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シマノMTB用油圧ブレーキのオイル交換&エア抜き(ブリーディング)方法

今回の記事はシマノのMTB用油圧ブレーキのオイル交換&エア抜き(ブリーディング)方法のご紹介。

シマノの油圧ブレーキはメンテナンス性に優れており、ブリードキットがあれば48Rのようなサンデーメカニックでも比較的簡単にブレーキオイルの交換が可能である。

今回はシマノの新型ブリードキットでMTBの油圧ブレーキ(SAINT)のブレーキオイルを定期交換したので、その作業を紹介します。

簡単とはいえ、ブレーキは命に関わる部品なので、作業に自身のない人はプロショップに頼みましょう。

 

油圧ブレーキオイルの交換タイミング

よく乗る人は1年に1回、48Rのような月に1、2回しか乗らないライトユーザーでもブレーキオイルは経年劣化するので、最低2年に1回は交換したほうが良い。

油圧ブレーキはブレーキオイルの劣化によりブレーキタッチが悪くなったり、最悪ブレーキ不具合で重大な事故を招く危険性がある。

ブレーキオイルの劣化は乗っていて感じることは難しいし見た目で判断もできないので、不具合が起こる前の予防メンテナンスが重要なのだ。

 

 

シマノ プロフェッショナル ディスクブレーキブリードキット Y13098630

シマノのブリードキットが2021年にモデルチェンジしてとても使い易くなった。

MTB用でもロード用でも全ての油圧ブレーキに対応したのと、ホースと注射器やブリードニップルへの接続が確実になり、いままでのイライラポイントが大幅に改善されたのだ。

48Rは旧キットを既に持っていたのだが、その評判を聞き、新型に買い替えてみた。

 

こちら旧ブリードキット。

一応、ホース先端に黒いプラスチックのホース固定ツールがついているが、あまり確実にホースが固定できず、使いにくかった。

 

 

こちら新型ブリードキット。

注射器とジョウゴ(右上)はMTB用とロード用2種入っている。また、ブリードブロックが数種類入っており、シマノのブレーキャリパー全てを網羅することができる。

(旧ブリードキットはブリードブロック別売)

 

注射器との接続はねじ込みしきになっており、差し込むだけだった旧型に比べ確実な接続ができるようになった。

 

ブリードニップルに接続する側もコネクタ化されて確実性アップ。

ここも旧キットのイライラポイントが大幅に改善され、簡単確実な接続が可能となった(ホースが外れるとオイルが飛散して悲惨だったんです。。)。

 

ホースクリップも付属され、オイルラインを閉じることも可能。

旧キットの注射器に比べ、かなり使い勝手が良い。

 

ブリードブロックは4種入っていて、シマノの現行ブレーキキャリパーは全て網羅。

 

旧型のブリードキットのほうが安いのだが、MTBしかメンテできないし作業性も悪いので、今から買うなら新型ブリードキットをお勧めする。

ロード用なんて一生必要ないって思ってても、注射器の使い勝手だけでも新型買う価値あり。

 

めっちゃ使いやすくなっているので、旧キットはもうお蔵入りかな。

 

シマノ ワンウェイブリーディング

シマノのブレーキは「ワンウェイ ブリーディング」と呼ばれる油圧システムを採用しており、ブリードニップル(下の画像のIN)からブレーキホース(下の画像のOUT)まで、袋小路のないオイル経路になっている。

これにより油圧システム内にエアが簡単に排出され、素早く簡単なブリーディングが行えるようになったのだ。

(上の図の「従来システム」だと、赤の部分にエアが残留しやすい)

この合理的な構造のおかげで、48Rのようなサンデーメカニックでも特にエア抜きで困った経験なくイージーメンテナンスに貢献している機構である。

さすがシマノさん!

(48RはSRAMもMaguraも自分でオイル交換&エア抜きしているが、シマノが1番メンテナンス性が良い。Maguraなんて、気をつけても作業中にブレーキオイルめっちゃ漏れるので最悪)

 

シマノ ブレーキオイルの交換&エア抜き(ブリーディング)方法

今回はオーソドックスな注射器で下(キャリパー)からブレーキオイルを注入する方式をご紹介。

(シマノのサービスマニュアルには書いてない方法だが、バイクみたいに上から注入しても問題ないです。今回は正攻法での作業紹介)

 

必要工具

・ブリードキット

・7mmメガネレンチ

・3mm六角レンチ

・2.5mm六角レンチ

・ラジをペンチ

・ドライバー(柄で叩くだけなので、なんでもOK)

・耐油ホースとビニール袋

・シマノ純正ブレーキオイル

・パーツクリーナー

・ウェス

 

ちなみに、シマノ純正ブレーキオイルは100mlで1,300円ほどなのだが、その10倍の容量の1,000mlではお値段2,600円。

いきなりオイル単価が1/5になるので、頻繁にメンテする人は1,000mlがお得である。

(お得とは言え、前後ブレーキのオイル交換をして50mlくらいの消費量なので、1,000ml使い切るのは相当大変だが)

 

 

手順①ブレーキキャリパーにブリードブロックを取り付け

まずはパッドピンの取り外し。下画像の黄色丸のクリップをラジオペンチで取り外す。

 

お次は3mmの六角レンチでパッドピンを取り外す。

ブレーキパッドは当たりが出ている状態なので、左右が分かる状態にしていったん置いておく(ブレーキパッドは左右入れ替えても取り付けられるが、またパッドの当たりがでるまでタッチが変わる可能性があるため、左右は区別したほうが良い)

