ディレイラーって最初は調子良くても使っているうちに調子が悪くなってきて、シフターを操作してもギアが変わらなかったり、漕ぎ出したら勝手にギアが変わったり、結構トラブルが多いですよね。
ディレイラー調整はそんなに難しくないのだが、自分でメンテナンスしない人にとってはディレイラー周りってメカメカしくて手をつけにくい部分なので、今回はメンテ初心者を対象に詳しく解説します。
一見複雑に見えるディレイラーも実は機能としては単純で、慣れてくると変速調整はおろか、ディレイラーを新品から組んできちんと動作するように調整するのも簡単です。
一般的なディレイラーの説明書は手順しか書いてなくて理解しにくいので、今回は各機能も掘り下げて説明します。
変速の調子が悪くなる3つの原因
変速の調子が悪くなる原因の95%は次の3つである。
原因①シフトケーブルのトラブル(伸び、ケーブル固定の緩み)
シフトケーブルでディレイラーの動きを決めているので、シフトケーブルの長さが変わると変速の調子が悪くなる。
代表的なトラブルとしては、新品のシフトケーブルは最初に初期伸びという比較的大きな伸びが発生し変速の調子が悪くなるパターン。新車で買ったバイクでも半月くらいで変速の調子が悪くなりバイク屋に駆け込んだ経験のある人も少なくないのではないだろうか。
また、初期伸び落ちついても、シフトケーブルは常に引っ張られているのでほんの僅かずつ伸びてきたり、ディレイラー側のケーブル固定部が少しずつズレたりで、変速の調子が悪くなるパターンもある。
その場合は記事後半で解説する「ディレイラー調整方法②」で1分くらいで調整可能である。
原因②ディレイラー取り付けボルトの緩み
ディレイラーの取り付けボルトは意外と走行の振動で緩んだりするもの。
緩んだ状態だとディレイラーがグラグラ動いてしまい変速の調子が悪くなるので、定期的点検しましょう。
ちなみに、シマノディレイラーの締め付けトルクは5mmの六角レンチで8〜10Nです。
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原因③ディレイラーハンバーの曲がり
ディレイラーをぶつけると、ディレイラーハンガーが折れないにしても結構曲がっていることがある。
見た目では曲がっていることわからない僅かな曲がりでも、変速の調子が悪くなることがあるので注意されたし。
また、ハンガーが曲がっているとディレイラーとスプロケの位置関係がズレているので、いくらディレイラー側で調整しても変速の調子が戻らないことも少なくない。
ディレイラー調整しても変速がうまくいかない場合、ハンガー曲がりを疑ってください。
(48Rもいくら調整しても変速の調子がよくならず、ハンガーが折れて交換したら一発で解決した。目視でわからない曲がりでも変速の調子が悪くなるのでタチが悪い)
変速機構の仕組み
調整する前に、簡単に自転車の変速機構について説明する。これを理解しておくと調整はものすごく簡単です。
ディレイラーの仕組み
ディレイラーは常にトップギア(最小ギア)側になるようにバネが働いており、シフター操作によりシフトケーブルに引かれるとローギア(最大ギア)側へガイドプーリーが移動する仕組みになっている。このようにしてガイドプーリーを動かして任意のギアにチェーンを誘導して変速する仕組みになっている。
また、プーリーは2個付いていて上のプーリーがチェーンを任意のギアに導くガイドプーリー。
下のプーリーはテンションプーリーといって、スプロケットの大きい歯と小さい歯のチェーンラインの長さの差をガイドプーリーが吸収する仕組みになっている。
下の画像のように、テンションプーリーは常にチェーンにテンションをかける方向にバネが働くので、スプロケの最大ギアでも最小ギアでもチェーンが弛まない仕組みになっている。
・最小ギアの時
・最大ギアのとき
また、フルサスの場合はリアサスがストロークするとチェーンリングとスプロケの距離が変化するが、その時に生じるチェーンラインの長さの変化もテンションプーリーが吸収している。
シフターの仕組み
ディレイラーはシフトケーブルに引かれるとガイドプーリーが断続的にトップ側からロー側へ動くようになっている。
また、シフターワンクリックごとにガイドプーリーは常にスプロケのギア1段分移動するようになっている。
つまり、シフターのケーブルの引き量でガイドプーリーの位置や移動量を決めているのである。
シフターとディレイラーの調整のしくみ
さきほどシフターでガイドプーリーの位置を決めているのと、常にワンクリックでガイドプーリはギア一段分だけ移動すると説明した。
つまりディレイラー調整とは、例えば10速コンポだとすると、10速のスプロケットに10段階で動くディレイラーを同調してやる作業なのである。
同調取るだけなので、シフト調整なんてチョロいメンテナンスなんです。
