シマノのコネクティングピンタイプのチェーンの切り方、繋ぎ方を解説します。
工具さえあれば、チェーン交換は簡単です。
チェーン交換に必要な工具
- チェーンカッター
- チェーンフック
チェーンカッターとチェーンフック合わせて1千円~2千円程度で購入可能だ。
チェーン交換に必要な部品
チェーンの繋ぎ方の種類
チェーンの繋ぎ方には2種類あって、昔ながらの「コネクティングピン」を使う方法と、最近シマノも他社に追随して採用した「クイックリンク」を用いる2通りがある(いや、シマノも昔クイックリンクタイプを出していたのだが、不具合続出で消えていった黒歴史がある。。)
コネクティングピンとは、自転車のチェーンをピンの圧入で接続する伝統的で確実な方法である一方、クイックリンクは、クイックリンク本体のパーツをスライドさせて取り外しができるように設計された、より手軽にチェーンを接続・分解できるパーツである。
チェーンを切って接続する時間はクリックリンクのほうが圧倒的に早いし、コネクティングピンの圧入加減の調整もいらないので簡単確実な方法であるが、クイックリンクの価格が高くコスパは良くない。
今回は、確実なチェーン接続方法であるコネクティングピンを使ってのチェーン切断/繋ぎ方を解説する。
チェーンの種類
チェーンの種類によって接続作業は変わらないのだが、接続部品はチェーンに合った適切なものを選ばなければならない。
シマノのMTB用チェーンだと変速段数により下記の種類がある(表が見切れている場合は横スクロールします)
単位:(㎜) | 変速段数 | チェーン | ピッチ | 外幅 | 内幅 | スプロケット ギア厚み |
スプロケット ピッチ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
シマノ | 12速 | 12速チェーン | 12.7 | 5.25 | 2.2 | 1.6 | 3.55 |
11速 | 11速チェーン | 12.7 | 5.62 | 2.2 | 1.6 | 3.9 | |
10速 | 10速チェーン | 12.7 | 5.88 | 2.2 | 1.6 | 3.95 | |
9速 | 9速チェーン | 12.7 | 6.6 | 2.2 | 1.78 | 4.35 | |
8速 | HG6~8速チェーン | 12.7 | 7.3 | 2.4 | 1.85-2 | 5-5.5 | |
7速 | 1.85 | 5 | |||||
6速 | 1.8 | 4.8 |
段数によってチェーンの幅が異なる理由は次の通り。
カセットスプロケが収まるスペースは何段変速だろうと同じで、ギアの段数が多いほど狭いスペースに数多くのスプロケットを納めなければない。そうなると、変速段数が多くなるほど各スプロケットギアを薄くしてなおかつスプロケットピッチも狭くし、さらにはチェーンの幅も狭めて多段化に対応しているのである。
コネクティングピンの種類
シマノのチェーンを繋ぐのには、コネクティングピンというチェーンの回転軸の部品が必要だ。
何速用のチェーンかで必要なコネクティングピンの種類が変わってくるので、間違わないように注意しよう。
下表にコネクティングピンやクイックリンクの品番をまとめてみた(表は横にスクロールします)。
チェーン | コネクティングピン | クイックリンク | ミッシングリンク | |||
12速用 | (コネクティングピンの設定なし) | ![]() |
SM-CN910-12 | ![]() |
CL552 | |
11速用 | ![]() |
Y0AH98030 | ![]() |
SM-CN900-11 | ![]() |
CL555R |
10速用 | ![]() |
Y08X98031 | (クリックリンクの設定なし) | ![]() |
CL559R | |
9速用 | ![]() |
Y06998030 | (クリックリンクの設定なし) | ![]() |
CL566R | |
6/7/8速用 | ![]() |