ちなみに、ブレーキパッドを取り付けた状態でもブレーキオイルの交換はできなくはないが、ブレーキオイルがパッドにつくとパッドの微小な穴にブレーキオイルが染み込んでパッドがオシャカになるので、ブレーキパッドを取り外しての作業を強く推奨する。

 

ブレーキパッドの代わりにブリードブロックを取り付ける。

 

ブリードニップルのキャップを取り外す。

このキャップはなにげに重要な役割で、ブリードニップルに泥がついている状態でオイルを注入するとブレーキラインに泥が侵入してしまうので、それを防ぐためなのだ。

 

 

手順②レバーにオイルファンネル(=じょうご)を取り付ける

ブレーキレバーのキャップボルトを2.5mmの六角レンチで取り外して、ブリードキットのオイルファンネルを取り付ける。

 

 

手順③注射器にブレーキオイルを入れる

ブレーキオイルの容器に注射器にセットしたホースを突っ込んで、注射器にオイルを注入する。

25mlもあれば十分。

 

そしてキャリパーのブリードニップルに7mmのメガネレンチをセットして、ブレーキホースの先端をブリードニップルに接続する。

いや〜新型ブリードキットは先端のコネクタでしっかりとブリードニップルに接続できるので、かなり良い!

 

注射器が上になるように仮固定して、ホース中のエアが上に抜けるようにする(注入するオイルに空気が混じらないようにするため。ホースのエアが自然に抜けない時は、ホースを指で揉むと上に抜ける)

なるべく気泡のないオイルを注入することが確実なエア抜きのコツ。

 

手順④ブレーキオイルの注入

ブリードニップルを60°ほど緩めてオイルラインを開いて、注射器を押してオイルを注入していく。

 

新しいブレーキオイルの注入によって、ブレーキ内の古いオイルがオイルファンネルに押し出されてくる。1年ぶりの交換なので、オイルが黒い!

 

ファンネルに溜まったオイルは、ファンネルに蓋をして、一度レバーから外して廃棄する(オイルが汚かったので、念の為回2回オイル注入したが、2回目に出てきたオイルは下の画像のように綺麗だったので、1回の注入で古いオイルは全て排出されるようです)。

 

手順⑤ブレーキのエア抜き

キャリパー側のエア抜き

ブレーキラインから排出したブレーキオイルは一度廃棄して、オイルファンネルにはエア抜き用に新しいオイルを注入する。

 

また、排出したオイルを受けるため、ホームセンターで売ってる耐油ホースにビニール袋を取り付けて、ブリードニップルに接続する。

↑7mmのメガネもセット。

 

ブレーキレバーを何度か握って、しっかりブレーキライン内の油圧を上げて、レバーを握ったまま0.5秒ほどブリードニップルを一瞬緩めてオイルを排出する。

キャリパー内にエアが残ってたら、オイルと一緒にエアが排出される(今回は気泡を完全に抜いたオイルを下から注入しているので、キャリパー内にエアは残ってなかった)

 

エアがなかなか抜けず、レバータッチがカチッとしてこないときは、キャリパーをドライバーで叩いたりしてエアの排出を促す。

キャリパーからオイルを排出する時、オイルファンネル側のブレーキオイルが空にならないように注意すること(オイルファンネルのオイルが空になると、またブレーキラインにエアが入っちゃう)

 

この作業をブリードニップルからエアがでなくなり、レバーのタッチが硬くなるまで続ける。

 

ブレーキレバーのエア抜き

ブレーキレバー側のエアは、ブレーキレバーをバシバシ指で弾いたり、ドライバーの柄で叩いたりして、オイルファンネル側にエアを抜く。

 

エアが混入していれば、振動を与えることでエアは上に登りオイルファンネルから出てくる。

オイルファンネル側に気泡が出てこなく、レバータッチもふにゃふにゃせず硬くなれば、エア抜き作業は完了だ。

(レバー側でエアを抜き切ってもブレーキタッチがふにゃふにゃなら、またキャリパー側のエア抜きへ戻る)

 

エア抜き作業が完了すれば、オイルファンネルに栓をして取り外す。

 

レバーのキャップボルトを閉める時は、レバー内に気泡を残さないため、ブレーキオイルを溢れさせながら締める。

キャップボルト付近はブレーキオイルのリザーブタンクになっているのだが、ここにエアが入っていると、自転車を傾けたりしたときにブレーキラインにエアが入ってタッチがフニャンフニャになってしまうのだ。

リザーブタンク内はダイヤフラムというパーツが伸び縮みすることで容積を調整するので、一切エアが入っていなくても大丈夫(ここがオートバイや車のリザーブタンクと異なる点で、リザーブタンクオイル容量のアッパーレベルの概念がない)

 

仕上げにレバーとキャリパーに付着したオイルをパーツクリーナーで綺麗にする。

 

あとはブレーキパッドとフロントホイールを元に戻して完了だ。

お疲れ様でした。

 

シマノ油圧ブレーキのオイル交換まとめ

マグラもスラムも自分でブレーキオイル交換しているけど、シマノのブレーキシステムはメンテやり易くて良いよね。

今回導入した新型ブリードキットはブリードニップルとの接続が確実になって、それだけでも買い換える価値のあるくらいと感じた(ブリードニップルへのホースが抜けたりすると、めっちゃイライラするので)。

こらからブリードキットを購入する人は安い旧キットではなく、絶対に新型キットを買うことを強くオススメする。

また、前後ブレーキオイルの交換&エア抜き(ブリーディング)で1時間程度の比較的簡単な作業ではあるが、ブレーキ性能は命に関わるので、作業に自信のない人はショップに依頼することをオススメします。

 

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