ちなみに、よく3速と4速だけシフトの調子が悪いなど、特定のギアだけで変速の調子が悪くなるパターンが多いが、ピンポイントで3,4速がおかしいのではなく、全体の同調がずれた状態でたまたま3,4速に症状が表れているだけである(ディレイラーの仕組みは単純なので、3,4速だけ調整するなんて器用な調整はできないし、ピンポイントで3,4速だけズレているわけでもない)
ディレイラーの調整方法
メカメカしいディレイラーも調整するのは次の3点だけ。
また、ちょっと変速が調子悪いだけなら、2. の調整のみである。
- ハイ側、ロー側それぞれのストローク(可動域)の設定(制限)
- ディレイラーのガイドプーリーとスプロケの同調(ケーブル長さで調整)
- スプロケとガイドプーリーの距離の最適化
必要工具
- 2番プラスドライバー
ストロークやガイドプーリーの調整にはドライバーが必要だが、2. のシフトの変速不良だけなら工具は不要。
ディレイラー調整方法①ストローク調整
ストロークとはディレイラーの可動域である。自転車やホイールごとに微妙な差があるので、ディレイラーの動きをスプロケのローギアからトップギアの間になるように可動域を設定してやる。
トップギア側のストローク調整
トップギア側のストローク調整はディレイラーの後ろに並んでいる二つのネジの上側で調整する。
数のようにガイドプーリーの中心がスプロケトップギアの外側の線上にくるように合わせる(48Rは横着してチェーンつけたまま調整しているが、チェーン外したほうがストローク調整しやすいです)
引用元:シマノディーラーマニュアル
ちなみに、調整ネジのどちらががローギアかトップギアか忘れてしまっても、ネジの間に刻印されているので現場で確認することも可能だ。
ローギア側のストローク調整
ローギアは二つ並んでいるネジの下側で調整する。
下の図のように、ローギアスプロケットの中心線軸上にガイドプーリを持ってくる。
引用元:シマノディーラーマニュアル
ストローク調整の応用技で、ガイドプーリーが7速の位置にくるまでローギアのストロークを調整すれば、SRAMの7速スプロケットをシマノディレイラーで使用することも可能だ。
上は48Rのダウンヒルバイクだが、SRAMの7速スプロケットを10速のZEEディレイラーと11速XTシフターで変速させている。
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ディレイラー調整方法②ガイドプーリーとスプロケの同調(ケーブル長さで調整)
ディレイラーのガイドプーリーは、シフターワンクリックごとにスプロケの1段分ずつ正確に移動するが、ガイドプーリーとスプロケの位置の同期をとってやる必要がある。
まずはギアをトップから2段目に変速する。
その状態で、シフトレバーを遊びの分だけ半押しして、トップから三段目のギアに軽く接触して音鳴りする状態がベストセッティング。
引用元:シマノディーラーマニュアル
ベストセッティングになってない場合は、ガイドプーリーの位置を調整する必要がある。
調整方法は簡単で、シフターについている調整ネジを回すとガイドプーリーがトップギア側またはローギア側へ移動する仕組みになっているので、ベストセッティングになるまで調整する。
半押しでギアがトップから3段目に変速してしまった場合はシフトケーブルのテンションが張りすぎているので、シフターの調整ネジを時計回りに回してガイドプーリーをトップギア側へ移動するように調整する。
逆に半押ししてもトップから3段目ギアに接触しない場合はケーブルのテンションが不足しているので、シフターの調整ネジを半時計周りに回してガイドプーリーがローギア側へ移動するように調整する。
引用元:シマノディーラーマニュアル
ディレイラーの調整方法③ローギアとガイドプーリーの距離調整
最後にガイドプーリーをスプロケに対して適切な距離になるように調整する。
ガイドプーリーがスプロケに近いと接触してガイドプーリーが動かなくなるし、逆にスプロケに対してガイドプーリーが遠いと正確なシフトチェンジができないからだ(極端な例だけど、ガイドプーリーが50cm離れてたら、ギア1段分ガイドプーリーが動いても変速しないよね?なので、ガイドプーリーは接触したりチェーンが詰まらない範囲でなるべくスプロケに近づけたい)。
ガイドプーリーの距離の調整はBテンションアジャストボルトで調整する。
引用:シマノディーラーマニュアル
↑[A]のギャップを指定距離に合わせてクランクがスムーズに回れば調整作業は完了です。
お疲れ様でした。
余談ですが、SRAMディレイラーの場合はガイドプーリーの距離を最適化するための治具が付属してくるので作業はもっと簡単です。
MTBディレイラー調整まとめ
初心者からすると敷居が高そうなディレイラー調整も、ディレイラーの仕組みを理解していたら調整は簡単です。
変速の微妙な調整だけならシフターの調整ボルトですぐ解決ですし、この記事の内容が理解できたら新品ディレイラーを組み付けることも難しくありません。
変速の調子が悪いとストレスなので、サクッと調整してしまいましょう。