ジムニーの高速巡行って疲れませんか?
100km/hも出せばエンジンは4400rpm、120km/hなら5300rpmも回っていてエンジン的にはギャンギャンうるさくて壊れないか不安だし、油温も120℃近くまで上がるのでオイル劣化も心配だ。
そこでファイナルギアを交換したいなーと思って色々調べていてたどり着いたのが、ジムニーショップ「ピストン ウィライズ」さんのトランスファーのハイギア化。
なんとギア比は20%ものアップで、巡行時の回転数は20%ダウンする。
48Rのジムニーはブーストアップしているので、ハイギアにしても特に馬力不足を感じることもなく、巡行時は100km/hで3500rpmしか回っていない。
回転数下がって駆動ロス下がるので高速の燃費は伸びるし、エンジン回転を下げることは下手な静穏よりよっぽど効果的で、快適性も大幅に向上した。
ハイギアしてこそJB23の真価が発揮できたといっても過言でないくらいで、ドライブするたびにご満悦の48Rです。
*この記事はあくまで高速道路での移動が多い48Rの感想です。使用用途によって、ベストなギア比は変わります。
ジムニーのギア比を変えよう
ノーマルJB23ジムニーのギア比について
ジムニーのギア比はわりとローギアードな設定で、100km/hで4400rpmも回ってしまうことから、80km/h以下までの使い勝手を主眼において設定されているように思う。
また、80km/hまでギア比がクロスしているかと思うと、そういうわけではなく、1速は5000rpmまで回しても20km/hちょいしかでなくて2速と離れているなど、1速は荷物満載坂道でも発進できるぜ!的なトラックやバンのようなギア比になっている(JB23は軽トラキャリーと同じギア比)。
実際、ネットで調べるとJB23ジムニーの1速-2速の変速の回転数やシフトショックのない変速方法などはよく議論になっているし、48Rも使いにくさを感じている部分である。
車速とギア比、回転数でプロットすると以下のようなグラフになる(JB23MT 5型以降のギア比、タイヤは純正)。
1速はギア比低すぎて全然引っ張れないし、5速でも低くて高速道路ではとにかくエンジン音がやかましい。120km/h巡航すると常に5300rpm近くまわっているので、エンジンがかわいそうになるほどだ。
JB23ジムニーのハイギア化
ミッションの繋がり問題はギア比の変更など手間とお金がかかるが、ハイギアだけならファイナルやトランスファーのギア比変更のみで可能なので敷居は低い。
ハイギアだけでも高速巡行時の回転数は下げられるので、もともと全体的にローギアードなJB23には大きな改善が期待できるのだ。
トランスファーのハイギアに関しては、ジムニーならクロカン性能を上げるためのローギアはたくさん販売されているのだが、ハイギアの市販品はまず見ない。色々調べていると野田のジムニー専門店「ピストン ウィライズ」さんではトランスファーのハイギア化してくださるのをネットで見かけたので、今回はDIYではなくショップにお願いすることにした。
早速入庫して作業しているところ。
トランスファーのギア比変更だけなら、車を預ける必要なく日帰り手術で完了。
遠方の場合、トランスファー単体で送ればハイギア化して返送してくれるそうです。
作業中はウィライズさんのデモカーを代車としてお借りしました。
2インチアップ + ビルシュタインダンパーの素晴らしい脚を堪能(笑)
ちなみに、ファイナル変更してのハイギアという手法もあるが、その場合はJB33の純正デフ がちょうど良さそう。
JB23のファイナルは5.375に対して、JB33のファイナルは4.090。
だが、JB33のデフがほとんどヤフオクにでてないので、この方法は速攻で却下した。
生まれ変わったハイギアジムニーのギア比
はい、まずはギア比表。
20%ハイギアの効果はすごい。
ノーマルの5速がハイギア4速相当。ノーマルのさらに上に巡行用ギアが設定された感じだ。
**2020/05/01更新**
ピストンさんのブログでは20%アップと書いているが、回転数を見ていると、もうちょっとハイギアになってそうなので、ギア比表を改良してみた。
こっちのほうが実際の速度と回転数の関係が合っている(なんと、5速7,500rpmで220km/h!絶対出ないけど)。
ちなみに、この数値はJB74(新型ジムニーシエラ)のトランスファーのギア比である。
JB23のハイギアなんてどこにも売ってないので、なにかの車種のギアを流用だと思うのだが、上のグラフと自分のJB23の回転数をみても、JB74流用っぽい気がしてきた。これで23.5%のハイギア化である。
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ハイギア化後のシフトアップポイントはこんな感じ。
1→2速:20km/h
2→3速:40km/h
3→4速:65km/h
4→5速:90km/h
ハイギア4速がノーマルの5速相当なので、街中はほとんど2速or3速で走って、流れの良い幹線道路でやっと4速に入る感じ。
ハイギアになったことで出足が鈍くて困るようなこともなく、むしろ1速のギア比がアップして前より1速で引っ張りやすく使いやすくなったことと、普段の街乗りは1速下のギアを選択することで、特に不具合は感じない。むしろ48Rのジムニーはブーストアップしてトルクバンドが広くなっているので、「ハイギア&離れたギア比のJB23ミッション」の相性はすこぶる良いと感じている。
また、狙いの5速巡行の回転数は80km/hで2800rpm、100km/hで3500rpm、120km/hで4200rpm程度。100km/h巡行時の回転数が900rpmも下がったので、エンジン音も静かになり、ロングドライブでの疲れがかなり軽減された。
もうね、半端な防音材で静穏化するより、よっぽど効果が高い!
