ハイエースのブログ記事

ハイエースのタイヤの荷重指数についてのお勉強 〜貨物用ではなく乗用車用タイヤは履けるのか?インチアップの荷重指数は?〜

今回は、ハイエースのタイヤカスタム(インチアップ、乗用車用タイヤ装着)をする上で、非常にややこしいタイヤの荷重指数の記事です。

・インチアップ化の扁平タイヤでバースト?

・乗り心地の良い乗用車タイヤにしたいけど、違法改造?

・貨物用(バン用タイヤ)じゃないと車検に通らない?

など、タイヤ交換するときには色々なウワサが気になると思う。

しかし、そんな疑問は荷重指数に対する正しい知識を身につけると、簡単に判断できるようになる。

今回の記事は、ハイエースのタイヤカスタムでポイントになるタイヤの荷重指数について、タイヤの基礎知識をまじえながら説明する。

実はここら辺の話は本職なので、結構長い記事になってしまった。

目次など活用してください。

 

まずは基本、タイヤのサイズ表示について

まずは超基本から解説する。

タイヤのサイズ表記は下画像のようになっている。

タイヤを購入する上で要点になる数字を説明する。

 

①タイヤ断面幅、②偏平率、④リム径(ホイールのインチ数)について

いわゆるタイヤの大きさを決定する数字。

 

①タイヤ幅

しかし、「195」だからって195mmぴったりというわけではなく、「195サイズ」を表示するために定められた規格幅は193mm〜209mmと結構幅広い。

というわけで、「195サイズ」表示とはいえ、製品、メーカーごとに多少サイズが異なるわけだ。

ちなみに、メーカーサイトには正確な幅寸法が載っている(下表右はし)。

上表の場合、215/65R15とはいえ、幅は223mmあって、225サイズのほうが近いくらいである。

 

 

②偏平率

タイヤのサイドウォールの高さの指標となる数字。

扁平率が低いほど、幅に対する高さが低くなり、平べったいタイヤとなる。

 

④ホイールインチ数

これはそのままホイールのインチ数である。

ちなみに豆知識だが、ホイールの断面形状は世界規格で定められている。

そのため、どんなタイヤでも適正リムサイズならば、ちゃんと組めるのである。

 

 

③構造表記について

そのタイヤが「ラジアル」か「バイアス」かを示す表記(タイヤ構造は大きくこの二つに別れる)。

ラジアルなら「R」と表記。バイアスなら「無表記」。

現実的には乗用車やハイエースなどのバンのタイヤはほぼ100%ラジアルなので、あまり気にしなくてOK。

 

 

⑤タイヤの荷重指数(load index)について

タイヤ1本あたりで支えられる荷重(負荷能力)を指標化した数字。

世界共通の指標で、下表のように数字ごとに負荷能力が決まっている。

注意点として、この負荷能力は「規格MAX内圧時」の負荷能力である。

内圧を下げると、下表のように負荷能力が下がるので、タイヤ交換でサイズ変更する場合は、確認が必要である

例えば、Load index 70では最大負荷能力が335kgだが、車の指定内圧が220kPaになっている場合は最大負荷能力が320kgになる。

車両によっては低めの空気圧が指定内圧になっている場合もあるので、タイヤ交換時には注意が必要。

 

⑥速度記号について

これはタイヤが安全に走行できる最高速を指標化したものである。

 

⑤のLoad index と⑥の速度記号は安全性を示す重要な指標で、そのタイヤが「この荷重でこの速度まで耐えれますよ」ということを保証している。

タイヤは命を乗せて走るものなので、その保証も厳格。

Load index、速度記号とも、その表示をするために必要な耐久試験が法規で定めており、その試験をクリアしないタイヤは世に出すことはできないことになっている。

 

 

 

ハイエースのタイヤは?

