ボディ形状から「1BOXカー = 走る棺桶」と思ってませんか?
筆者48Rもハイエースを運転しててよく思うのが、「こんなボンネットのない車に乗ってて、事故ったとき衝突安全性は大丈夫か?」ということ。
二児の父親なので、もしもがあっても、家族を遺して死ぬわけにはいかない。
夜も眠れないほど気になって(本当に深夜に調べて書いてます)、ハイエースの安全性について徹底的に調べた内容をシェアします。
ハイエースの安全性:メーカーサイト情報
まずは公式情報を調べてみた。
SRSエアバッグ
まずは当たり前装備。
実は、助手席エアバッグはオプション設定なので、中古車で買うときは助手席もエアバッグがついているか、確認ポイントである。
衝突時の衝撃を吸収・分散し、歩行者への安全にも配慮。
強固なボディ構造&歩行者傷害軽減ボディ
ロアメンバーに加えアッパーメンバーを採用。さらに、ドアビームなどで強化。衝突時の衝撃荷重を効果的に吸収・分散しキャビンの変形を最小限に抑える強固なボディ構造としました。さらに、万一の対人事故の場合に衝撃を緩和するボディ構造も採用しています。
キャブオーバー車でボンネットはないが、一応、小さな鼻先は衝撃吸収を考えられて設計されているようだ。
1ton積載のキャブオーバー車ではクラス最強クラスとのメーカー情報。
この小さなクラッシャブルゾーンで必要な衝撃吸収性を持たせるため、さぞかしメーカー技術者は骨を折りまくっていることだろう。我々の骨が折れてしまわないように。
ドライバーの脚部への傷害を軽減。
ステアリング&ブレーキペダル後退低減機構(回転式)
前方から強い衝撃を受けた際には、ブレーキブースターが回転。ブレーキペダルの飛び出しを抑えることで、ドライバーの脚部への傷害を軽減する構造としました。ブレーキペダルにはダブルリンク式を採用し、乗員保護性能を確保すると同時に、ペダルストロークを縮小することでブレーキフィーリングを向上させています。
なるほど、ブレーキブースタの後ろに支点があって、ブレーキブースタが押されるとペダルが下がる構造になっている。
衝突寸前まではブレーキペダルをベタ踏みだろうから、有効かもしれない。
ボンネットがないボディ形状なので、正面衝突ではそもそも足元空間が潰れそうではあるが。
ハイエースの安全性都市伝説
メーカー公式情報ではないので、都市伝説という位置付けだが、ネットで収集したハイエースの安全性についての情報について。
信ぴょう性のほどは読み手に委ねるとして、調べてみると悪い噂は「こんなボディ形状、棺桶かよ!www」みたいな感情論が多い一方で、良い噂は妙に説得力(技術的、物理的裏付け)があるものが多かった。
ある自動車評論家の投稿
新型(2004年後期モデル以降)ハイエースの対車の衝突安全性は異常だな。
あくまで気持ち程度の衝撃吸収アルミが30cmだけ付けられたコンクリートの塊に
時速64kmのオフセット衝突でぶつけても乗員の安全性は保護されている。
全く前に安全ゾーンが無いのにな。だが、新型ハイエースが一番凄いのが対車の衝突安全性だ。
これは警察や消防関係者の間では有名な話だ。
ハイエースは積載重量が850~1250kgでトラック並だ。
シャーシは無くモノコックボディーでこの高重量を支える。つまり基本の足回りや土台が滅茶苦茶強く作られている。
実際の車同士の事故ではハイエースは前部のセーフティーゾーン
(エンジンスペース)が殆ど無いにも関わらず車室が殆ど潰れる事無く
相手の乗用車の車室までめり込んでるケースが殆どだ。だから乗用車とハイエースの事故では乗用車の方が怪我をしたり死んでるケースが多い。
三菱のエクスプレスなんかはワンボックスの中で一番安全性が低いと言われてるが