Y04598010 | (クリックリンクの設定なし) | ![]() |
CL573R |
自分が使っている自転車の変速段数を把握した上で、正しいコネクティングピンを購入してください。
ちなみに、ここで紹介しているシマノのクイックリンクは基本的には使用は一度限りで再使用は認められていないが、実際には各ユーザーの自己責任で繰り返し利用がされている(48Rも2、3回は自己責任で使っている)。
ミッシングリンクは再使用可能品と不可品の2種類あるが、上表の品番は12速品以外は再使用可能タイプだ(12速の再使用可能品はラインナップされていない。アウタープレートの薄い12速チェーンでは再使用はリスクあるのかも)。
チェーンの切断/繋ぎ方必要
今回は10速バイクをシングルスピードにカスタムしてチェーンを4コマほど詰める必要があったので、それを例題に解説する。
必要工具
- チェーンカッター
- チェーンフック
チェーンカッターで切る場所
チェーンはどこでも切って良いわけではなく、ちゃんと切り方に決まりがあるので覚えておこう。
コネクティングピンの場所では切ってはならない
チェーンを切断する場合、既にコネクティングピンで繋がれている部分で切断してはならない。
2回同じところを打ち抜くと、プレートの穴が広がってチェーン切れのトラブルの元になるからだ。
必ずリンクピンで切りましょう(まあ、テキトーに切っても100コマ以上あるチェーンではコネクティングピンに当たる確率は1/100以下だが)。
繋ぐ時の方向を考えて切る
チェーンを繋ぐときは下側のチェーンラインで図[A]のようにアウターリンクが進行方向前側にくるようにしなければならない。
48Rは理由まで知らないのだが、図[B]に比べ、図[A]のほうが強度が高いらしい(理由知っている人いらっしゃいましたらこっそり教えてください)。
というわけで、逆にチェーンを切る場合は、図[A]の状態になるようにアウタープレートの進行方向後側で切らなければならない。
上画像のように切ると、アウタープレートが進行方向前側に残るので、
チェーンの切断方法
チェーンの正しく切るべき位置のリンクピンにチェーンカッターをセットする。
次にチェーンカッターのハンドルを回していき、チェーンのピンを打ち抜いていく。
これでチェーンの切断は完了。
48Rの場合はシングルスピード化で長いチェーンが不要になったので、さらに4コマ詰めて切断した。
チェーンの繋ぎ方
チェーンを一度バイクから取り外した場合、チェーンの裏表を確認する。
素早い変速性能のため、チェーンは対称ではなく非対称に設計されているからだ。
まず、チェーンフックでチェーンを繋ぐ部分を弛ませる。
コネクティングピンをセットする。
チェーンカッターをセットし、ハンドルを回してコネクティングピンを圧入していく。
このとき、ピンを斜めに押さないよう、コネクティングピンとチェーンカッターのピンが一直線になるように注意する。
コネクティングピンの圧入完了。
コネクティングピンのガイド部分をプライヤーで挟んで折る。
モノによるかもしれないが、チェーンカッターの端で挟んでひねっても折ることができる。
コネクティングピンの差し込み量について
コネクティングピンは適切な位置に差し込まないとスムーズに動かないので、下記を参考に圧入してください。
最後にコネクティングピンを挿入した部分のリンクがスムーズに動くか確認し、問題なければ作業完了(ちょっと硬いくらいなら、オイルさしてしばらく走ればスムーズになります)。
チェーンの切り方/繋ぎ方まとめ
(コネクティングピンタイプ)
作業自体はチェーン切り工具さえあれば簡単だし、工具だって2千円もあれば購入することが可能なので、自転車メンテ初心者にもトライしやすい内容です。
とはいえ、正しいコネクティングピンを購入したり、チェーンの切り方繋ぎ方にも細かい決まりがあるので、作業は細心の注意を払って行ってください。
チェーン切れは自転車が漕げなくなるばかりか、切れた瞬間にバランス崩して最悪転倒までありうるので、記事を読んでも自信がない方はプロショップに任せましょう。