ネットでよく見かける「ハイエース2WD + スタッドレス(またはチェーン)でスキー場に行けますか?」にお答えします。
ズバリ、「そんな質問するくらいなら、マイカーで行ったらあかんわ!」である。
もっと言うと、ハイエースに限らず、自分で判断できずネットで質問するくらいなら行くべきではないと思っている。
もちろん雪国でも2WDのハイエースは走っているし、都会から2WDハイエースでスキー場に行く人もいる。それは十分理解している。
しかし、Yahoo!知恵袋でそんな質問をする時点で雪山走行経験は乏しいだろうし、チェーンも巻いたことないだろう。10回に9回はスキー場までたどり着けるかもしれないが、事故のリスクは4WDより高いことを意識しているだろうか?10回に1回の事故でも取り返しのつかない事態になる可能性があることも意識しているだろうか?立ち往生で大迷惑をかける可能性もあることを意識しているだろうか?
否。そんなことも自分で判断できずネットで質問するような輩はマイカーでスキー場へ行くべきではないと思っている。
もちろんこの記事は現在2WDのハイエースでスキー場に行っている人を否定するものではない。そんな人は2WDハイエースでも滑らせず運転できるし、危うい道は回避する経験も持っているし、チェーンを巻くスキルもある。
あくまで雪山運転技術もなく、スキー場へのアクセス路の険しさもよくわかってないのに、ネットで身につけたにわか知識を免罪符にノリと勢いでスキー場へ来るんじゃねぇというお話です。
ええ、ねっとりと独断と偏見で書いてますのであしからず(酔った勢い。まあだいたい酒飲みながら書いているブログだが)。
スキー場のアクセス路で立ち往生してる車はだいたい「2WD+ノーマルタイヤ+チェーン」か「2WD+スタッドレス」
スキー場に10年も通っているとだいたい傾向はつかめてくるのだが、スキー場への急な山道で立ち往生している車は99%は2WD+ノーマルタイヤ+チェーン」か「2WD+スタッドレス」である。また、その95%くらいは雪山通い慣れてなさそうな家族づれお父さんや、ノリで来ているような大学生グループである。
そう、走破性のない車ということと、経験不足によるダブルパンチでスタックの憂き目にあっているのだ。
雪国でも平野部では2WDでもスタッドレスやチェーンを巻けば大抵は行動できてしまものである。実際札幌などの市街地では2WD車がたくさん走っている。
しかしスキー場は山間部にあるので、アクセス路が非常に険しい。
摩擦係数の少ない雪道では、平地より簡単にスリップしてしまうので、スタッドレスやチェーンを巻いているとしても2WDならスタックや最悪事故のリスクは高い。
まず、雪国の市街地走行と、スキー場のアクセスは別物ということを意識しよう。
Yahoo!知恵袋では2WDでも雪道問題ない!って回答も結構あるのだが、平坦路しか走らない条件だったり、スキー場アクセスでも融雪設備があったり道が険しくない場合もあるので、そこらへんを裏読みするくらいの気持ちでYahoo!知恵袋は読まなければならない。
決して1意見のみで、「あれ、行けるかも?」と考えてはならない。
何を隠そう、こんな4WD乗ってるからって偉そうに書いている筆者48Rも、昔は2WD+スタッドレス+チェーンで散々苦労しているのだ(キャラバンとサンバー)。
スキー場まであと500mなのに坂が登れない絶望感たるや、筆舌に尽くし難し。
だからこんな記事を書いている。
ハイエースの2WDはめちゃくちゃ滑りやすい
FRレイアウトかつ、重量配分が前よりで後輪荷重が少ないハイエースは、とにかく滑りやすい。
駆動方式と走破性
駆動方式と走破性について順序をつけるとこうである。
4WD>FF>>FR
4WDは雪道に強いのは当たり前として、2WDでもFFは強い方。重いエンジンが前輪の上にあるので、荷重を稼げるのでスリップしにくい。
一方、一般的にFRレイアウトはエンジンが前にあるので駆動輪である後輪荷重が不足しがち。滑りやすい路面ではタイヤに荷重がかからずすぐスリップしてしまう。
コーナリング時も考えてみよう。
タイヤはコーナリンググリップを使っていて、この状態でコーナー出口でアクセルを踏むとする。
タイヤは摩擦力の限界を超えると滑り出してしまう。コーナリンググリップを使っているときに駆動力をかけると、タイヤにはコーナリングと駆動力の合力がかかるので非常にスリップしやすい。
FFならアクセルオンでアンダーステア(曲がらない状態)になるし、FRならリアから振られて最悪スピンする。
一方、4WDなら4輪同時に駆動力がかかるので、スリップ挙動も安定してリカバリーも容易だ(フルタイム4WD)
また、エンブレについても4WDは4輪同時にかかるので非常に安定している。FRやFFは駆動輪にしかエンブレがかからないのでこれまた注意が必要。
ちなみに48RはRR車のエンブレでリアが横へ振り出してコントロール不能になった経験あり(ぶつかる前にグリップ回復してことなきを得たが)。イキってヒールアンドトゥでバイーンとシフトダウンした瞬間、外の景色が横へ流れ出した。死ななくてほんとうによかった(ガートレールの向こうは崖)。
荷重とグリップ
タイヤのブリップは荷重に比例する(摩擦力=摩擦係数x垂直荷重という高校物理)
ハイエースの場合、荷室重量が少ないとリア荷重は極端に少ないので、発生させられるグリップが低く通常のFR車より特に滑りやすい。
例をあげて、どれくらい後輪荷重が少ないか、計算してみる。
ハイエースの2WD SGLで大人二人でスキーに行くとしよう。荷物はせいぜい50kg程度を荷室に積むとする。
車検証をみると前輪と後輪の荷重がわかるので、これを元に計算する。
車両重量:1780kg
総重量 :2905kg(5名乗車)
前前軸重:1050kg
後後軸重: 730kg
前輪にかかる荷重は
1050kg + 150kg(大人2人) = 1200kg
後輪にかかる荷重は
730kg + 50kg(荷物) = 780kg
大まかにいうと、
前輪荷重 : 後輪荷重 = 2 : 1
という状態であり、後輪には前輪の半分しか荷重がかかっていなく、後輪のグリップは前輪の半分しかないのだ。
と言うわけで、FRのハイエースは坂道ではトラクショングリップの低い後輪で登らなければならないので、すぐに空転して立ち往生の憂き目にあってしまう。
ここでは簡単に説明したが、ハイエース2WDが極端に滑りやすい理由は別記事で無駄に物理的に掘り下げて書いている。
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ハイエースの2WDはなぜ滑る?雨や雪道でグリップが弱い理由を物理で解説してみる
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おヒマな時にでもどうぞ。
深夜、まっくら、吹雪、-10℃、勾配の中チェーンを巻けますか?