ハイエースの純正サイズは「195/80R15 107/105L LT」である。

荷重指数は107/105

荷重指数が二重表記の場合は、大きい数字がタイヤ一本で使用の場合。小さい数字がダブルタイヤで使用する場合の荷重指数である。

つまり、ハイエースのように一本で使う場合は、max内圧の350kPaで975kgまで耐えられる。

ちなみに、ダブルタイヤとは、トラックやバスなどでよく見るタイヤを二つ並べて装着する方法である。

 

スピードシンボルは「L」なので、最高速は120km/h

意外と知らない人が多いが、ハイエースのタイヤの最高速は120km/h。意外と低いのだ。

高速道路では140km/h巡行しているカッ飛ばしハイエースを見かけたりするが、タイヤの保証速度を超えているので、この状態でタイヤがバーストしてもタイヤメーカーの保証外ということになる。

とはいえ、タイヤの保証速度は120km/hの保証試験にクリアすれば良いということなので、もちろん実際に120km/hを超えたら即壊れるというわけではなく、マージンはある。

 

ちなみに、ノーマル状態のハイエースは160km/hでリミッターがかかるようになっている。

 

 

LTはLight Track規格

LT規格のタイヤは頑丈で大きな荷重を支えることができる。

通常、大きな荷重を支えるため指定内圧が高くなっている。

内圧が高いので、それに耐えるためタイヤも重構造。

LTタイヤの乗り心地は悪いというのは、高い内圧によって空気バネが高いのと、タイヤが重構造でたわみが少ないことのダブルパンチなのだ。

 

 

 

荷重指数はどのように決まっているか、ご存知だろうか?

今回の話のキモになる部分なので、掘り下げて解説する。

大前提として、タイヤは内圧を充填することで、車の荷重を支えている。

 

タイヤが車を支える力を力学的に考える

タイヤは下図のように荷重を支えている。

内圧を張ったタイヤが地面を押す反力で荷重を支えているのだ。

タイヤが地面を押す力は

「接地面積」 x  「内圧」

と表すことができる。

つまり、大きな荷重を支えるには、「接地面積を大きくする」または「内圧を上げる」という手法をとれば良いわけだ。

 

接地面積を大きくするには、外径または幅を大きくする

外径が大きなると、接地長が伸びるし、タイヤ幅が大きくなると接地幅が大きくなる。

タイヤサイズが大きくなると荷重指数が大きくなるのは、接地面積が大きくなるからなのだ。

よって、タイヤカタログを眺めて見ると、幅や外径が大きなタイヤほど荷重指数が高い。

 

内圧を上げることでも荷重指数をあげられる

LTタイヤや、ミニバンなどに採用される「XL(エクストラロード)」規格はまさに内圧を上げることで耐荷重を稼いでいる。

乗用車タイヤが240kPaなのに対し、ハイエースのLTタイヤは350kPaまで充填できるようになっており、より大きな荷重を支えることができる。

また、XLも同様に内圧を高く設定することで耐荷重を高めている。

「XL規格」で注意が必要なのは、同じ内圧なら「スタンダード」より対荷重が低いことだ。

上表の場合、LIを上げているにも関わらず、同じ内圧なら耐荷重は下がっているのだ。

かならず内圧-荷重対応表を確認して、安全な内圧を充填しよう。

 

偏平率が下がると荷重指数が下がる

上図は同じ外径と幅のタイヤで、「偏平率違い」のタイヤ断面である。

タイヤの構造は簡単に説明すると、空気を逃さないゴム膜と、形を保つ骨組みのカーカス(ナイロンなどの糸)でできている。

タイヤのサイドウォールはタイヤ回転により、繰り返したわみ運動を続けている。

タイヤのサイドウォールが低い(偏平率が低い)タイヤほど、サイドウォールのたわみの曲率が小さくなるため、タイヤの骨組みであるカーカス(糸)に「ひずみ」が集中する。

「ひずみ」と「繰り返したわみ」によりカーカスはダメージを受け、最終的には破断=バーストしてしまうのだ。

ゆえに、「ひずみ」が集中しやすい低偏平タイヤは荷重指数が低いのである。

通常、新車についているタイヤは「ひずみ」に対してかなりマージンをとっている(十分な荷重指数)ので、適正内圧の使用でバーストはあり得ないが、「インチアップでバースト」というのは、えてして荷重指数に余裕がない方向になる。

タイヤ選びに注意しないと、タイヤのカーカスに許容量を超える「ひずみ」がかかってしまう場合もある(ハイエースのインチアップでバーストは荷重指数が足りてない場合がほとんど)。

 

タイヤカタログをみても、同じ大きさのタイヤなら偏平率が低いほど、荷重指数も下がっている。

 

 

ハイエースが車検を通るために必要な荷重指数とは

タイヤの基礎知識の前置きがクッソ長くなってしまったが、そろそろ本題に移ろう。

 

乗用車タイヤでも車検は通るのか?

