48Rはあの不朽の名作DEEPERの影響で2011年からスプリットなんだけど
2011年は白馬では、一部のマニアか
48RのようなJJかぶれのミーハーちゃんしか使ってなかったように記憶する。
(ちなみに、2011年〜の盛り上がりを第二次スプリットボードブームと言うらしい)
が、今や立山などのフルハイクエリアに上がると、約半数近くがスプリット。
そこらへんのBCエリアでも確実にその数を伸ばしている。
スプリットボードに興味を持たれる方も非常に多く、48Rも2011年からスプリットボードの記事をブログにアップしているので、ちょくちょくブログ見てもらったり、質問を頂いたりしているんだけど、その他のスプリットの入門サイトってあんまりなく、当ブログが検索上位らしい。
まあ、思いついたこと、感じたことをちょろちょろ書いてるんだけど、参考にするにはあまり纏まってないし、もちろん体系的な書き方ではない。
というわけで、プロショップに相談がベストなのは間違いないんだけど、ある程度ネットでも情報収集できるように簡単にスプリットボードのまとめを書いてみた。
スプリットボードって本当に必要?
いきなりこんな見出しだけど、スプリットボードはメリットもあればデメリットもたくさんある。
デメリットを理解して購入しないと、きっと後悔するよ。
これ、念頭に置いといて。
スプリットボードのメリットは?
・ハイクが楽ちん。
この恩恵を受けるため、あらゆるデメリットを受け入れてると言っても過言ではない。
自らの足で登るバックカントリー、多少の不便があろうが、この恩恵はあまりも大きいのだ。
体力を温存することによって生まれる滑りへの余裕、また体力の消費をセーブすることで可能になった遠方へのアプローチ。
特にラッセルや緩斜面の登りが得意。
ラッセルではスノーシューが膝まで沈むようなところでも足首上程度。
トレースがあれば、すり足歩行。すり足って、シューと違い、足を持ち上げないのでかなり体力セーブできるよ。
また、背中からボードの重みが解放されると、ハイキング気分で景色楽しむ余裕が生まれる。
これって何気に凄いメリットで、スノーシューで板担いでラッセルに耐えてると、下ばっか向いてるけど、中の重さから解放されて顔を上げて景色を楽しむ余裕が生まれると、驚くほどハイクが楽しくなる。
静かな森でのシール登行、とんでもなく癒し系でございますですよ。
すり足歩行で楽だし、担ぐ重量も減るので、春のロングにもこれまた良し。
間違いなく、山をもっと楽しめる。
気になるスプリットの乗り味だけど、同じボードをソリッドとセルフカットスプリットで乗った印象ではパウダーや、ザラメなど、山で滑る雪ではほとんど違いがない。
さすがに、ピステンバーンでカービングなどは、レスポンスや、ターン後半の板の反発がちょっと落ちてるけど実際の山ではほとんど問題にならないぐらい。
JJ先生やザビエル師匠も、スプリットでとんでもない滑りしてるしね。
スプリットボードのデメリットは?