やった人にしか分からないこの辛さよ。
恐ろしく辛いし、後続に轢かれるリスクもある。
特に暴風雪の時は、一瞬で手はかじかむし、顔は凍りつくし、目を開けるのも辛いしで本当に悲惨だった。
手元を照らせるライトもないと、まったく作業もできない。ちゃんと持ってますか?「クイック装着!(ドヤァ)」と謳っているチェーンで片輪5分はかかるし、説明書読みながらの作業ならば、2倍3倍の時間はかかってしまう。
今までスキー場のアクセス路でチェーン装着に四苦八苦しているお父さんを何人見てきたか。
10年前に乗っていた2WD(RR)のサンバーはスタッドレスタイヤ+チェーンを履いていたとはいえ、しょっちゅうスリップして登れない悲惨な目に幾度も会わされた。
しかも、チェーンを巻いた時の乗り心地の悪さ、音のうるささたるや、洗濯機にまたがっているかのよう。
今はチェーンを巻く必要のない4WD+スタッドレスにして心底良かった!(感涙)
参考にハイエース2WD+チェーンに対するYahoo!知恵袋も貼っておきます。
ほとんどの人はが否定的な意見です。
雪国の人はチェーンを巻かない
立ち往生のリスクがある道路でチェーン装着必須の法案が通って、雪国に住んでいる人達が東京のお上は現場を何も分かってねぇ!とSNSなどで反対論が燃え上がったのは記憶に新しい。
そう、雪国に住んでいる人はチェーンを使わないのだ。
48Rも白馬に10年通っているが、チェーンを巻いているジモティを見たことがない。
雪国で2WD+スタッドレスの人はわかっているので、滑りやすい所へは行かないし、除雪状況を熟知している。雪道のドライビングテクニックも毎日の走行で身についている。また、雪国でも険しいところを走る人は4WDを選択する。
つまり、雪国の人にとってもチェーンを巻くのは非常に面倒なので、チェーンを巻かなくて済むような車チョイスをしているのだ。
ところが都会から年1回のスキーに行くような人は、どこがスタックしやすいかや降雪状況など知る由もない。
雪国の2WDの人より、情報をもってない都会の2WD乗りは高いリスクを背負って雪山に行くというのをお忘れなく。
4WDでも事故る時は事故る
2WDはダメダメ論を書いてきたが、4WDでも過信すると簡単に事故るからね。
48Rも実は4WDハイエースでガードレールに当たった経験あり(怪我はなく車も小破で済んだが)。
雪道は全てのくるまに置いてリスクが高いことは大前提。決して忘れてはならない。
まとめ
年に一回でもハイエースでスキー場に行くなら4WDが絶対に安心!
2WDのハイエースでスキー場に行くことは48R的にはオススメしない。場所によっては行けないこともないだろうが、雪道経験の少ない人が土地勘のないスキー場へ行くのはリスクが高い。
そもそも、年数回のスキーなら、スタッドレスやチェーンを買うお金で新幹線やバスツアーでも良いかと思う。雪道を走ると融雪剤の塩化カルシウムで車も痛むので、それも回避できる。
それでも2WDのハイエースでスキー場に行きたいなら
・チェーンは必携、巻く練習もする。作業灯も用意する。
・アクセスが険しくないスキー場を調べる。
・事前にスキー場に電話して、降雪状況、アイスバーンの有無を調べる。
など、リスクをなるべく減らしましょう。「たぶん行けるんじゃね?」と勢いだけで判断するのは重大な事故を招くかもしれない。
なんども書くけど、48Rも2WDで散々苦労して、さらに死にかけてるからね。なるべく悲惨な事故を減らしたいので、こんなことを書いている。
また、4WDになるとはハイエースはかなり雪道の走破性が高く、スキースノーボードでは最高の相棒。
別記事でまとめているが、15シーズン一度もチェーンを巻いたことないし、坂を登れない経験もない。
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ハイエースのスキースノーボード用途の使い勝手について経験から徹底解説 〜車中泊や雪道走破性など〜
200系ハイエース4WDをスキースノーボード用途に使いはじめて14シーズン突入の48Rが、ハイエースってスキースノーボードにどうなの?ってよく聞かれる疑問について書いてみる。 結論を先に述べると、最高 ...
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車中泊もできるし、48Rにはなくてはならない車。
というわけで、雪道にハイエース2WDは全くオススメしないし、相応な覚悟が必要というお話でした。
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