ハイエースのブログ記事

ハイエースの純正LSD有り無し両方所有したので、その効果と必要性について書いてみる。


(画像のLSDはハイエースのものではありません)

ハイエースの4WDを購入するとき、純正LSDを装着するかどうかって、めちゃくちゃ迷うよね?

筆者48Rは200系ハイエースは2台乗り継いでいて、最初の1台は4WD LSDなし、現在の2台目は4WD LSD付きに乗っている。

LSD装着を検討する人は、雪道などの滑りやすい道での運転を想定していると思うが、48Rは10年ほどハイエースで毎週雪山通いをしているので、両者の違いはまさに身をもって体験しまくっている。

今回はLSDをオプション装着すべきかどうか、48Rの意見を書かせて頂く。

↑こちらは48RのハイエースにLSD。ホーシングで見えないが、LSDオイルのステッカーが貼ってある(それにしても5年でかなり錆びたなぁ)。

 

 

LSD(リミテッド スリップ デファレンシャルギア)とは

念のため簡単に説明する。

知ってるわ!って人は読み飛ばしてオッケイです。

 

デフ(デファレンシャルギア)は左右輪の回転差を吸収する

まずはデフから説明(オープンデフとも書かれたりするが、今回は単にデフと書く)。

デフは左右の駆動輪の間に取り付けられていて、カーブを曲がるときに生じる左右の駆動輪の回転差を吸収する役割をしている。

もしデフが装着されていないと、左右の駆動輪は回転差を吸収できないので、カーブをスムーズに曲がれなく、とても乗れたものじゃない。デフは全ての車に装着されており、車がスムーズに走るための必須装備なのである。

 

ハイエース4WDは3つのデフがある

ハイエースの2WDのデフは後ろの駆動輪の間に1つである。

では4WDは2つ?

いえいえ、正解は3つ。

左右だけでなく、前後でも回転差が生じるので(内輪差といって、後輪のほうが回転半径小さくなるよね)前輪と後輪に駆動力を伝えるシャフトにもデフ(センターデフ)がついている。

さらにハイエースの場合、ビスカプカップリング付きセンターデフというLSDがセンターデフとして装着されている。

ちなみに、このセンターのLSDはオプションではなく、ハイエース4WD全てに装着されている。センターLSDの効果については後ほど説明する。

 

 

LSDはデフの働きを制限する

さて、ここからLSDの役割について説明する。

全ての車についているデフは左右の駆動輪の回転差を吸収してスムーズに曲がれる重要な部品だが、欠点もある。

雪道で片輪がくぼみにハマってスリップしたとする。もう片輪はくぼみにはまらずグリップする状態。

そうするとデフは

・スリップ側:駆動力を多く配分して、ますますスリップ

・グリップ側:デフの効果により、グリップしているのに駆動力が伝わらず車を進められない

というように、デフの欠点として、スリップする(抵抗の小さい)側に駆動力が集中してしまうのである。よって、片輪がスリップしてしまうと脱出できなくなってしまう。

このとき駆動力は

スリップ側 100:0 グリップ側

となっていて、せっかく片側はグリップしているのに、そちらのタイヤに伝わる駆動力はゼロなのだ!

 

そのようなデフの動作に制限をかけるのが、LSDである。

 

詳しいメカニズムはおいといて、LSDがあるとデフが作動するのを制限し、グリップしている側へも駆動力を配分できるのである。

よって、上記の片輪スタックの状態でも、グリップ側に駆動力が伝わって脱出できるというわけ。

LSDがあると駆動力は

スリップ側 70:30 グリップ側

というように、グリップ側にも駆動力を配分できる。どれくらいグリップ側に配分するかは、LSDの効きの強さに寄るが、この場合LSD付きならグリップ側にも30の駆動力が配分されているので、脱出できるだろう。

 

ちなみに、LSDはサーキット走行などの車で良く使われている。

高速でカーブを曲がると、遠心力で内側のタイヤの荷重が減ってアクセルオンでスリップしやすくなる。そうなると、デフの効果で外側のタイヤに駆動力が伝わらず加速が鈍ってしまう。それを抑制するため、LSDでデフの効きを制限して駆動力を外側のタイヤに伝えているのである。

 

 

