1インチリフトアップ程度ではキャスター角度補正しなくても通常範囲の走行では困ることはないのだが、今回はとある理由でリーディングアームを交換した。
その理由なのだが、リフトアップするとキャスター角が減少して直進安定性が損なわれるのだが、逆にキャスター角が増した場合、直進安定性は向上するの?ということで、今回1インチアップのマイJB74ジムニーシエラに2インチアップ用のリーディングアームを組んでみた(自己責任です)
また、実験の内容はさておき、今回はリーディングアームの交換手順も紹介する。
リーディングアームと
リフトアップ時の
キャスター角補正について
詳しくは別記事で書いている。
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【徹底解説】ジムニーリフトアップ時のキャスター角補正について【リーディングアーム交換】
ジムニーをリフトアップすると必要になるのがアライメント補正。 その中でもハンドリングや安定性に大きく影響するのがキャスター角補正だ。 とはいえ、なぜキャスター角が大きい方が直進安定性が向上するのか、仕 ...
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めちゃくちゃ長い記事になってしまったが、初心者でもリフトアップ時のキャスター角変化と補正の仕組みがわかるように詳しく書いてます。
交換するリーディングアーム
選択したのはメタルワークスナカミチのリーディングアーム
様々なメーカーからリーディングアームが販売されていて正直どこを購入するか迷うが、今回はJB23系の部品で色々お世話になっているメタルワークスナカミチさんのリーディングアームを購入。
リーディングアームの性能の比較なんてやってるサイトやYouTubeもないので、好感度の高いメーカーかつ値段で選んだ感じだ(値段に糸目をつけなければラノーズのを買いたかったが、お値段77,000円もするので却下)
届いたナカミチさんのリーディングアーム
防錆塗装は刷毛で塗っているのでちょっと雑な印象もあるが、錆びないほうがよっぽど重要だし厚く塗るための刷毛塗りなので、雪国へ行く機会の多い48R的には大歓迎である。
純正のアームの比較がこちら。
ナカミチさんのサイトではJB23/43/64/74共通で販売されているが、ブッシュはJB64/JB74タイプのものが装着されていた。こちらのブッシュの方が、ピンの直径が太くジャダーが出にくいと思っている。
こちらは横方向の厚みの違い。
激しいオフロード走行で曲がることもあるらしい純正のリーディングアームに対し、メタルワークスはかなり太い!
商品説明によると、純正の3倍の曲げ強度だとか(それでいて、純正より1kgほど軽い)。
ポイントバックを考えると実売5万円を切ってくるので、なかなか良いのではないでしょうか?
カラーもベーシックな黒と、カスタム感がでる黄色が販売されている。
また、取り外した純正リーディングアームはメルカリなどのネットフリマで売ることができる。
→メルカリでJB64/74純正リーディングアームの相場を調べる
48RのJB23ジムニーでもやっているが、古いJB23やJB33/43とアームが共通なため、程度の良いJB64/74のリーディングアームは中古で需要があるのだ。
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リーディングアームの交換車の車検に強度計算書は必要?
