JB74ジムニーシエラ

実は侮れない!JB64/JB74ジムニーの純正タイヤの性能について

地味な存在なジムニーの純正タイヤだが、実はカー用品店などでは通常販売されてない「ジムニー専用にチューニングされたタイヤ」というのはご存じだろうか?

今回はカスタムのために新車から外されることも珍しくない不遇のジムニーの純正タイヤについて、市販品とどう違うのか、メリットデメリットをねっとり語ります。

 

 

純正タイヤとリプレイスタイヤ

一般に流通しているタイヤは2種類に分類することができ、ひとつは新車装着されている純正タイヤ(OEMタイヤ)、そしてもうひとつはカー用品店などで市販されているリプレイスタイヤである。

通常、純正タイヤはタイヤメーカーのカタログやWebページには載っておらず、量販店などに陳列されることもない。入手するにはカーディーラーやタイヤ量販店などから発注してもらう必要がある。

 

ダンロップを例にしてあげると、SUV用のリプレイスのラインナップはこちらのパターン。

 

一方、SUV車両向けのOEMタイヤパターンは下図の赤枠のタイヤパターン。

なにやらあまり聞きなれないパターンが並んでいるが、これらがSUVの新車に装着されるパターンである。

 

 

ジムニー純正タイヤにの銘柄について

JB64/JB74ジムニーの純正タイヤは下の表の通り。

1型 2型 3型
JB64ジムニー ブリヂストン DUELER H/T684Ⅱ
JB74ジムニーシエラ ブリヂストン DUELER H/T684Ⅱ ダンロップ GRANDTREK AT20

 

ブリヂストンとダンロップが装着されているが、ブリヂストンのデューラーHT684Ⅱ、ダンロップのGRANDTREK AT20とも、SUV用リプレイスタイヤラインナップには含まれていない、新車装着専用のパターンとなっている。

 

・ブリヂストン DUELER H/T684Ⅱ

 

・GRANDTREK AT20

 

 

 

純正タイヤのメリットデメリット

ここからは準正タイヤのリプレイタイヤに対してのメリットデメリットについて解説していく。

 

ジムニー純正タイヤのメリット

①車両とのマッチングが良い

さて、純正タイヤは専用パターンであることを解説したが、中身(構造)も専用品で、新車装着される車種に合わせたチューニングがなされている。

通常、自動車メーカーが新車を開発する際、タイヤメーカーに対して「価格」「性能(安定性、乗り心地、グリップ、摩耗、転がり抵抗、タイヤノイズなど)」の目標を提示し、条件に1番合致したタイヤが採用される(採用は1社独占だったり、車メーカー側もバックアップを考えて2社発注だったり、〇〇社の技術が良いという指名発注だったり、色々なパターンがある)。

当然、ジムニー純正タイヤに採用されたBS DUELER H/T684ⅡやDL GRANDTREK AT20もジムニーに合わせて開発された専用タイヤとなっており、ABS制御との相性やジムニーの車重と指定空気圧に合わせた乗り心地や剛性感、高速安定性など、車両メーカーの厳しい要求に応えるような性能になっているのだ。

リプレイスタイヤは様々な車に合うように開発されるのに対し、純正タイヤはその装着車両に対してのみ開発評価しているので、車両とのマッチングにおいてはまず間違いのないタイヤとなっている(変にタイヤが硬くて乗り心地が悪かったり、安定性が悪かったり、振動しない(車両とタイヤで共振周波数が一致しないようになっている))。

 

 

②純正タイヤは品質が良い

新車の評判を落とさないよう、一般的に新車装着用のタイヤはリプレイスタイヤより厳しい基準で検査されている。

まあ、リプレイスタイヤでもほぼ大多数のタイヤで問題は出ないのだが、新車付きタイヤで万が一振動や乗り心地不良などの不具合が発生すると車の評判を落としかねないので、その対策である。

 

 

③RFVピークのマーキングがある

タイヤのサイドウォールには周上で1番軽い点である「軽点マーク(黄色)」と、縦剛性が1番高い点である「ユニフォミティマーク(赤)」があるのはご存じだろうか。

また、ホイールには周上で1番低い位置を示す「ローポイントマーク(青とか白が多い)」がある。

タイヤの組み方にもコツというか考え方があって、ひとつは縦剛性が1番高い「ユニフォミティマーク」と「ローポイントマーク」を合わせて組んで、周上の剛性バラツキを減らして振動を減らそうという組み方だ。

上の画像はジムニーの純正てっちんホイールだが、タイヤの「ユニフォミティマーク」とホイールの「ローポイントマーク」が合わせられており、全てこの組み方である。

 

ちなみに、ユニフォミティマークをタイヤのハイポイントと解説してるWebページもあるが、それは間違い。

タイヤのハイポイントはRRO(ラテラル ランナウト)という周上の外径変化を測定して得ることもできるが、RROピークにはなにもマークされず、RFV(ラジアルフォースバリエーション)という、タイヤを転がした時に1番路面を強く押す位置(すなわちタイヤの縦剛性が高い)にユニフォミティマークが打刻されている。

 

