SPECIALIZED ENDUROにSRAM CODE RSC組みつけのため、ブリーディング作業を行なった。
48RはずっとブレーキはシマノかMAGURAを使っておりSRAMのブリーディングは今回が初なのだが、SRAMのブリーディングの作業性に関しては専用ツールのおかげでブレーキオイルを垂れ流すMAGURAとは雲泥の差、あのシマノに比べてもSRAMのほうがシステマティックなブレーキシステムで作業性は良いと感じた。
また、SRAM のブレーキは作業性が良いだけでなく、その強力な制動力や高いコントロール性などとても優秀なブレーキ。
しばらくはSRAM派になりそうです(唯一の欠点はDOTフルードなので、ミネラルオイルのブレーキ勢に比べオイル劣化が早いこと)。
SRAMのブリーディングエッジ テクノロジー
SRAMのブリーディングを簡単にしている理由のひとつがブリーディングエッジ テクノロジーと呼ばれる専用ツール。
このホースの先端につける専用ツールがとても優秀。
下の画像のように、SRAMのキャリパーには専用ツールのブリーディングポートが設けられており、この専用ツールをポートに差し込むことで、水道の蛇口みたいに赤いハンドルを回すだけでポートの開閉ができるのだ。
接続部からフルードが漏れないのはもちろん、注射器を抜いてもフルードが垂れてこない優秀さ。
オイルを漏らしながら作業するMAGURAのブレーキシステムも、SRAMを見習って作業性良くして欲しいわい(ま、MAGURAは作業性悪いけど、使用フィーリングは良いのだけど)
SRAM用ブリーディングキットの購入
そんな作業性の良いSRAMのブリーディングキットなのだが、お値段が高くてあまりブリーディング作業しないサンデーメカニックには手が出しにくい価格設定。
付属品の多さやオリーブやインサート、Oリング、フルードなどの消耗品もセットとはいえ、結構なお値段なので買うのは躊躇してしまう。
そんなとき、アマゾンを徘徊していると互換性のあるブリーディングキットを発見!
ちゃんとブリーディングエッジテクノロジー用の専用工具もついているし、最低限フルード交換に必要なものは揃っている。
星も4.4でレビュー内容も悪くないので、48Rはこちらを購入。
ブリーディングエッジ専用ツールのハンドルがSRAM純正はアルミの削り出しにアルマイトなのに対し、互換キットのハンドルは樹脂だったり作りの安っぽさはあるものの、記事後半に作業手順書いているが、作業性は全く問題なし。
ブリーディングなんて、どんなに多くても年2回ほどの頻度少ない作業なので、こちらキットで問題ないと判断した。
(Cycobycoというブランドの安い方のキットを選択)
SRAM 油圧ブレーキのブリーディング作業
必要工具
- ブリーディングキット
- SRAM DOT ブレーキフルード
- ラジオペンチ
- 2.5mm六角レンチ
- 4mm六角レンチ
- T10トルクス
手順①ホースカット
ブリーディング前にホースカットする場合、詳しい作業手順は別記事で書いている。
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SRAM油圧ブレーキのホースカット方法【MTBメンテナンス】
SPECIALIZED ENDUROにはSRAMのCODE RSCを組んだのだが、購入状態ではホースが長いのでバイクに合わせてホースカットをした(リアはフレームの中にホースを這わせるため、どのみちカッ ...
