先日、JB23ジムニーにルーフボックスを取り付けたのだが、ボックス20kgにさらにスノーボード4台で24kg、合計44kgも乗るとさすがにロールが増えて乗り心地の悪化を感じたので、今回は足回りの改善を行う。
マイジムニーは7年落ち、そろそろスタビライザーのマウントブッシュもヘタっている頃なので、今回はロールの抑制もかねて強化ブッシュを導入した。
結果、ロールによるフラツキを低減でき、さらにハンドルのレスポンスも向上。
高速のレーンチェンジなんかもスイっと車線を変えて、ピタッっとロールが止まる心地よいハンドリングになって大満足です。
スタビライザーについて
スタビライザーの仕組み
スタビライザーは一般的にはロールを抑えるものという認識である。
正確に言うと、左右のサスペンションを繋ぐ1本のバネの特性を持った金属棒で、左右のサスペンションの伸びに差が生じたら、その差を小さくしようと働くものである。
つまり、コーナリングでは遠心力により車の外側のサスペンションが縮み、内側が伸びてしまうが(左右のサスストロークに差が生じる)、スタビライザーにより内側のサスペンションも縮めて車体のロールを抑えるのである。
スタビの硬さはスタビライザーのトーションのバネレートで決まり、硬いスタビほど左右のストローク差を小さくできる。
極端にいうと、上の図のスタビライザー(赤い部品)の剛性がめちゃくちゃ高かったら、左右のサスペンションは剛体リンクで繋がれ、同じ動きしかできなるのである。
スタビライザーのメリット
スタビライザーのメリットといえばもちろんロールを抑えることである。
特に背の高い四駆、SUVやミニバンでは効果が大きく、ロールが減ることで乗り心地が良くなったりレーンチェンジでのふらつきが減って運転が楽になったりする。
また、左右のサスペンションが同時に動くときにはスタビライザーは一切影響を及ぼさない(スタビライザーが捻じれない)ので、サスを硬くすることなくロールを抑えられる。つまりサスペンションを硬くしロールを抑えるより柔らかいサスペンションを使えるので、乗り心地も両立できるのである。
モータースポーツではオーバーステアやアンダーステア調整のセッティングでも、バネ特性違いのスタビライザーで調整したりする。
スタビライザーのデメリット
メリットもあるが、見過ごせないデメリットもあるのがスタビライザー 。
主なデメリットは以下の二つである。
①左右のタイヤが別々に段差を乗り越える時は揺れが大きくなる
②クロカン走行でサスペンションが伸びなくなる
①については、例えば右のタイヤだけ段差に乗り上げたとき、本来なら右だけサスペンションが縮んでショックを吸収すれば車体は平行を保つことができて良いのだが、スタビライザーによって左のサスも縮もうとするので、車体が左に傾いてしまう。
ロールは抑えられるし、左右同時に段差に乗る時はスタビライザーは影響を及ぼさないのだが、片輪だけ段差に乗る場合はスタビライザーで車体の傾きが大きくなってしまうのである。
②については、ジムニーにとっては小さくないデメリットである。
クロカン走行において大きな段差でサスペンションを伸ばして路面に追従したいのに、片側が縮んでいると反対側がスタビライザーによって伸びれないのである。ジムニー系のマニアックブログを読むと、ロールが増えるのが承知でスタビライザーを外している人も少なくない。
ちなみに、ノーマルジムニーの場合、リアはスタビライザーがついていないのでサスペンションがよく伸びて路面に追従性が良い。
こんな感じで足が良く伸びる。
とはいえ、48Rがよく行くようなフラットダートの林道程度ではスタビライザーがあったところでほとんど悪影響を感じたことはない。
スタビライザーレスが活きてくるのは、クロカン走行や車が通れるかどうかの廃道探検くらいだろう。
大体の林道は、軽トラックでも走れるのだから。
デメリットを小さくするスタビライザー
メリットデメリットがあるスタビライザーだが、そのデメリットを限りなく小さくしようとトライしたスタビライザーもある。
APIOさんから発売されいるスタビライザー悟空は、ロックピンでスタビライザーをオンオフできる面白い製品である。