けっこうあるよ。
・ハイクに馴れが必要
スノーシューは特に練習を必要としないがシール歩行にはある程度の慣れが必要。
特にスリップ寸前の限界斜度での登りやキックターンはシール歩行初心者には難しい。練習必要。
あと、凍った斜面も苦手。こういうところはクランポンも必要になってくる。
急斜面、凍った斜面はスノーシューのほうが楽な場合もあったり、いつでもスプリットボードのほうが楽というわけではない。
実はワタクシメ、スキーからスプリットボードに転向な変わり者なのでシール歩行に苦労はないけど、いきなりスプリットボードでシールを使う人は、最初はシールでうまく登れず苦労が多いみたい。
よくスキーほど登れないと聞くけど、登りにくだけで登れます。馴れの問題。(道具の特性を理解したうえでね)
がんばがんば。
・道具が複雑
スプリットボードは部品数が圧倒的に増えるので、その分ソリッドボードよりトラブルに見舞われる可能性が高い。
良く聞く話では、
・ねじの緩み、脱落
・スプリットバインディングを固定するピンが曲がる、折れる。
・雪が付着して、ハイクモードからライドモードに変えにくい。
・シールに雪が付着して貼れない。
・ヒールライザーが折れる、曲がる。
ま、ここらへんは点検、慣れでどうにでもなる範囲。がんばがんば。
また、おおざっぱなアメリカ人が作る製品。
各部、精度の詰めが甘く、気持ち良く使うにはガタの調整、干渉部の削りなどセッティングが必要。
自分でできない場合はプロショップにセッティングしてもらうのが吉。長野県上田のサンヒルみたいに、スプリットボードに強いショップがオススメです。
・モードの切り替えに時間がかかる
スノーシューやスキーヤーと比較すると、ちょっと面倒。
さらにバインやインターフェースに雪が詰まったりすると、余計合体に手間取る。
こういう時の為にブラシみたいな小物重要。ゼヒ買いましょう。
基本、同じ速さで作業するとスプリットボードがスキーヤーやスノーシューに比べて一番時間かかるので、48Rは混成パーティだとなるべく早く作業を開始するようにしてる。
馴れ、工夫次第でなんとでも。がんばがんば。
・道具が重い
アルパインエリアまで足を延ばすと、最後までシールで行けることは稀でたいていは最後はスプリットを担ぐことになる。
重いスプリットボード、担ぎが長いとちょっと鬱。
担ぎが長いと分かってるルートでは48Rもソリッドボードだったりするよ。ようは使い分け。万能な道具なんて、ないからねー。
・高価
全部一気に揃えると目ん玉飛び出す金額。
仮にBC入門者が揃えると仮定して、スノーシューとスプリットを比較してみる。
(金額は目安です)
スノーシュー
板は今の板で問題ないので、必要なものは
スノーシュー 3万円
ストック 1万円
合計4万円くらい。
スプリットボード
板は新規に買わねばならない。
板 8万円
シール 2万円
ビンディング 5万円
インターフェース 1.5万円
ストック 1万円
クランポン 1.5万円
合計19万円!!!
つまり、逆説的に唱えると、あなたがハイクで全く困ってなければ慣れが必要で、壊れやすくて、重くて、その上とても高いスプリットボードの必要性は非常に薄いのだ。
ここらへん、自分の山行で本当に必要か考えて購入を決めてもらいたい。
48Rの場合も、全ての山行でスプリットというわけではなく、近場だったらスノーシュー使ったり、春のアルパインは担ぎが長くなるので、ルートによってはソリッドボード+アイゼンのみだったり、ルートによって臨機応変に使い分けている。
(全てスプリットボードでこなしたいマニア層もいるけど)
全てのフィールドでスプリットボードにメリットあるわけじゃないよ。
スプリットボードの楽しみ方って?
スプリットボードって滑りの道具というより、登りも含めて山を楽しむ、山道具としての性格が強い。
また、道具としても魅力的で、バインディング、ツーリングインターフェース、シールなどいじる場所が多く、違いも感じ易いところも、道具好きの心をくすぐるところ。
先に述べたハイクの楽しさに加え、道具を使いこなしてやった感も、思い出にアクセント。
まして、スプリットの機動力じゃないと、到達できないような山深い山域だと、感動もひとしお。
メリット、デメリット云々より、単純に山をもっともっと楽しむと考えると、とってもステキな道具と思ってます!
動画はツアー系のクラシックルート、横前倉山。
こういう、緩斜面の登りが多いところはスプリットボードのメリットが活かせるし、こういうルートを楽しめるようになるのもスプリットボードの魅力だ。
スノーシューじゃ日が暮れてちゃうって人も、スプリットだと行動範囲広がるよ。
滑りばっかりじゃなく、遠足気分で遠くに足を延ばすのも、スプリットボードの楽しみのひとつ。
そのうち、スプリットボード道具についても記事書く。かも。
反響があったので、他にもスプリットボード入門記事書きました。