うちのJB23ジムニーも前オーナーから数えると新車から8年、走行距離にして4万キロ弱経過している。
特にエンジンの調子が悪いわけではないが、この快調さを維持するため、エンジン内部を洗浄できる添加剤を投入してみた(調子が悪くなってからカーボン(デポジット)除去では遅いと思っているので)。
もともと調子の良いエンジンだったため劇的にエンジンのフィーリングが変わるものではないが、マフラーの出口から溶けたカーボンが出てくるほどなので、燃焼室もキレイになっていることでしょう!
ワコーズ フューエルワンとは
エンジン内のカーボン(デポジット)を清浄してくれる燃料添加剤だ。
ワコーズHPによると
燃料に添加するだけで燃焼室・吸排気バルブ・インジェクターなどに堆積したカーボン・ワニス・ガム質などを除去し、新車時のエンジン性能を取り戻します。また燃料の酸化劣化や燃料タンクの腐食を抑制し、潤滑性を高めることが可能で、燃料に必要な性能全般を総合的に引き上げることができます。経年車や初めて清浄剤を使用される車両には2回連続使用が更に効果的です。
とのこと。
エンジン内にカーボンがたまると、圧縮比が適正から外れたり、バルブがしっかり閉じなくて圧縮漏れしたり、パワーや燃費の悪化を招いてしまう。また、カーボンがヒートスポットになり、自己着火を誘発しやすくなるのでノッキングも発生しやすくなる。うちのジムニーはブーストアップとサブコンで進角チューンしているので、ノッキングは避けたいところである。
というわけで、エンジン内部をリフレッシュしたいので、今回はカーボン除去に効果的と言われているフューエルワンをワコーズHPの推奨通り、2回実施する。
エンジン内部にカーボンが体積する原因
フューエルワンインプレの前に、エンジンルーム内にカーボンが堆積する理由や、体積しやすい走り方はご存じだろうか?
ズバリ、カーボンがたまる状況というのは、燃料が理想の空燃比に対して「濃い」状態である。
カーボンはいわば燃料の燃カスなので、完全燃焼しきらない燃料が多くなると、生成されるカーボン量が増えてしまう。
燃料と空気の比率1:14.7が理想と言われているが、1:10など空気に対して燃料が濃いときにモリモリカーボンが生成するのである(キャブセッティングやったことある人ならわかると思うが、濃いめにするとプラグがカーボンと未燃焼ガスで真っ黒ドロドロになるよね)。
カーボンが溜まりやすい走り方
ちょくちょくエンジンは低回転ばかりで走っていると良くない、たまには上まで回したほうカーボンが焼けて吹けるエンジンをキープできるなどと聞くが、実際にはどのような状態が良いのだろうか?
カーボンの溜まり方に着目して解説する。
空燃比が濃い状態がカーボンが溜まりやすいと前述したが、そう言う状態になる走行は次のような走り方である。
カーボンの溜まりやすい走り方
①エンジンが冷えている時(暖気)
②低回転走行
③発進、加速時などの高負荷状態
では、順番に詳しく見ていこう。
①エンジンルームが冷えている時の空燃比
エンジンが冷えているときは、かなり空燃比が濃い燃調となっている。理由はエンジンが冷えているとガソリンがうまく気化できずシリンダー内壁に張り付いて燃焼できない燃料の割合が多いので、予め多めに燃料を噴射しているのである。
もし燃調が薄かったら、気化できない燃料のせいでアイドリングもままならない状態なのである(昔のキャブ車乗ったことある人なら想像つくだろうが、チョーク(燃料を濃くする機構)引かないとアイドリングせずエンストするよね)。
アイドリングを安定させることが最優先の状態なので、燃料をバンバン吹いてカーボンはもりもり生成している状態である。
したがって、エンジンが暖まりきらないチョイ乗りばかりの人は、カーボン溜まりやすい条件ばかりで走行しているので、注意が必要だ(車メーカーもちょい乗りが多い人はシビア条件と定義している)
②低回転走行
低回転時もカーボンの生成が多い。
「馬力=トルク x 回転数」という関係にあるので、低回転で走っている時はトルクを上げて馬力を絞り出す、つまり燃料をたくさん吹くわけである。さらに低回転なので熱量も少なく、燃焼室の温度も低くガソリンの気化もうまくいかない状況で、カーボン生成が多い状態になっている。
というわけで、MT車でシフトダウンをサボって超低回転を使ったり、燃費走行で低回転多用した走りは注意が必要(うちの妹にジムニー運転させると、3速でエンジンガクガクさせながら交差点まがるので、貸すときは超心配だぜ。。)
③発進、加速時などの高負荷状態