LSDの効かせ方の種類

次のような方式で別れている。

メモ

1way:アクセルONだけ効く

2way:アクセルONOFF関係なく効く

1.5way:アクセルONは普通に効くが、アクセルOFFは少ししか効かない

ハイエースの純正LSDは1way。

ハイエース用のサードパーティ製は1wayが多いが、1.5wayのものもある。

2wayは本格的なサーキット走行用で、減速側も作動してブレーキングの安定感は出るが、コーナーは曲がりにくくなるので一般向けではない。

 

 

デフロックが最強

おまけでデフロックの話も。

一部の本格的な4WDに搭載されているデフロック。文字通りデフをロックして左右のタイヤを直結状態にできる。駆動力は常に左右50:50で配分できるようになる。

コーナーはめちゃくちゃ曲がりにくくなるが、その代わり素晴らしい走破性を手に入れることができる。片輪が滑っても、全く関係なく反対も駆動するのだから(ミニ四駆と同じ)。

クロカン4WDでは、ここ一番の悪路をでは重要な装備。

 

 

 

見せてもらおうか、ハイエースのLSDの性能とやらを

ハイエースのLSDの作動方式

さてさて、先にLSDなしの4WDの作動方式について説明する。次の画像はトヨタのハイエースの4WDの説明画像である。

LSDのオプションをつけなくても、センターデフにはビスカスカップリング式LSDがついていると説明した。

もし4WDでもセンターデフにLSDがなければ、1輪がスリップしただけでほかの全てのタイヤの駆動力が伝わらなくなる(センターデフが作動して後輪に駆動力が伝わらない)。

しかし、ハイエースの場合はセンターのLSDの効果で、フロントがぬかるみで空転しても後輪に駆動力を伝えることができ、ぬかるみから脱出できるのである(センターLSDがデフの効きを制限している)。これは後輪が滑っても同じように作用する。

 

では、前輪、後輪の各1輪がスリップしたときは?(上の画像でリアの右もぬかるみとする)

この場合はフロントのデフとリアのデフが作動するので、抜け出せない!

 

このときに有効になるのがLSD。

ハイエースの純正LSDはリアに装着されるのだが、前輪、後輪の各1輪がスリップ(上の画像でリアの右もぬかるみ)しても、リアのLSDが効いて左の後輪に駆動力が伝わって脱出できるのである(左の前輪はフロントのデフにより駆動力はゼロ)。

 

 

では、ここからハイエース4WDのLSDオプションなしとあり両方所有した48Rのインプレを書いていく。

雪道走行に関してはLSDの必要性は低い(4WDに限る)

まず、雪道走行に関しては4WDならLSDなしでもハイエースは相当強い。

1型LSDなしのハイエースのときは毎週雪山に通っていたが、登れない坂はなかったし、スタックして困ったこともない。

車中泊して周りを雪で囲まれた時も、けっこう強引に脱出できたりする。

センターのLSDがけっこう効いているのか、通常の雪道では、基本的にLSDオプションがなくてもスタックすることはない。

まったく除雪が入らない道ならいざ知らず、通常でかける範囲でそんな道にいくことはないだろう。

なお、雪道性能はタイヤ性能によるところも大きい。48Rはグリップ重視でバン用ではなく乗用車用スタッドレスタイヤを使用しているが、すこぶる調子良くて10年間で一回もチェーンを巻いたことないし、スタックしたこともない。

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ぬかるみなどの悪路では本領発揮する(はず)

LSDなしの4WDハイエースで一度だけスタックしたことがある。

その時は沼地で「右前輪」と「右後輪」がスタックした(左側は硬い土だが、右側は深い泥になっていた)。

前輪だけのスタックならハイエースの4WDは後ろへ駆動力を配分できるので、後輪で駆動力を得て車体は進むことができる。

しかし、「右前輪」と「右後輪」がスタックしてしまうと、左右輪を繋ぐデフが回転を吸収してしまい、生き残っている左前輪と左後輪には駆動力が全く伝わらない!

