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JB64/JB74ジムニーのブレーキフルード(ブレーキオイル)交換方法【DIYメンテナンス】

前回のブレーキホース交換ついでのフルード交換から2年経ったので、サクッとフルードだけ交換しました。

定期的に交換しているのでブレーキフィーリングに大きな変化はないのだが、きっちりメンテして車を走らせるのは気持ちの良いモノですね。

 

注)ブレーキは命にかかわる重要な部品なので、自信がない人は絶対に無理せずお店で交換してもらいましょう。

 

ブレーキフルードについて

ブレーキフルードの役割

ブレーキフルードの役割は、ブレーキペダルを踏んだ圧力をブレーキパッドを押しつける力として伝えることである。

以下に油圧ブレーキの模式図を示す(図は以前自転車の記事で作ったものの流用で「ブレーキレバー」の絵になっているが、車の「ブレーキペダル」でも仕組みは同じ)

レバー側のマスターシリンダー内のピストンを押すと、油圧ブレーキ内のブレーキフルード(油圧を伝える液体)の圧力が上がり、ブレーキキャリパー側のピストンが押し出されてブレーキディスクを挟みブレーキ力が発生する。

この時、中学物理で習うパスカルの原理が働き、ブレーキフルード内の圧力は全ての場所で同じ圧力になるので、

例えば

  • 入力側マスターシリンダーのピストンの断面積を2
  • ブレーキキャリパー側のピストンの断面積4
  • ブレーキキャリパー側はピストン2個なので合計断面積は8

のようなピストン断面積のとき、ブレーキを踏み込み入力側マスターシリンダーで油圧Pを発生させると

  • 入力側マスターシリンダーのピストンを押す力は2xP
  • キャリパーが側のピストンを押す力は8xP

となり、4倍の力を得ることが出来きるのである。これが油圧ブレーキが大きな制動力を得ることができる仕組みである。

(実際には自動車の場合はブレーキペダルとマスターシリンダーの間にブレーキブースターと呼ばれるマスターシリンダーを押す力を大きくする補助装置が付いている)

また、ジムニーを含めリアには油圧式ドラムブレーキを採用している車も多いが、動かす部品がブレーキピストンかブレーキシューかの違いであって、油圧で力を伝える点は共通だ。

 

ブレーキフルードの成分

ブレーキは運動エネルギーをブレーキパッドとブレーキディスクの摩擦熱に変換するので、とにかく高温にさらされる部品である。また、どんな寒い地方でも確実にブレーキを作動させるため、ブレーキフルードは下はマイナス50度でも凍らず、上は200度近い温度まで沸騰しないという性質が求められる。

上記性能を満たす作動油として、ポリエチレングリコールモノエーテルを主成分としたものが用いられている(仮にブレーキフルードの代わりに水を入れたら、フルブレーキングで沸騰してエア噛みした状態になり、ブレーキペダルを踏んでも水蒸気が圧縮されるだけで全然ブレーキが効かなくなる!)。

 

ちなみに、「油圧ブレーキ」という名称から使用されている液体を「ブレーキオイル」と書いている書物やブログを見かけるが、ポリエチレングリコールモノエーテルは油ではない。なので、正しくはブレーキフルード(フルード=液体)と言うのが正解です。

 

 

ブレーキフルードの劣化

グリコール系の液体は水分を吸収しやすい性質があり、吸湿したブレーキフルードは沸点が下がる性質がある(下がると言っても200℃沸騰が150℃沸騰程度は維持しているので、油圧ブレーキの作動油としては他の液体より優れた性質)。

沸点が下がるとブレーキフルードが沸騰してエア噛み状態でブレーキが効かなくなるので大変危険である。

また、ブレーキペダル側のマスターシリンダーやブレーキキャリパーのピストンなど摺動する部品のスラッジなどでフルードが黒く汚れたりもする。

 

こうした劣化もあるので、安定したブレーキ性能を発揮するには、定期的なフルード交換が必要なのだ。

 

 

ブレーキフルードの交換時期について

諸説ありどれが正解か難しいところだが、一般的に言われている2年毎(車検毎)に交換しているとまずフルードがらみのトラブルはないだろう。

まあ、街乗りや高速道路巡行だけなら4,5年ごとに交換でも実際問題はないのだが、フルード交換作業は1時間もかからないし、DIYでやればフルード代千円程度なので、まあケチって4年もたせるより定期的に交換しほうが精神衛生上良いと思っている。