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手順②パッドを取り外してブリードブロックを取り付ける
ブレーキフルードがパッドにつくとパッドの微小な穴に油が染み込んでパッドがおしゃかになるので、パッドは取り外してブリードブロックと呼ばれるスペーサーを取り付ける。
まずはパッドピンのクリップをラジペンで取り外す。
次に2.5mmの六角レンチでパッドピンを取り外す。
パッドピンを取り外したら、ブレーキパッドを上に引き抜く。
ブリーディングキットに付属のブリードブロックを取り付ける。
パッドピンは別に取り付けなくてもOKなのだが、部品紛失防止のため、キャリパーに仮止めしておいた。
手順③ブレーキフルードの準備
激安ブリーディングキットの登場。作りはチープだが、作業性には全く問題なし。
SRAMはDOTフルード専用なので、シマノやマグラブレーキなどのミネラルオイルとは互換性はない。
必ずDOT5.1のブレーキフルードを使うこと。
ブリーディングエッジがついてないほう(レバー側注射器)には3/4弱ほどフルードを満たす。
上に向けてホース先端にウェスなどを当てて空気が完全に排出されるまで注射器を押して、赤いホースクランプを閉じる。
ブリーディングエッジがついている方(キャリパー側注射器)も同様にフルードを準備する。
こちらのフルードは1/4程度でOK。
手順④キャリパーとレバーの準備
キャリパーのブリードポートのゴムカバーを外す。
次に4mmの六角レンチで1/4回転ほどバルブを緩めてから軽く閉め直す。
この時、ポートをキツく締めるとブリーディングエッジの専用工具で回せなくなるので、軽く締める程度。
レバー側にコンタクトポイントの調整機能がある場合、矢印とは反対側へ止まるまで回す。
手順⑤注射器とブレーキの接続
レバー側は蓋になっているT10のトルクスボルトを取り外す。
レバー側の注射器の先端がボルトになっているので、回らなくなるまでねじ込む。
ホースを接続したら、ホースクランプは解放する。
キャリパー側はブリーディングエッジ専用ツールをカチッと音がなるまで差し込む。
差し込んだらブリーディングエッジ工具を反時計回りに1回転させてシステムを解放する。
このとき、ホースクランプも解放しておく。
手順⑥ブリーディング
いよいよブリーディングの開始。
まずはレバー側の注射器を押し込んでいく。
するとキャリパー側の注射器にフルードが押し出されてくる。
このとき、ブレーキシステム内から押し出されたブレーキフルードが変色している場合、ブリーディングエッジのポートを一旦閉じて、キャリパー側のフルードを入れ替える(今回は新品ブレーキでフルード変色していないので、そのまま続行)
次にレバー側の注射器を引き上げる。
するとレバー側にまたフルードが戻ってくる。
この作業を繰り返して、レバー内に残っているエアを注射器に排出していく。このとき、キャリパー側の注射器内のフルード残量やエア溜まりには注意して、エアを吸い込まないようにする(この画像ではできてないが、キャリパー側の注射器は垂直にしておくのがベスト。エアが上に貯まるので、キャリパー側からエア混入防止になる)。
また、この作業はキャリパー側の注射器を押し込んでフルードを注入しないこと。ブリーディングエッジツールが外れる場合があります。
フルードを行き来させてもエアがブレーキ内から排出されなくなったら、キャリパー側のポートを閉じる。
続いてもう一度レバー側の注射器を引き上げる。
このとき、キャリパー側のポートは閉じているので、注射器内に強い負圧を生じてブレーキ内に残ったエアがレバー側注射器に排出される(キャリパーのピストンが負圧で引っ込んで、システム内のフルードが少し出てくる)
一通りエアが出てきたら、レバー側の注射器を一旦押し下げて加圧してからまた引き上げる作業をエアが出なくなるまで繰り返す。
エアがブレーキ内から出なくなったら、最後に軽く加圧してからレバー側の注射器を取り外す。
この時の加圧はキャリパーのピストンがパッドを適正な位置まで押し出す程度で良いので、あまり強く押し込まなくて良い。
レバー側から注射器を取り外して、ポートからエアが入らないようにT10のブリードネジを1.5Nで締める。
キャリパー側からも注射器を取り外して、ブリードプラグを4mmの六角レンチで1.5Nで締める。
最後に漏れたフルードを水で洗い流して作業完了です。
(DOTフルードは水溶性なので、他のパーツを痛めないようにパーツクリーナーより水が良い)
SRAM 油圧ブレーキ ブリーディングまとめ
3千円程度のSRAM互換性のあるブリーディングキットだが、全く問題なく作業することができた。
前述したが、SRAMのブレーキシステムは作業性が良いのでブリーディングキットさえあれば作業はとても簡単。
とはいえ、ブレーキは命に関わる重要な部品なので、ちょっとでも不安を感じるようならお店に任せましょう。
(Cycobycoというブランドの安い方のキットを選択)