのハイエースOEM供給の話、48Rはこう受け取りました。
「セミボンネット化される次期ハイエースの噂があるなかで、200系ハイエースの販売拡大。やはりセミボンネットの次期ハイエースとキャブオーバー(運転席下にエンジン)の200系ハイエースは併売されるのでは?!」
4ナンバーサイズでセミボンネット化されると室内空間はノア並みになってしまうので、もし本当なら非常に嬉しい話である。
ボンゴブローニイバンを買うメリットデメリットは?
トヨタにとってのメリット
OEM元のトヨタにとってのメリットはマツダの販売網で車を売れることだ。
車はたくさん売れば売るほど設備投資や開発費もペイできるので、売れば売るほど売り上げだけなく採算率も良くなっていく。
つまり、トヨタにとっては高い開発費をかけた車をたくさん売りたいから他社に供給する。
マツダにとってのメリット
マツダにとっては開発費用をかけずに、自社の販売ラインナップを増やすことができる。
車種1種増やすのも、近年は高騰している開発費や工場の設備投資など莫大な資金が必要となる。マツダのような中規模な自動車メーカーにとって、自社でフルラインナップを揃えるのは現実的ではない。
また、ディーラーにとっては売るものを増やせるし、マツダの商用車を買ってくださるお客様がプライベートで「CX-5」などのマツダの乗用車も買ってくれるかもしれないし、その逆もあるかもしれない。フルラインナップで車種をそろえるとマツダで囲い込むこともできるのだ。
つまり、マツダにとっては開発費や設備投資にお金をかけたくないが、ラインナップは増やしたい。これがOEM先の思惑である。
というわけで、マツダは商用車は開発しないと宣言しておきながら、OEM供給でラインナップとしては軽バンからトラックまでフルラインナップで持っている。
商用バンの売れ筋ハイエースのOEM供給は、まさに期待の4番バッターの移籍だ!
記事の上のほうでも書いたが、2020年ボンゴの生産中止により、全てのマツダ商用車はOEMとなる。
ユーザーにとってのメリット
48Rの結論はメリットなさ過ぎて「ボンゴではなくハイエース買え」だ。
しいてメリットを考えると、将来的にボンゴブローニイバンの中古が流通し始めたときに、同程度のハイエースより安く買えることくらいか。
ユーザーにとってのデメリット
デメリット①車売却時に買取価格が不利
これまでもOEM先の車種では買取価格が不利になる傾向があるのは通説である。
車を探している人も、「ハイエース下さいな!」とは言っても、「ボンゴブローニイバン下さいな」にはならないので、中古車の流動性が悪くなり買取価格も低くなりがちだ。
車を買い替える時、買取価格は次のクルマの重要な購入資金なので、かなりのマイナスポイント。
デメリット②マツダのディーラーでトヨタ車の整備を受けることになる
車が不調になる際、原因がすぐに分からないことも多々あるものだ。
そんなとき、ハイエースの経験豊富なトヨタの整備士と、ハイエースに不慣れなマツダの整備士では、整備でレベルは同じだろうか?
否。経験豊富な整備士さんは車が壊れやすいポイントや対策方法など熟知しているので、不調になっても過去の経験からすぐに原因を突き止めて修理するだろう。一方で、マツダの整備士はハイエースに慣れていないので、サービスマニュアルを見ながらの整備になるかもしれない。
車を長く保有したいなら、充実した整備レベルを受けられることは重要だと思う。
デメリット③グレードが制限される
今回のボンゴブローニイバン然り、OEM先ではOEM元よりグレードが少なくなることが多いので、グレードを選ぶ選択肢が制限される。
選択肢が狭くなって「悩む必要がなくたった〜ラッキー!」と喜ぶ人はいないだろう。グレードが制限されることは、ユーザーにはデメリットしかない。
まとめ
以上のようにOEM供給はメーカーにとってはWin-Winのメリットがあるのだが、我々一般ユーザーにとっては「若干高い」、「売却価格で不利」、「整備体制に不安」、「グレード選択肢が少ない」と、全くメリットがない。
トヨタが親の仇ではないかぎり、普通にトヨタでハイエースを買うのを激しくオススメします。
ハイエースへの買い替えを検討しているなら、愛車の売却方法はお決まりですか?
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ブログ筆者48Rの場合、トヨタディーラーより40万円も高い査定額でした。
ディーラーの査定だけだと、絶対損します。