 

ちなみに、ブレーキフルードは熱と使用期間で劣化するのだが、熱は恐ろしく劣化する。48Rのお仕事で使っているテスト車両は想像を絶するほどハードなブレーキングで使用するのだが、毎回フルード新品にしないとテスト中にブレーキが効かなくなるというくらい劣化が早い(交換サボったら一度事故って廃車になった)。

 

というわけで、使い方によっては4,5年は問題ないであろうブレーキフルードなのだが、ちょっとブレーキの発熱量が大きい人(サーキットと山道の下りが熱的にシビア)は2年毎が安心である。

 

 

ブレーキフルード交換方法

作業としてはさほど難しくないのだが、重要部品なだけに不安ならお店に頼んじゃいましょう(車検整備ごとに依頼するとちょうど2年周期)。

また、ブレーキフルードは吸湿性があるので、雨の日の露天作業は控えましょう。

 

作業時間:40分

作業難易度:★★☆☆☆

 

 

必要工具

  • 8mmメガネレンチ(リアブレーキ用)
  • 10mmメガネレンチ(フロントブレーキ用)
  • ワンウェイバルブ付きブリーダーボトル
  • ブレーキフルード(DOT3)1リットル
  • 注射器とホース
  • ウェス
  • 水道とホース、柄付きスポンジ(清掃用)
  • 廃油パック

 

ワンウェイバルブ付きのブリーダーボトルは超オススメ!

この工具がないとエア抜きには2人必要で、運転席の側の人間がブレーキを踏む→もう1人がブリーダープラグを緩める→フルード排出→ブリーダープラグを締める→もう一度ブレーキを踏み直す、を繰り返すので、結構手間と時間がかかる作業。

一方でワンウェイバルブを使えばブリーダープラグをいちいち開閉もする必要なく、ブリーダープラグを開放して1人でブレーキをベコベコ蹴っ飛ばすだけでフルードを入れ替えることができるので、手間と時間を大幅に節約することができる(短時間で大量のフルードを排出できるので、リザーバータンクのフルード切れには注意!)。

 

 

JB64/JB74ジムニーの指定ブレーキフルードはDOT3。

 

 

ブレーキフルード交換の順番

ブレーキフルードの排出はマスターシリンダーから遠いほうから作業するのがセオリーだが、ジムニーの場合はサービスマニュアルで次の順序が指定されている。

左後⇒右前⇒右後⇒左前

 

これはマスターシリンダーから遠い側から作業するのが昔からのセオリーだが、ブレーキ系統は2系統に分かれていて、右前-左後と、左前-右後のたすき掛けに分かれているので、各系統の遠い方から作業する手順が指定されている(どの車でもブレーキホースがもし破断しても油圧ブレーキを作動させられるように、油圧ブレーキは2系統に分かれている。JB23ジムニーは左前-右前と左後-右後の前後2系統だった)

 

ちなみに「マスターシリンダーから遠いところから作業」の理由知ってます?48Rは知らないのでご存じの方がいらっしゃったら教えてください(実際にはどこから作業しても、問題ないです。が、順番決まっているとやり忘れもないので一種の儀式みたいなものでしょうか?)

 

手順①リザーバータンクのフルード入れ替え

リザーバータンク内の古いフルードをブレーキラインに送り込みたくないので、まずはできるだけリザーバータンクに残ったフルードの抜き取り作業。

 

キャップを開けるとゴミ混入防止のために目の細かいネットがあるので、それも取り外す。

 

リザーバータンク内に注射器に繋いだホースを挿入し、古いフルードを抜き取る。

新品のフルードは無色に近いけど、抜いたフルードは濃いめのおしっこ色になってるね。

 

大体フルードが抜けたらゴミ混入防止のネットを戻して新しいフルードを補充する。

 

 

手順②左後ブレーキのフルード交換

ここでワンウェイバルブ付きブリーダーボトルの登場。

 

まずはブリーダーボトルの設置準備。

左リアのプラグについているキャップを手で取り外す。

 

8mmのレンチをブリーダープラグに引っ掛ける。

 

ワンウェイブリーダーボトルのホースを接続する(この時ゴムジョイントの奥までブリーダープラグが入っていることを確認すること)。

 

