随分前の話なのだが、うちのJB23ジムニーが夏真っ盛りの8月にエアコンが壊れるという事態が発生。
いくら乗る機会が少ないJB23とはいえ、エアコンがないと夏場は茹でタコになるわ雨の日は結露で窓ガラスが曇って危ないわ、とてもじゃないけど乗ってられない!
調べるとJB23ジムニーを含め、スズキの軽自動車はエアコンが壊れやすいらしいので(スズキクオリティ)、今後エアコンがぶっ壊れて修理する人のために、費用について共有します。
カーエアコンの仕組み
エアコン修理の前に、簡単にエアコンの仕組みの解説。
上図は車からカーエアコンシステムを抜き出した図。
なぜエアコンから冷たい風がでるのか。
それは仕組み的には注射の前に消毒アルコールを肌に塗るとヒヤっと感じるのと同じ原理で、液体が気化するときに熱を奪う「潜熱」という現象で冷たい空気を作り出している。
その潜熱をエアコンの中でどう利用しているのか、順を追って解説する。
エアコンの仕組み
- コンプレッサーによって圧縮された冷媒(エアコンガス)は高温高圧の半液体の状態でコンデンサーに入る
- 冷媒はコンデンサーで走行風またはコンデンサーファンの風によって冷却される
- ストレーナによって水分や不純物が取り除かれる
- 液冷媒はエキスパンションバルブ(膨張弁)のノズル穴からエバポレーター内へ噴射され一気に気化する
- 気化した冷媒はエバポレータ周りの熱を奪っていき(潜熱)、それによってエバポレータが冷やされそこにブロワファンの風を通過させて冷風を起こす(エアコンから冷たい風がでる)
- 車内の空気中の水分は冷たくなっているエバポレーター表面でで凝縮され水滴となり、車外へ放出。これにより空気が除湿される
- エバポレーターを出た冷媒はまたコンプレッサーに戻り再び圧縮される(1 に戻る)
このように、エアコンは冷媒を循環させて熱を運ぶシステムを構成している。
単純に熱の移動でエアコンシステムをみるとこんな感じ。
熱は熱い方から冷たい方に移動するので、車内側では潜熱で温度を下げた冷媒に熱を乗せ、車外側ではコンプレッサーで圧縮で温度上昇された冷媒が熱を車外に放出する。
つまり、熱を車内から車外へ放出する循環システム、とも言える。
さらにエバポレーターの温度によって、エキスパンションバルブの噴射量を調整して潜熱をコントロールしたり、電気的にコンプレッサーの作動をON/OFFしたり等、適正な冷房能力を維持する為さまざまな制御がなされている。
ちなみに、電気的にコンプレッサーをON/OFFする部品が上図のマグネットクラッチで、エンジンからプーリーを介してコンプレッサーに接続されたマグネットクラッチは常に回転しているが、クラッチのON/OFF制御でコンプレッサーの作動を制御している。
カーエアコンの壊れるポイント
エアコンは前述のようにたくさんの部品で構成されているので、エアコン故障と一言で言っても、どこで壊れているのか様々なパターンが考えられる。
ざっと壊れる代表的なポイントを書き出すと
エアコンの故障原因
- エアコンガス圧力低下(極少量ずつガスは抜けていく)
- コンプレッサー不具合
- エアコンガス漏れ(配管不具合)
- マグネットクラッチ不良
- エキスパンジョンバルブの詰まり
- コンデンサ冷却不良
- 電気系統の不良(ヒューズ、リレー不良、断線など)
...などなど。他にも色々壊れるポイントは色々あるので、カーエアコンの修理はどこが壊れているのか見つけるのが厄介なパターンも多いのだ。
ちなみに、1.のエアコンガスの圧力低下だけならDIYで修理が可能だ。
エアコンガスはごく少量ずつ抜けていくので、数年乗っているとエアコンガスの圧力が規定圧力を下回ってエアコンが効かなくなってくる。大きな故障なく、単に圧力低下だけなら簡単にガスチャージしてエアコンを復活させることができる。
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48RのJB23エアコンの壊れた箇所
48Rの場合は幸運?なことに、故障がすぐに判別できるコンプレッサーの焼き付きだった。
エアコンのコンプレッサーは下画像の黄〇部分(車の前からエンジンルームを除いて、エンジンの左側)なのだが、A/Cをオンにするとマグネットクラッチが繋がってコンプレッサーに動力が伝わるが、その瞬間にコンプレッサーは焼き付いているので盛大にコンプレッサーから「ガラガラガラ」と異音が発生!