このときの状況なら、もしLSDオプションがついていれば「左後輪」には駆動力が伝わるので(ハイエースのLSDの説明を思い出してほしい)、抜け出せたかもしれない。

この時は最終的にはJAFを呼んで助けてもらった。ちなみにJAF会員ならスタック救助は無料。入ってて良かった(ホッ)

このときLSDがついていれば。。。

ちなみに、ウインチ牽引をするとき、バンパーの奥のフレームにウィンチをかけるので、バンパーが痛む。48Rの心も痛んだのは言うまでもない。

 

LSDは横風に強い

LSDのインプレで横風に強くなると書いてあったりするが、横風に煽られるくらいでLSD効くの?ほんまかいな?と思っていたが、ほんまでした。

同じ車でLSDなしとありを乗り換えたので良くわかる。LSDで直進性が増したのか、横風に煽られたときに車体が流される量があきらかに減った。

ただし、もともと横風に弱い車なので、乗用車並みの直進安定性とまではいかない。過信は禁物。横風がきついときは素直に速度を落とそう。

 

 

LSDによる運転のしにくさはない

ハイエースの純正LSDは効きが弱めなので、LSD特有の低速時のバキバキ音(チャタリング)などは発生しない。

カーブを曲がってアクセルを開けたとき、ハンドルが勝手にまっすぐに戻ろうとするが、その力がやや強くなった気がする程度(直進性が増したから)。

総じて、LSDで運転に関してデメリットはない。

 

 

迷うくらいならつけたほうが良いくらいのオプション価格

1型ハイエースでLSDなしで雪山で問題ないことは経験済みだが、泥地にはまることもあるので(泥地なんてめったに行かないのだが)、4型ハイエース購入時はおまもり感覚でLSDオプションを注文した。

30000円(税別)なので、迷うくらいなら取り付けたほうが良い金額だ。

実際に乗り換えてLSDのおかげさまで脱出できた!というような恩恵はまだ受けてないが、特にデメリットもないので、30000円程度でいざという時に脱出できる可能性を上げられるなら十分価値あり。横風にも強くなるのだから。

ちなみに、新車時では30000円(税別)で取り付けられる純正LSDだが、後から単品で注文すると160000円(税別)なり。さらに工賃もかかるので20万円コース。ひぇ〜。

後からつけるならサードパーティ製がもう少し安いが、それでも工賃と合わせると十数万円コースだろう。

あとからつけたくなった場合、かなりの痛い出費だ。

 

【重要】TOYOTAセーフティセンスPとLSDは同時装着できない

5型(4.5型)になってからの問題点!

4型以前なら、迷うくらいならつけろ!で決まりだったのだが、5型から採用されたTOYOTAセーフティセンスP(以下、TSSP)とは同時装着できない。

電子的に横滑りを抑制するVSC&TRCと、機械式で滑りを制御するLSDの相性が悪いのだ。

TSSPのVRC&TRCだけをキャンセルしてLSDを装着という選択ができないので、LSDを装着するとTSSP全てを諦めなけらばならない。

自動ブレーキやはみ出し警告、オートマチックハイビームもつけられない。。。

 

 

結論

5型を新車で買うなら「TOYOTAセーフティセンス優先してLSDを装着しない」でファイナルアンサー。

4型以前なら3万円程度のオプションだし、後から取り付けると20万円弱かかるので、迷うくらいなら取り付けろ、と言っていた。

しかし、LSDなしでも雪道でほとんど困らないが、TOYOTAセーフティセンスは安全性、特に場合によっては命に係わるかもしれないので、間違いなくこちらを優先する。

しかも、最近の保険は安全装備がついていると割引が適用されるケースが多い。だいたい9%ほど安くなるので、年間保険料5万円なら4500円も節約できるので、性能以外にも美味しいのがTSSP。

 

また、中古で4型以前の4WDハイエースを買うなら、LSDはなくてもスキー場程度の往復なら困らない、ついていたらラッキーが結論。

LSDなしの4WDハイエースで毎週スキー場へ通った48Rが言うのだから間違いない。都会のシャバ雪から、アクセスが急こう配で厳しいことで有名なスキー場、果ては北海道の最北のスキー場や超寒い大雪山まで、通いに通ったのだから。

 

LSDに関して48Rが思うところはこんな感じ。独断と偏見で書かせていただきました。

参考になると幸いです。おしまい。

 

 

他にも「ハイエース」タグで色々と記事書いてます。よろしければ、そちらもどうぞ。

 

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