ブリーダーボトルをリアゲートのストライカーに引っ掛ける。

 

ブリーダーボトルの準備が完了したら、ブレーキフルードの入れ替え作業。

まずはブリーダープラグを緩める。

これでドラムブレーキ内とホース間でフルードが移動できるようになる。

 

ブレーキペダルを踏んで油圧をかける。

 

するとどんどんフルードがブリーダープラグを通過してボトルに流れ込んでくる。この調子でブレーキラインに残ったフルフルードを排出していく。

 

ブレーキペダルを踏み続けると、どんどんリザーバータンクのフルードが減ってくるので、適宜補充しながら作業を進める。

リザーバータンクのフルードが切れるとABSユニットにエアが混入して大変なことになるので、絶対にリザーバータンクのフルードは空にしないこと!

 

後ろブレーキはマスターシリンダーからの距離も遠いのと、まだ一回目の排出作業でブレーキライン内に古いフルードも残っているので、リザーバータンクのフルードがアッパーレベルからロワーレベルになるまでフルードを排出して、もう一度アッパーラインまで注いでからロワーレベルまで排出の2回転作業した。

 

フルード入れ替えが終われば、ブリーダープラグを閉じてからホースを外す。

 

ブリーダープラグを締めた状態でブレーキを踏んだとき、しっかりとした踏み応えがあればOK。

 

ちなみにブリーダープラグのトルクは7.4N·mと低めの締め付けトルク。しめすぎるとブリーダープラグに開いたオイル通路が潰れてしまうので、締め付けトルクには注意しよう。

 

次のフルード入れ替えに備えて、もう一度アッパーレベルまでフルードを入れておく(ブレーキフルードは吸湿するので、キャップ開けっぱなしの作業は控えてます)

抜いたフルードは水分不足気味の濃いめおしっこ色だったけど、新品フルードは無色透明。

 

 

手順③右前ブレーキのフルード入れ替え作業

リアブレーキのブリーダープラグが8mmレンチだったのに対し、フロントブレーキは10mmのレンチを使う。

レンチのサイズが異なるだけで、作業は先ほどの左後ブレーキと同じ。

フロントはブレーキラインが短いし、リア側のフルード排出でマスターシリンダー直後のフルードも入れ替わっているので、フルードの入れ替えはアッパーレベルからロワーレベルまで1回分で十分。

ブリーダープラグの締め付けトルクは11N·mだ(リアより締め付けトルク高い)。

 

 

手順④右後ろのブレーキフルードの入れ替え

作業としては左後ろブレーキの②と同じなので略。

 

手順⑤左前ブレーキのフルード入れ替え

作業としては作業としては右前ブレーキの③と同じなので略。

 

抜いたフルードは廃油パックなどで適切に処理しましょう。

 

手順⑥フルードの清掃

ブレーキフルードは塗装にダメージを与えるので、入念に清掃しよう。

ブレーキフルードは水溶性なので、水をかけながら柄付きスポンジで洗い落としていく。

 

 

 

手順⑦テスト走行と点検

念の為、サイドブレーキで止まれるくらいの速度でブレーキテスト(サイドブレーキはワイヤーでリアのドラムブレーキを作動させるので、油圧とは別ラインでブレーキをかけられる)

しっかりいつも通り止まれることと、再度ブリーダープラグやホース回りからフルードが漏れていないことを確認して、作業は完了。

 

 

ブレーキフルード交換作業まとめ

慣れれば30分もかからないくらいの作業だが、ブレーキの整備ミスは命取りなので、慣れている人と一緒にやるか、不安ならお店に任せましょう(大体ディーラー工賃は1万円/時間なので、フルード交換くらいなら工賃5000円+フルード代程度とそんなに高くないです)。

ネットで調べていると「フルード交換5年してないけど大丈夫だった」や「足車は10年フルード交換していない」とか謎の整備不良自慢の情報もみかけるのだが、フルードは距離ではなく期間と熱で劣化するし、熱の入りかたは乗り手や車によって千差万別なので、自分の車の使い方を考えて適切なタイミングで交換しましょう。

 

 

 

他にも「JB74ジムニーシエラ」タグで色々ジムニー 記事書いてます。よろしければ、そちらの記事もどうぞ。









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