リーディングアームを物色しているとよく目にするのが「強度計算書」。
強度計算書とは文字通り部品の強度を計算したもので、リーディングアームならジムニーのリーディングが負担する荷重に対し、アームが十分な強度を持っていることを計算して証明する書類である(実際に強度試験をするわけではなく、あくまで計算値)。
楽天などのリーディングアームの購入ページを見ても、強度計算書が付きますといっているメーカーがある一方、強度計算書が付属しないと公言しているメーカーもある。
一体どちらが正しいのかユーザーは混乱してしまうが、結論としては、強度計算書は必要なしである。
理由はこうである。
まず誤解が生じやすいのだが、一般的な独立懸架サスペンションのアームは指定外部品であるため、アーム交換すると車検には強度計算書が必要である。これは独立懸架のサスペンションアームはタイヤの位置とストロークの軌跡を決めているだけでなく、車の荷重も支えている重要部品であり「指定外部品」に分類されるからである。
※指定部品とは、軽微な変更と定義される部品であり、交換しても車検で構造変更の必要がない部品。逆に指定外部品は交換すると記載変更または構造変更しないと車検に通らない。
一方、ジムニーに採用される3リンク式リジッドアクスルサスペンションにおいてリーディングアーム(トレーリングアーム)はタイヤの前後方向の位置とストロークの軌跡を決めているだけで荷重は負担していない。この場合、分類的にはラテラルロッドなどと同様のコントロールロッドと呼ばれる指定部品の類に含まれるのだ(荷重は負担していないが、制動力/駆動力は受け止めているのでそれなりの強度は必要だが)。
どこの馬の骨か分からない私の見解だけでは役不足なので、以下にジムニーショップのCL LINKさんの見解の文書を添付する。
他にもカスタムしているジムニーオーナーのユーザー車検に関するブログを読んでみても、リーディングの強度計算書は車検に必要なかった記事がいくつかあったので、強度計算書はなくて大丈夫でなのでしょう。
JB64/JB74のリーディングアームの交換手順
キャスター角やホイールベースを変更したリーディングアームは純正のそれとは穴の位置がずれるので、交換はそれなりに大変である(リフトアップのついでにやれば、もっと簡単だったかもしれない)。
とはいえ、ホーシングの角度調整のコツさえわかっていれば、DIYでもなんとかなる作業である。また、二人いると一人はホーシングの角度を調整して、もう一人でリーディングアームのボルトを差し込めるので比較的簡単に作業できると思う(48Rは例によって一人DIYなので、そこそこ苦労した)
また、左右のリーディングアームを同時に外してしまうと万が一プロペラシャフトが抜けると大変なことになるので、アームは片方ずつ交換したほうが無難である。
あと、別記事を読んでくださった方はもう理解していると思うが、リーディングアームは荷重を支えていないので、アーム交換にジャッキアップは不要だ。
作業時間:2時間
必要工具
- タイヤ輪止め
- ラチェットハンドル
- ブレーカーバー(ロングスピンナハンドル)
- 17mmソケット
- 17mmメガネレンチ
- トルクレンチ(73Nm、95Nm)
- マイナスドライバー(こじり用)
リーディングアームは指定トルクが高いので、ハンドルの長い工具があると作業が楽。
とはいえ、600mmだと長すぎても車体の下でハンドル振れないので、400mm前後が使いやすい。
手順①タイヤに輪止め(タイヤストッパー)をする
リーディングアームを外すとホーシングが前に移動しようとするので、輪止めをしておく。
手順②フロントショックを外す
リーディングアームは3ヶ所のボルトナットで固定されているが、ホーシングの後ろ側のボルトはショックが邪魔になって抜くことができない。
なので、先にショックの下側の17mmのボルトナットを外して、ショックをずらせるようにしておく。
ショックの上側は外す必要なく、下側だけ外せば↑の画像のようにショックをずらしてボルトとの干渉を回避することができる。
手順③純正リーディングアームを取り外す
17mmのレンチでリーディングアームのボルトをホーシング側2ヶ所、フレーム側1ヶ所外す。
ブレーカーバーでバキッと緩めたら、ラチェットハンドルで早回し。
3ヶ所のボルトを外してリーディングアームを外してみたら、フレーム側が錆びてやがる。。。
滅多にアクセスしない場所なので、放っておくと次にお目にかかるのは数年後。。ここは時間かかるけど、処置することにした(SUZUKIはアッチコチ錆びるなぁ)
いつものようにワイヤーブラシ。
錆落とししてみたら、表面錆だけだったのでホッと胸を撫で下ろした(フレーム側が錆びで腐るとか、恐ろしいからね)。