アレでも乗用車よりは強いと言われてるからな。
ハイエースはワンボックスの中でも一番強く最強の安全性を誇るので
市販車でハイエースより強い車はランクルやハイラックスぐらいのモノと思われる。
うん。「人間5人しか乗らない乗用車」と、「1tonの荷物を積むハイエース」、ボディ剛性を考えると圧倒的に後者が強そうだ。
そして車室が潰れなければ、エアバッグさえ展開できれば命は助かりそう。
ハイエースは重いので有利説
はじめまして結論から申し上げると「質量の原理」ですが、ややこしいのではしょって説明すると重いのもと軽いものが衝突すると軽いほうがダメージを受けやすいと言えばわかり易いですね!人間でも体重の重い人と軽い人が衝突すれば軽い人がケガをするリスクが高くなるのと同じです。
決してボディ剛性が優れているとかハコ型の設計が優位とかではありませんよ。
自動車が60㎞同士で衝突すれば重いほうの車は軽いほうの車にメリ込むように破壊しながら弾き飛ばすので必然的に自車のダメージは軽減されます。
ハイエースは自重+運転手で1,800~2,500㎏、コンパクトカーで1,000~1,200㎏、ミニバンで1,500~1,700㎏で車種やグレードにもよりますが重いほうが軽いほうを壊しながら弾き飛ばしますね!
クラウンやレクサスのような本格セダンで質実剛健な車体に長いボンネットでクラシャブルゾーンがシッカリした車だとハイエースの重さの優位性は低くなりますが、コンパクトカー相手でも正面衝突すればハイエースも無傷で済むわけもなく見た目の潰れ具合が優れているだけで20㎝も凹めば運転手の両足は相当のダメージを喰らい、40㎝も凹めばエアーバックが展開してもステアリング本体が胸部を圧迫します、逆に40㎝まらミニバンやコンパクトカーでは生存率高くもケガの具合も軽度で済む可能性は高いですね。
なるへそ!
確かに高校で習う「運動量保存則」によると重いハイエースは大きな運動量を持っているので、正面衝突しても、軽い車は進行方向と逆に弾かれて、ハイエースは減速するものの、進行方向に進み続けるかもしれない。
その場合、逆方向に弾かれる軽い車の人間にかかる衝撃(加速度)は大きな差になりそうだ。また、逆に正面衝突しても減速するものの進行方向に進み続けるハイエースの衝撃はマイルドになる。
さらにいうと、交通事故のニュースで死亡事故は軽自動車が多いというのも、この理論でうなずける。
検証!重い車は衝突時どのくらい有利?!
超簡単のため、2トンのハイエースと1トンの乗用車が60km/hで正面衝突する例を考える。跳ね返り係数は不明だが、お互いクラッシャブルゾーンがあるので非弾性衝突(跳ね返り係数=0)と置いてみる(衝突後、二つの物体は合体して移動する)
運動量保存則を用いて衝突度の速度Vaを求めると
2t x 60km/h + 1t x (-60km/h) = (2t + 1t) x Va
Va=20km/h
つまり、2トンのハイエースと1トンの乗用車が60km/hで正面衝突すると、2台の車は潰れながら合体し、20km/hでハイエースが進んでいた方向に移動する。
この時のお互いの速度変化は
・ハイエース;60km/h - 20km/h = 40km/h
・乗用車:60km/h - (-20km/h) = 80km/h
となり、乗用車はハイエースの2倍の速度変化を受けることになる。
また、運転手への衝撃について考えると、速度変化の一次微分が加速度(衝撃G)であるため、正面衝突でお互いの速度変化にかかる時間は同じのため、速度変化が2倍の乗用車のドライバーはハイエースのドライバーの2倍の衝撃を受けることになる。
あな恐ろしや!
