今回はシール(クライミングスキン)のカット方法について書く。
昨今はスプリットボード用のシールも増えてきたので、シールの準備は板に合わせてカットするだけで簡単になってきた。トップ金具やテールストラップをつける手間は随分と減ってきた。
しかし今回は、スキー用のシールからスプリットボード用のシールを作る方法について紹介する。
スプリットボード用のシールが増えたとはいえ、まだまだ選択肢が少ない。この方法がマスターできれば、市場のあらゆるシールがスプリットボードとして使えるようになるので、シールの選択肢がとても広がる。
シールによってグリップや滑りやすさ、扱いやすさが違うので、色々なシールを使ってみるのも楽しいと思う。
*自己流です。もっと工夫したほうがいい点があると、コメント欄で教えていただけると幸いです。
スプリットボード用のシールはスプリット専用設計
スプリットボード用のシールは、スプリットボードに合うようにあらかじめトップフックが斜めだったり、テープクリップもオフセットされてつけられていたりと、左右非対称の板に合うように専用設計されている(なので、スキー用のシールは使えない)。
エッジに合わせてシールカットするだけなので準備も楽なのだが、スプリットボードのシールはスキーのシールに比まだまだ種類が少ないのが現状だ。
それもオーソドックスなナイロン製ばかりなので、モヘア100%を使いたい、新しい接着面のシールを使いたいというときにラインナップがないのだ。
そこで、スキー用のシールをスプリット用に改造する方法をマスターしていれば、そんな心配なんのその、市場のあらゆるシールが使えるようになる(厳密に言うと、シール幅が必要なので、あまり細いシールは使えないが)
チートシート不要の最新シール、COLLTEX COMBIN
今回は2018年シーズンの新製品、COLLTEX COMBINというスキー用のシールをスプリットボード用に改造する。
「糊面同士の貼り合わせOKでチートシート不要」、「薄くて軽量コンパクト」、「48Rの好きなモヘア100%」と三拍子そろった高性能シールである。
今回は140mm幅を選択。
スプリットボード用に使うなら、最低130mm幅は必要。
スプリットボードでは定番のVoile(ブラックダイアモンド)のシールと比べると、半分くらいの体積と重量。
使うのが楽しみ。
改造には「トップ金具」「テールクリップ」が必要
デフォルトの「トップ金具」は付け替え必須なので、絶対に必要。
テールクリップとはシール後端部を板に固定するパーツだが、これを用いない「貼り流し」という使用方法もあるのでお好みで。
この記事は初心者向けに書いているのだが、初心者はテールクリップがあったほうが無難。糊面に雪がついて接着力が低下しても、最悪テールクリップがあればなんとか固定できるからだ。
テールクリップはスプリットボード専門メーカーのSPARK R&D製
シールの改造方法
手順①:板に合わせてシールを切り出す
このとき、スプリットボードのインエッジ側から2-3mm(エッジ2本分)離して貼る。
シールはエッジ1本分出してカットするのが基本なのだが、一回のカットで左右エッジ1本分出すため、最初の段階でエッジ2本分ズラすのだ。
カットするとシールの毛がたくさん出てくるので、1カットごとに掃除しよう。接着面につくと取れないし、接着力も弱くなってしまう。
カットが終われば、インエッジ側にエッジ2本分ずらして貼っていたシールを、エッジ1本分に貼り直す。
これで左右エッジ1本分出した状態にすることができた。エッジボロボロですが、チューンナップ前なので(言い訳)。
余談だが、もう1本はあえてエッジを出さないカットにした。
48Rは以前からこのカット方法なのだが、使い勝手にどれくらい差があるのか、左右でカットを変えて比べてみることにした。
手順②:先端をトップ金具に合わせてカット
手順③:トップ金具の位置決め
次はトップ金具を取り付けるための位置決め作業。
シールにトップ金具をセットして、穴あけ位置にマーキングをする。
このとき、確認することは2点。
1.トップ金具がしっかりとガタなく取り付けられていること
2.シールがトップ金具の奥まで挿入されていること。
ここでガタがあると、せっかく綺麗にカットしたのにシール貼り付け時にズレが生じてしまうので、きちんと確認しよう。
手順④:トップ金具の取り付け
一度金具を外して、マーキング位置に再度取り付ける。
そしてトップ金具固定用のネジを挿入する。
ネジ先端が尖っているので下穴なしでも挿入できる。
飛び出したネジはペンチで折る。
これでトップ金具が固定された。
手順⑤:シール先端のカット
歩くときの雪の抵抗でシール先端は剥がれやすい。なので、できるだけ雪の抵抗を逃がすように滑らかに尖らせてカットする。
左右分同じ作業をしてトップ側の作業は完了。
繰り返しになるが、シールをカットするたびに毛が大量に飛び散るので、カットするごとに掃除機はかけよう。
今回はつかってないが、トップ金具はCOLLTEXのアルミトップもおすすめ。
ややお値段が高いのと、リベット打ちが面倒だが、トップ金具とシールの段差が少なく、トップから雪の侵入が少ないのがメリット。
手順⑥:テールクリップの位置決め
そしてテールクリップ付属の説明書が位置決めテンプレートになっているので、クリップの穴あけ位置をマーキングする。
手順⑦:リベット打ち込み用の穴あけ
釘が付属しているので、トンカチで穴を開ける。
手順⑧:リベットの打ち込み
特に難しい作業ではないが、リベットを打つときの下側はフローリングだと傷が付くので、コンクリや石タイルなど、硬い場所で作業をしよう。
リベットをセットして
手順⑨:テール側のシールカット
そしてシールカット用の線を引く。
赤矢印の位置は、ボードのテールキックが始まる位置。ここから後ろはグリップに関係ないので、シールをカットしても問題ない。
左右同じ作業をして完成。
おつかれ山でした。
改造完了のシール
丁寧に作るとぴったりフィッティングで、ここまでの苦労が吹き飛ぶくらい嬉しいはず。48Rも大満足です(ニンマリ)。
参考になりましたでしょうか?
シールの選択肢が一気に広がるので、オススメ改造です。