ただ、ブーストアップしているとはいえ、ノーマルギア比のように5速固定で高速道路を走るのはツラい。平地や勾配の緩い登りくらいなら120km/h巡航できるのだが、登坂車線があるような坂では120km/hキープができない(具体的に言うと、中央道下り線の談合坂SA手前の登りは5速120km/hキープは難しい)。そのときはノーマル5速相当のハイギア4速に落とすことになる。
燃費については、回転数が下がってエンジン内のメカニカルロスが減るので、燃費は最低でも5%は向上している。
5速90km/hで燃費走行するとこんな感じ。
ちなみに、OBD2接続のレーダー探知機を取り付けると、燃費などの各種情報が表示されて便利。
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参考にアルトワークス5MTとの比較グラフも記載する。
アルトワークスの5MTをワイドにした感じのJB23ハイギア仕様。1,2速はまだまだアルトワークスのほうが高いギア比だが、ジムニーはアルトワークスの1.5倍の車重なので、これくらいがちょうど良いだろう。
また、同時にLowも20%高くなったのだが、林道(フラットダート)で3速-4速で走るにはちょうど良い。シフトも前後だけなのでミスしにくい。
とはいえ、クロカンメインなら20%エンジンの回転が下がるので、デメリットが多いだろう(クロカンにはやはりダウンギア。ピストンさん曰く、Hiポジションのみハイギアにして、Lowはさらに下げることも可能とのこと)
やって良かった、本当に良かったハイギア化!!
ただ、自分のジムニーはエンジンはちょこっといじっているので、どノーマルエンジンだと出足のもたつきのデメリットのほうが大きくなる可能性もある。不安ならウィライズさんに相談するのが良いだろう。もう数十台ハイギア化されているそうなので、適切なアドバイスを頂けることは間違いない。
ハイギア化を見据えてブーストアップするなら、こちらの記事を参考に。
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千円台の材料費と、いつでもスプリング外すだけの10秒でノーマル復帰もできるので、気軽にトライできます。
ハイギアの費用
意外とリーズナブルで工賃込みで7.4万円ほど。
さらにハイギアと同時にローギア組み込みプランもある。
こちらはハイギア化のみだとLowも20%高くなってしまうのに対し、ZEALの77%ダウンをLowに組む。この場合はノーマル対比でHiが20%アップ、Lowが57%ダウンになる。Hiは移動用快適ギア、Lowはクロカン走行用と夢のようなトランスファーだが、お値段は合計17万円だったので予算オーバー(涙)
まあ、48Rはオフロード走行といってもフラットダート散策という感じで難しいセクションは走らないので、ダウンギア必須ではない。ダウンギアは必要になってからでも遅くはない。
ちなみに、ハイギア化は千葉のジムニーショップ「レインボーオートさん」でも受け付けてます。
JB23-5型以降(43、64)トランスファーのHi側1.000化は65000円(税別)から可能です。詳しくはご相談ください。ちなみに2WD仕様は11000円アップです。(2WD仕様は2ヵ月位走ってチェックして問題無い確認してから始めます(笑)) pic.twitter.com/jqvEwGgnfC
— 横ヒレ@株式会社RainbowAuto (@rainbow_auto) September 14, 2021
レインボーオートさんは他にも面白そうなパーツが盛り沢山の楽しそうなショップです。
JB23ジムニーハイギア化まとめ
高速道路でのエンジン回転数抑制を狙ったハイギア化。
その効果は高く、エンジン負担は減るわ、燃費は良くなるわ、エンジン音は静かになるわ、その恩恵は想像以上のもの。
ちょっとエンジンに手を入れたジムニーならトルク不足もそれほど感じないので、適切なギア比でより完成度の高い車となった。
高速道路メインなら、ハイギア化は一押しの快適化カスタムです。
**2020/05/01更新**
さらに走りまくったので、インプレ追記。
12月末~4月初まではJB23ジムニーは白馬村に置きっぱなしにして、村内の別宅を拠点にスキー場の往復や買い物にのみ使用。
高速の5速巡行での快適性はハイギア化で格段に良くなったのだが、村内の移動のみ場合、最高でも70km/h程度しか出さないため、ハイギアJB23ではほとんどの場面で3速まで、直線でやっと4速に入るくらいの使い方になってしまった。
ギアチェンジが少なく走れるメリットもあるのだが、各ギアが離れすぎていて登坂などではちょっとかったるい。スキー場までの登坂ステージで積極的にギアチェンジしてトルクバンドをキープしたい場合(ちょっと攻めたいときなど)、2速だと吹けてうるさいし、3速だと微妙にギア比が高い場面が結構あった。こういう場合、2,3,4速がもっと近くてトルクバンドを外さないようにギアチェンジして走れるノーマルトランスファーが良いかな。ちょっと不満がでてきた。
簡潔にまとめると、高速道路での燃費や静寂性を高めたいなら絶大な効果のハイギア化で、意外と街中でも普通に走れるのだが、エンジンの一番おいしい回転数をキープしてキビキビ走りたいなら、ちょっとギア比が離れている感じる場面もある、というのが今回のハイギア化の総評だ。
他にも「JB23ジムニーカテゴリ(☜クリック)」で色々ジムニー 記事書いてます。よろしければ、そちらの記事もどうぞ。