最初に答えを言うと、「車の使用上の最大荷重(車検証記載)を支える荷重指数があればOK」。

乗用車タイヤだろうが、LTタイヤだろうが関係なし。

つまり、その車が安全に運行できるタイヤが装着されていれば良いのである。

車検証を基にした細かい計算はこちらのサイトが詳しい。

 

グレードやエンジン、駆動方式(2WD or 4WD)で車重が異なるので、一概に「LIは100あればOK」とは言えないのが難しいところ。

タイヤのサイズ変更する際は、各々注意されたし!

リンク先にある通り、車検を通すには荷重指数を満足すれば良いので、軽量なガソリン 2WDなら選択肢が結構広がると思う。

 

 

しかし、実際には荷重指数を満足しても通らない例もある

上記リンクの計算を見てもらえればわかるが、軸重を計算するのは非常に面倒。

そこで「疑わしきものは全て罰する」方針で、新車時の荷重指数を下回っていたり、ハイエースなのに「LT規格」でないタイヤの場合、有無を言わせず車検を通さない車検官がいるのも事実。

不安なら事前に陸運局に行って計算してもらうなど、対策をしよう。

 

 

48R号は自己責任で車検が通らないが、安全な荷重指数のタイヤを選択

バンの耐荷重を計算する際は、積載MAX重量で計算することになっている。

しかし、実際趣味用途でハイエースを使っている方々はそんなに積載しないし、せいぜい趣味の道具が200kg程度と思う。

ならば自己責任で車検は通らないが、安全に運行できる範囲の荷重指数のタイヤも選択肢に入ってくる。

48Rの場合、スタッドレスはバン用ではなく、乗用車用のVRX2を使用している。

車検には通らないが、スタッドレスを履いている時期は車検はないし、荷重指数も実用上のMAXは満たしているので危険性はない。

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乗用車用のタイヤを履くと、かなり静かになるし、乗り心地も向上する。

ハイエースバンで、あまり積載しない人は選択肢の一つになる(自己責任)。

 

 

ハイエースのインチアップについて

前半の長い前置きを読んだ方ならもうお分かりだと思うが、インチアップすることによって、タイヤに対する負荷が上がっていることは理解していただけたと思う。

同じ外径でインチアップすると荷重指数が下がるので、バーストしたくなければ選択には細心の注意が必要。

 

インチアップタイアは荷重指数が低い

ハイエース向け20インチになるとXLでも「225/35R20 90Y XL」と、90程度のLI。

ディーゼルや4WDは厳しいだろう。

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自分の使用用途で荷重指数を満たしている場合でも、タイヤの空気は自然に抜けてしまうので、空気圧管理はシビアにしたほうが良い。

 

18インチクラスだと「225/50R18 95V」

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荷重指数は「95」と、20インチに比べると余裕が出てくる。

それにしても、車検が通るかどうかわからない低い荷重指数の商品を 「for 200系ハイエース」として通販で売りに出して、間違う人いないのだろうか。。
(うちの4WD ディーゼルなら通らない。それどころか、バーストの危険まである)

 

 

安全重視ならLT規格インチアップタイヤ

インチアップしたいけど、荷重指数を下げたくないなら「LT規格のインチアップタイヤ」にするのがオススメ。

上の画像は48Rが以前乗っていた1型ハイエースに装着した、「ブリヂストン GL-R 215/60R17 109R」である。

ちょっと値段は高いが、荷重指数はバッチリなので、なんの不安もなく走ることができる。

ちなみに、インチアップしても荷重指数を下げないため、タイヤは超重構造!かなり重い、いや、めちゃくちゃ重い!

「純正のてっちんホイール+純正バンタイヤ」が軽く感じるほど。

以前はベランダにタイヤを保管していたのだが、GL-Rを運ぶのはギックリ腰になりそうで怖かった。

車検対応17インチバンタイヤ ブリヂストン GL-R装着 インチアップハイエース200系

 

そのほか、TOYOタイヤのH20なら18インチの車検対応タイヤまである。

H20 225/50R18 C 107/105R 夏タイヤ トーヨータイヤ TOYO TIRES

 

 

タイヤの荷重指数まとめ

車重が重いハイエースのインチアップは、荷重指数を考慮しながら慎重にタイヤを選択しよう。

荷重指数を超えて使用した場合、最悪バーストするし、バーストはたいてい高速道路で発生するので命取りだ。

やはり、48Rとしていは、荷重指数が下がらないLT規格のインチアップタイヤをオススメする。

 









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