というわけで、超重いトラックなどは交差点で乗用車と正面衝突しても、トラックドライバーはほとんど衝撃を受けないのである。重いほど有利。
また、今回は重い車と軽い車の比較のため、諸々を簡単化してます。
たとえば、車のクラッシャブルゾーンを2倍にして衝撃吸収する時間が2倍になったとすると、衝撃力は速度の時間変化の一次微分なので、衝撃力は1/2になります。
ハイエースはこれでも潰れしろ(クラッシュブルゾーン)はある
ワンボックスの潰れ代は意外とありますよ。
現行型ハイエースの場合、バンパー先端からインパネ先端まで70cmほどあります。
その差は先代ハイエースと並べて観察すると一目瞭然です。
運転席の位置も先代と比べて後ろななめ上に移動しており、乗員がダメージを受けにくい配置になっています。
ボンゴ(ブローニィじゃない方)は元々4ナンバー枠いっぱいではないため、フロントバンパーを延長した上で、ボディ前半分のみをフルモデルチェンジして衝撃吸収構造にしています。
運転席が斜め上に移動も、安全性に有利そう。
とはいえ、乗用車に比べるとクラッシャブルゾーンが不足しているのは間違いないので、キャブオーバーは確実に不利。
こちら、安全性能が高いといわれているテスラ モデルS。ボンネットが大破しているのにキャビンは変形が少なく、ドライバーの空間を確保している。うまくクラッシャブルゾーンで衝撃を逃がしている良い例だろう。
ハイエースのクラッシュテスト
自動車の衝突安全性テストは様々な国で行われている。
下の動画はオーストラリアのANCAP(Australasian New Car Assessment Program)の、ハイエースのオフセット全面衝突試験の動画。試験方法は日本の自動車アセスメント(JNCAP)と同様だ。
オフセット前面衝突試験 [平成21 年度から新規導入(一部)]
運転席と後部座席にダミーを乗せた試験車を、時速64kmでアルミハニ力ムに運転席側の一部(オーバーラップ率40%)を前面衝突させます。そのときダミーの頭部、頚部、胸部、腹部(後部座席に限る。)、下肢部に受けた衝撃や室内の変形をもとに、乗員保護性能の度合いを5段階で評価しています。
平成20年度まではダミーを運転席及び助手席に乗せて試験を実施していましたが、平成21 年度より助手席に乗せていた男性ダミーを女性ダミーに変更し、後部座席に乗せて「前面衝突後席乗員保護性能評価」を行っています。 フルラップ前面衝突試験が主に乗員を保護する拘束装置(特にエアバッグ、シートベルトなど)を評価するのに適しているのに対し、衝撃を車体の一部で受けるため、ダミーへの衝撃はフルラップ前面衝突に比べ弱いものの車体変形が大きく、変形による乗員への加害性の評価に適しています。 なお、現実の衝突事故のほとんどはこの衝突試験の速度以下で起きていますが、衝突速度が非常に速い場合、衝突相手が車体の大きいトラックなどの場合、シートベルトをしていない場合などには、この衝突試験による評価はあてはまりません。 また、衝突試験の結果は、試験車の質量が同程度の場合に限り比較が可能です。
動画を見て、思わず「足ーーーーっ!」って心で叫んでしまった。
レポートをのぞいてみると(赤いほどダメージ大)
足、死んでるやん!
とはいえ、胸部から頭部にかけては車室は潰れていないので、命は助かっているのだろうか。
詳しいハイエースのクラッシュテストレポートはこちらでみられる。
総合点は25.5点/37点中。グレードは4star/5star満点。
この数字は、最近の車としては高くない。最近の車は5starが当たり前のようになっているからだ。
とはいえ、昔のキャブオーバー車なんかは8.49点/37点中しかないので、同じくキャブオーバー車でもハイエースは随分とマシなレベルと言える(というか、キャブオーバーで25.5点は凄いのかもしれない)。
参考に、ANCAPのバン車別のレポートはこちら
バンでもっとも安全性が高かったのが、33.81点/37点中 獲得のおベンツのバン。
しかし、この車は以前の課長が乗っていたのだが、トラブルばかりで別の意味でオススメできない(彼はトラブルに嫌気が指し、ハイエースに乗り換えた)。
他のセミキャブ(ボンネット付き)のバンでも4starだったりするので、ハイエースのキャブオーバーで4starは敢闘賞ものかもしれない。
ハイエースはないが、日本の衝突安全テストレポートはこちら。
点数が低い方で検索すると、軽自動車ばかりになる。やはり軽自動車は安全性低いようだ。
一方で、質実剛健な3ナンバー乗用車は点数が高い。
安全性な車に乗りたく、かつ自分のように趣味でも使いたいならSUVあたりが良さそうだ(車中泊はできないが)。
ちなみに、ミニバンのトヨタヴェルファイアのクラッシュテストはこんな感じ。
もっとも安全性テストの結果が良いスバルのインプレッサ。
どれも痛そうで、この動画を見るだけでも、安全運転しようって気になる。うんうん。
実際の交通事故では意外と丈夫?