もうひとつの組み方は、タイヤの1番軽い「軽点マーク」とホイールで1番重い「バルブ位置」を合わせて組む方法。

これは重量バランスが取れていない回転物が遠心力で振動が発生するのを抑える組み方。

とはいえ、どんな位置で組んでもバランスウエイトで調整するので、意味はあるのかな?という感じではある(バランスウエイトの量は減る可能性はあるが、軽点は静バランス上の点であって、動バランスは考慮していないので一概にバランスウエイトが減るとは言い切れない(動バランスの説明はややこしいので割愛))

 

バルブと軽点マーク合わせは結局タイヤバランス取るとあまり意味がないので、48Rとしてはユニフォミティマークで合わせ推奨。

 

しかしながら、ユニフォミティマークを打つには特別な測定が測定が必要で工数もかかるので、純正タイヤやプレミアムタイヤにしか打刻されていない場合がほとんどである(今履いているBSのスタッドレスには軽点マークしかなかった)。

また、ホイールのローポイントマークに関してもプレス加工のてっちんホイールは真円度が低いので打刻されているものも多いが、アルミホイールは鋳造(金属型に溶けた金属を流し込む)である程度真円度は担保されているので、測定も工数がかかるので打刻されてないことが多い。ジムニーの純正ホイールでも、ローポイントマークが打刻されているのはてっちんホイールのみである。

 

 

純正タイヤのデメリット

価格が高い

こちらはジムニーのBS純正タイヤの価格表。

車種 サイズ パターン 税込定価
ジムニー 175/80R16 91S H/T684Ⅱ ¥20,460
ジムニーシエラ 195/80R15 96S H/T684Ⅱ ¥21,670

基本、ディーラーやタイヤショップで取り寄せで買うと、定価販売となるので、リプレイタイヤより割り高になる。

また、ネット通販を利用すれば安く入手することもできるが、タイヤ交換を持ち込みでやってもらうことになるので、こちらはこちらで工賃で割り高になる可能性が高い。

 

一方、同じネット通販でBSの純正同等のリプレイスタイヤと比較すると、リプレイスタイヤのほうが割安である。

 

 

とはいえ、タイヤの定価が高いのはデメリットなのだが、ジムニーには特殊事情があって、新車から大きなサイズのタイヤに履き替える人が一定数いるので、ヤフオクやメルカリで安く新品タイヤを入手することも可能だし、新品にこだわらなければ程度の良い中古タイヤの流通も多い。

純正タイヤを購入したい場合、まずはネットオークションを覗いてみよう。

 

 

すぐに買えない

純正タイヤはタイヤショップどころかジムニーショップでも在庫されることがないので(新車外しの下取り品が店頭販売されてる場合はある)、基本的に「取り寄せ」しないと買うことができないので、入手性においてはリプレイタイヤに劣る。

とはいえ、コチラもジムニーの場合はヤフオクで簡単に入手可能だったりするのだが。

 

 

純正タイヤには特化した性能がない

純正タイヤは大多数のユーザーに受け入れられるよう、何かに特化した性能で開発されない。

ジムニーでいうと、もしオフロード性能に特化すると、ある人は気に入るかもしれないが、ある人には乗り心地やロードノイズで受け入れられない可能性もある(86のタイヤだって、ドライグリップに全振りすると街乗りユーザーから不満くるよね)。

というわけで、純正タイヤはできるだけ万人受けするように、安定性、グリップ、WET、静寂性etcなど、様々な性能がそこそこ高くまとめられるような、諸々の性能のレーダーチャートの性能円ができるだけ大きくなるような設計思想なのだ。

 

逆にいうと、見た目がイカつい!オフロードでのトラクションが欲しい!というような人の需要にこたえるため、そういう用途で特化したタイヤがリプレイタイヤであり、これらは明確な市場からの需要を満たすために商品企画され開発されている。いわば、リプレイスタイヤは目的に合わせた「チューニングパーツ」の一つなのである。

 

ちなみに、48Rが今まで履いたタイヤのインプレはコチラの記事でまとめている。

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ジムニーの純正タイヤまとめ

さて、メリットデメリットがある純正タイヤだが、専用チューニングされており、特に不満点がなくそこそこ高い性能を発揮するのが最大のメリットである。

実際、純正タイヤについては見た目がアグレッシブではない点でコアなオフロードファンからは不満はあるかもしれないが、普段の使い勝手という面では高速道路から一般道まで走って、特段不満なく走っている人が大多数ではないだろうか。

車両とのマッチングの良さから、普通にそこそこ走って不満点がでないのが純正タイヤ。

 

というわけで、タイヤに特にこだわりのない人は、ヤフオクで新車外しの純正ホイール付きの純正タイヤを安く手に入れるのがオススメ(高い、入手しにくいデメリットが消せる)。

ヤフオクで入手すると交換は自分ですることになるが、車載ジャッキでもタイヤ交換は可能だし、元から履いてたホイール付きタイヤはヤフオクで売ることが可能である(タイヤがチビていても、純正ホイールに価値があるので売却可能)。

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というわけで、意外と純正タイヤも良いんでない?という記事でした。

 

 

他にも「JB74ジムニーシエラ」タグで色々ジムニー 記事書いてます。よろしければ、そちらの記事もどうぞ。









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