これなら街乗りはスタビライザーオン、クロカンはスタビライザーオフと使い分けることができる。
ただし、ロックピンの抜き差しが必要なのでちょっと面倒ではある。
ちなみに、天下のトヨタのランクル様は、前後のスタビライザーを油圧システムで結び、走行状況に応じてその効力を自動的にコントロールしてくれるデバイスが装着されている。
ジムニーには望むべくもないハイテクデバイスである。
う、羨ましくないもん(涙)
スタビライザー 強化マウントブッシュ
さて、今回ジムニーのロールを安定化させるために購入したのは、スタビライザー強化マウントブッシュというパーツ。
スタビライザー自体を強いものに変更するのには費用が掛かるので、スタビライザーの支持ポイントのブッシュを強化する。
スタビライザーを固定するためのゴムを、ノーマル以上に硬いものに変更し支点を強化することで、スタビライザー機能の効率をアップさせることができるのだ。
スタビライザー強化マウントブッシュ取り付け方法
必要工具
- ラチェット & エクステンションバー
- 12mmソケット
- トルクレンチ(20N·m)
手順①フロントバンパーの取り外し
年式によってはバンパーを外す必要はないが、自分の9型クロスアドベンチャーはバンパーでスタビライザーマウントブッシュ固定ボルトが外せなかった。
フロントバンパーの取り外し方はこちらの記事で解説している。
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JB23ジムニー フロントバンパーの外し方 ~社外バンパー、スタビライザーブッシュ交換準備~
バンパー交換、スタビライザー交換、ボディリフトなどで外す機会も多いフロントバンパーの外し方を解説する。 しっかり予習しないと壊しやすいクリップもあるので、事前の予習が大事です(48Rは予習なし行き当た ...
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手順②スタビライザーのフロントマウント取り外し
スタビライザーのフロントのマウントを外せばブッシュ交換可能だ。下の画像の黄色〇のボルトを外す。
スタビライザーが落下しないようにひっかけているステーのボルトも外す。
ステーを外すとスタビライザーが落ちてくるので、スタビライザー本体を手で押さえながら外すこと。
取り外し完了。
手順③スタビライザーマウントブッシュの交換
マウントブッシュは「ひ」の字型のステーにはまっているだけとはいえ、けっこう硬くて外すのに力を要するが、素手で外せないこともない。
こんな感じで外れる。
強化ブッシュ(左)と純正ブッシュ(右)
赤いほうがあきらかに硬い!
スタビライザーにセット。
グリスは塗布しないこと!グリスなしで本来の性能が出るようにブッシュの硬さが設定されているためだ。
「ひ」の字型のステーをはめる。
手順④スタビライザーの取り付け
最後に取り付け。
締め付けトルクはサービスマニュアルによると20Nm(2.0kgfm)だ。
あとは逆の手順でフロントバンパーを戻して完成だ。
お疲れ様でした。
スタビ強化マウントブッシュ インプレとまとめ
2千円程度の強化ブッシュでほんと効果あるの?と半信半疑だったのだが、最初の交差点から違いが分かるくらいハンドリングが変化!
ロールが減って車体が平行に近い状態で踏ん張ってくれてコーナーでの安定感が向上。また、ロールが減ったばかりかハンドルのレスポンスまで向上して、ハンドル切った瞬間から車のノーズが向きを変えてくれるのが気持ちよい。
車体がふられやすいレーンチェンジの車体の振れ戻りも必要以上に車体がロールしないので、スッと向きを変えてピタッと直進に戻るので運転の疲労度も下がってドライブが快適だ。
ブッシュの耐久性は未知数だが、ハンドリングに関しては悪い点は一切ないので、純正ブッシュがヘタったらぜひとも強化ブッシュへの交換をお勧めします。
安いの部品なのに、効果の大きさに驚くよ。
他にも「JB23ジムニーカテゴリ(☜クリック)」で色々ジムニー 記事書いてます。よろしければ、そちらの記事もどうぞ。