「ハイエース 交通事故」でググって、上のほうに出てきた事故事例の紹介。
ハイエース vs. 軽トラック
軽トラの男性死亡。。。
一方で、ハイエースのダメージが少ないように見える。
まさに上の方で書いた、質量の原理を証明する事故事例である。
ハイエース vs. タンクローリー
今度は逆にハイエースの方が車重が軽い事故事例。
ハイエースの乗員8人は怪我を負ったが、タンクローリの運転手は無傷。
重い方が安全。やはり車格(重量)は重要。
時速何キロで衝突したかは不明だが、大破したハイエースを観察すると、運転席周りのセーフティゾーンはちゃんと確保されているのがわかる。
単独で衝突事故?のハイエース
運転手無傷らしい。
小さな鼻先が潰れて、強固なフレームが衝撃を後ろに逃がしている?
単独横転事故のハイエース(正面ぶつけてる)
6人乗りのハイエースに12人乗って事故った事例。定員の2倍って、どこのインドやねん!
7人重症だそうで。
車室はペチャンコにならず、空間は確保できている。
定員を守って全員がシートベルト着用なら、あるいは重傷者は出なかったのかもしれない。
これもボディは全体的にひしゃげているのに、セーフティゾーンは確保されているのがすごい。
ちなみに、軽自動車はペチャンコ
軽自動車の事故を検索すると、出るわ出るわのぺちゃんこ画像(一度検索してみてください)
先のハイエースのクラッシュと違い、軽ワンボックスん運転席の空間は確保されていない(運転手もペチャンコ)
これは、、、酷い。。おそらく旧規格(1998年以前)の軽自動車。
1998年以前の軽自動車の安全基準はかなり緩かったので、その結果がコレである。軽自動車のモノコックこそ走る棺桶かもしれない。
次期ハイエースは衝突安全性を高めるためセミキャブ化?!
けっこう安全性については健闘しているハイエースだが、次期モデルではついにセミキャブになることがウワサされている。
室内空間がウリのハイエースなので、ボンネットをつけてセミキャブにすると魅力は半減。特に日本の仕事場において、ハイエースは4ナンバー枠いっぱいまで室内空間を取って、なおかつ日本の狭い道でも小回りがきくお仕事に欠かせない車。セミキャブ化されても、はい乗り換えますよとならないと思われる。
ハイエースの安全性まとめ
調べてみた結論は、キャブオーバー車にしてはハイエースは安全性は高い方。また、事故事例をみても意外と丈夫なボディであることがわかった。
とはいえ、やはりキャブオーバー車の構造的な弱点として、質実剛健な最近の乗用車と比べてしまうと安全性が低い。
しかし、記事を書くため色々事故事例を見て思うのが、どんなに頑丈な車でも、絶対に事故を起こしてはいけないということだ。
いくら安全性が高まろうとも、事故をして得する人間は一人もいない。人を不幸にするばかりだ。
今回、この記事をまとめた理由の一つは、安全への啓蒙活動である。
この記事で車の安全性について考えることで、少しでも安全運転への一助となればと願う。
ハイエースへの買い替えを検討しているなら、愛車の売却方法はお決まりですか?
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ブログ筆者48Rの場合、トヨタディーラーより40万円も高い査定額でした。
ディーラーの査定だけだと、絶対損します。