錆転換コーティング剤で、残った錆も処置しておく。
そして塩害ガードという塗膜が強力なアンダーコートを入れていく。
ここらへんの防錆塗装のやり方は、別記事で詳しく紹介している。
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手順④リーディングアームを取り付ける
色々取り付け方はあると思うが、48R流は次の通り。
まずはホーシングの前側のボルトを挿入。
次にフレーム側を取り付けるのだが、穴の位置が合わない。
穴の前後位置の調整は、タイヤを押すと簡単に調整することができる。
アームとフレーム側の穴位置が合ったところでボルト挿入。
リーディングアーム交換で難しいのが3本目のボルト挿入だが、二人いれば楽勝作業。
文章では伝わりにくいので、動画も交えて解説する。
今右側のリーディングアームを交換しているが、逆の左側のリーディングアームのフレーム側のボルトを抜く。そして左側のリーディングアームを掴んで上下に動かせば、簡単にホーシングの角度を調整できるのだ(下の動画をクリック)
一人がホーシングの角度を動かして、もう一人がボルトをさせば簡単。
一人作業なら左のリーディングアームを動かしつつ右のリーディングアームのボルト挿入なんてできないので、プロペラシャフトを片手で動かしながらホーシングの位置を調整してボルトを挿入する(片手でプロペラシャフト動かして片手でボルト挿入するので、相当力技)
ガレージジャッキなどでホーシングの位置調整をしている人もいるが、リーディングアームなりプロペラシャフトなり、テコの原理でホーシングを動かせる場所を見つけると、意外と簡単に作業できるのだ。
右側のリーディングアームを取り付けると既にホーシングの角度は補正されているので、左側の穴のズレはこの程度。
これくらいなら、マイナスドライバーなどを突っ込んでこじれば簡単に穴位置を合わせることができる。
最後にフレーム側を73N·m、ホーシング側を95Nmで本締めする。
手順⑤フロントショックの取り付け
逆手順で組み付けるだけなのだが、ビルシュタインなどの高圧ガスが封入されたショックは反発が強くて縮めるのが大変!
なので、両手でショックを縮めてから、ショックのロワーブラケットにマイナスドライバーを突っ込んでショックが伸びないようにすると作業が簡単。
ショックの下側のボルトを70N·mで締め付けて作業完了。
キャスター角度補正インプレッションとまとめ
さて、今回は1インチアップのジムニーに2インチアップ補正のリーディングアームを入れて、ノーマル状態よりキャスター角が寝て直進安定性が増す方向になったのだが、その効果の大きさに驚かされた。
ハンドルセンターを中心にハンドルを切っても戻ろうとするモーメントが強く、中央に座り感の出たステアリングフィーリング。ギャップに乗っても風に煽られてもハンドルを軽く保持しているだけでジムニーは何事もなく前に進むので、段違いで運転が楽になった。
1インチアップの補正なしでも危ないというほど安定感の悪化はないのだが、ハンドルを取られやすい状況ではやはりハンドルにしがみつく必要があったので、今回のキャスター角度補正で長距離ドライブが本当に楽になって、労力と金かけて補正した甲斐があったというものである。
また、アーム交換で乗り心地がよくなった気がする。
下の画像は1インチアップコイルを組んでリーディングアーム交換前の補正なし状態。
コイルが弓なりで、バネの反発力とホーシングのコイルベッドの向きが合ってない状態だ。
こちらはリーディングアーム交換後のコイル(こっちの写真はタイヤ邪魔で真横から撮れなかった。次回スタッドレス交換でタイヤ外したとき、補正前と同アングルの写真撮ってちゃんとした比較画像に差し替えます)。
弓形が解消され、コイルの反発力が真っ直コイルベッドを押す形になっている。
これによりサスペンション本来の実力を発揮させることができ、乗り心地が良くなったと推測している。
さて、いつものように無駄に長いブログを最後まで読んで頂きありがとうございました!
1インチアップ補正でも2インチ分のキャスター角度補正を入れる今回のチューニングは大成功。
直進安定性の低いジムニーで長距離運転が多いなら、運転が格段に楽になるオススメチューニングである。
また、繰り返しになるが1インチアップでキャスター補正しなくても、危険になるほどの安定性低下はないので、そこら辺は車の使い方に合わせてキャスター角度を補正すれば良いと思う(48Rの1インチアップしているJB23は、ちょいノリ専用で高速乗らないので補正予定なし)。
他にも「JB74ジムニーシエラ(☜クリック)」カテゴリーで様々なジムニーに関する記事書いてます。よろしければ、そちらの記事もどうぞ。