あ、こりゃコンプレッサー終わった。。。と
ネットで調べると、コンプレッサーの耐用年数って7~10年ほど。うちにJB23も新車から10年落ちなので、そろそろ寿命だったかも。
エアコン故障が多いSUZUKI車のなかではマシな方なのか気になるので、何年目でエアコン壊れたとか、情報あったらコメントいただけると嬉しいです。
ちなみになぜSUZUKIのエアコンが壊れやすいかというと、SUZUKIはとにかく安く車を作ろうとするので、部品単位でコストカット(下請けにまでコストダウン迫ったり、部品入札も性能は最低限確保していればよく、あとは価格で選択)が凄まじいからと推測しております。他の部品にも言えることだが、プラスアルファを求めるより、その分をコストカットに回すのがスズキです。
(まあ、厳しい価格設定のなかで性能をまとめ上げるスズキの設計者の努力は凄いんだけどね)
普段はDIYでの修理にトライしがちな48Rだが、エアコン修理に関しては配管内の真空引きなど専門的な作業が必要なため、速攻で村の修理工場に飛び込んだ。
リビルトコンプレッサーで修理
コンプレッサー修理の場合、新品コンプレッサーはとても高価なため、リビルトコンプレッサーに交換修理する場合も多い。
リビルトコンプレッサーとは
リビルトコンプレッサーとは、使用済みのコンプレッサーを分解/洗浄し、故障箇所の修理や消耗部品を交換し、新品同等の機能に復活させたコンプレッサーである。中古品ベース作成されるため安価で、新品コンプレッサーの半額以下で購入可能だ(業者によっては新たなリビルトコンプレッサー作成のため、現状のコンプレッサーの返却が必要な場合もあるが、どうせ壊れたコンプレッサーなので無問題)。
また、中古コンプレッサーと違い、リビルト品は消耗部品は新品交換されているので、機能や信頼性は新品に近いし、保証がついているものもある。
48Rも当然リビルト品を選択。
コンプレッサー故障時の注意点
コンプレッサーから異音が発生した場合、すぐにエアコンの使用を取りやめることが大事!
なぜなら、壊れたコンプレッサーの部品の破片や摩耗粉塵がエアコンシステム下流側にどんどん流れて、例えコンプレッサーを交換しても、エアコン内に残った部品の破片や摩耗粉塵でまたすぐにエアコンが壊れる場合もあるからだ。
48Rも異音に気がついてエアコンの使用はすぐにやめたものの、普段から音楽を聴きながら運転していて異音初期から気がついていない可能性もあるため、整備工場の方と相談して、今回はパリッと直すべくコンプレッサー交換以外にもコンデンサーや配管も徹底的に洗浄してもらうことにした(あと10年乗りたいからね)。
リビルトコンプレッサー エアコン修理費用内訳
さて、やっと費用について(いつものように、だいぶ長い前置き)
内訳は次の通り。
- リビルトコンプレッサー 32,000円
- コンプレッサー交換工賃 10,000円
- 配管洗浄工賃 5,000円
- 真空引き 5,000円
- ベルト 1,760円
- エアコンガス 2,000円
合計55,760円(税込61,336円)
まあ、予想範囲内だけど、手痛い出費でした(涙)
JB23ジムニーエアコン修理まとめ
エアコン修理は故障箇所にもよるが、リビルトコンプレッサー交換と配管洗浄で6万円ほどでした。
もちろん修理後は異音はなくなって、以前よりエアコンの冷風も冷たくなりすこぶる調子が良い!
まあ、お金がないときに手痛い出費ではあったけど、SUZUKIのエアコンはいずれ壊れるし、新車から10年の節目でエアコンもパリッと新しくなって効きも良くなったので、エアコンのレストア完了とプラス思考で乗り切りたいと思います。
エアコンが壊れやすいSUZUKIユーザーの参考になれば幸いです。
他にも「JB23ジムニーカテゴリ(☜クリック)」で色々ジムニー 記事書いてます。よろしければ、そちらの記事もどうぞ。