発進や加速時時などのエンジンにとっては負荷がかかる状態も燃調が濃い。
この状態は質量(車)に運動エネルギーを付与するので、エンジンはたくさんのエネルギーを作り出さなければならないので、ばんばん燃料を吹いている状態なのである。さきほど理想の空燃比は1:14.7と書いたが、これは効率重視の空燃比で、じっさいにパワーが出る空燃比はもっと濃い目なのだ。
したがって、加減速を繰り返すような信号の多い市街地メインの人は、カーボンの溜まりにはシビア条件。
さらに①②③の合わせ技で、暖気もせず低回転から加減速を繰り返すような走行ならば、エンジンにとって超過酷なのである。
ちなみに、エンジンの負荷は車のコンピュータで燃調のフィードバックのためにモニタリングされていて、OBD2接続のレーダー探知機などでリアルタイムで見ることができる。
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カーボンを除去する走り
では、エンジン内部のカーボンを焼くため、レッドまで回せ!というのも聞くことがあるが、コレも違う。
エンジンの燃焼室はガソリンの気化熱で冷却している。高回転になるとエンジンの温度も上がるので、ガソリンを濃い目に吹いて冷却しているのである(高回転で薄いとエンジン壊れる)。
では、どいう走りがカーボンを溜めないのか?その答えは、さっき書いたカーボンが溜まりやすい走り①②③の逆である。
つまり、暖気をして燃焼温度を高め、しっかり回転を上げ(高回転はダメ、ジムニーの場合、5速3600rpmで80km/h巡航くらい)、一定速巡航(加速しない、アクセルはをちょっと踏んで巡航状態)すれば良いのである。
高速道路でのクルージングがこのような走行モードとなる。この状況ならアクセル開度が低いのでエンジン負荷は小さく、ECUは燃調を薄くした状態にする。また、ある程度回転数もあがっているので燃焼温度も高くカーボンが焼けていく状況である。
超ざっくり書いたが、走り方とカーボンの溜まり方の関係はこんな感じ。
フューエルワンでカーボン除去
さて、カーボンを極力溜めたくなくても、高速道路ばかりを走るわけにはいかないので、距離を走るとどうしてもカーボンの堆積は避けられない。
そこで、やっと本題のヒューエルワンである。
ヒューエルワンに含まれるPEA(ポリエーテルアミン)はカーボン洗浄に効果がある上、ゴムへの攻撃性も少ない事が特徴。
推奨使用方法は燃料20~60Lに1本を使用というこで、ジムニーは満タンで40Lなので、満タン給油後に1本投入を、2回やってみた。
しばらく走ってから気が付いたのだが、マフラーからフューエルワンで溶けたカーボンが出てきてる!
洗浄効果ありそう!写真は撮り忘れたが、1本目のヒューエルワン投入直後はカーボンが溶けた黒い液体が滴り落ちるくらいだった(とはいえ、溶けたカーボンが触媒とかも通るので、そっちは大丈夫なのか気になるところではあるが)。
48Rのジムニー は元々調子の良いエンジンだったので特にフィーリングには変化はないが、これだけカーボンがマフラーから出てくるので、洗浄効果は高いのだろう。バルブ周りやピストンヘッドにカーボンが堆積しまくってるエンジンなら、もっと体感できるくらいエンジンの調子が良くなるかと思う。
ちなみに、洗浄中は溶けたカーボンがブローバイガスに混じるのでオイル劣化もさらに進むことになる。ヒューエルワンで洗浄が終わればオイル交換推奨だ。
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実はハイオクガソリンにはフューエルワンと同じPEA洗浄成分が入っているが、濃度が全然違うので、カーボンを除去するというよりカーボンを溜めないくらいの効果と言われている。
やはり、たまにはヒューエルワンでがっつり洗浄しましょう(ちなみに、楽天のフューエルワンのレビューを読んでも、特にデメリットはないようです)。
ヒューエルワンまとめ
目に見えるくらいマフラーからカーボンが出てきて、エンジン内部もリフレッシュできたマイジムニーちゃん。調子が悪くないとはいえ、エンジン内部のカーボンの堆積は進むので、これからも年1くらいでは投入しようと思う。
また、走り方によってもカーボンの溜まり方が違うというのを意識することも重要。
どちらかというと、カーボンを除去する走りをするより、溜めない走りを意識するだけでもエンジンの調子をキープできるかと個人的には思います(なので、暖気なし低回転から加速くりかえしとか、絶対しちゃダメよ)