中古で購入したジムニーのプラグ交換をした。
JB23ジムニーのプラグ交換はインタークーラー関係の取り外しがやや面倒なものの、難しい作業はないので、クルマいじりビギナーからトライできるDIYメンテナンスです。
プラグは消耗品で、交換を怠るとアイドリング回転がバラついたり、キレイに吹けなくなるので、不調になる前に定期的に交換しましょう。
プラグはエンジンの調子が悪くなる前の予防交換が基本です。
JB23ジムニーのプラグ交換
JB23ジムニーに適応するNGKプラグ
定番といえばNGKプラグ。世界トップシェアであり、F1やMotoGPといった世界トップカテゴリーにも参戦しているので、性能は折り紙つき。
JB23ジムニーの純正プラグはなんとNGKのイリジウムプラグ(LKR7BI8)が入っていて驚いた!てっきりNGKの黄箱かと思ってたのだが、ジムニーは車体が重く結構エンジンを回すので、ちょっと良いヤツが奢られているのだろうか?(調べてみると、最近の車はみんなイリジウムなのね。ディーゼル車ばかり乗ってたから知りませんでした)
とはいえ、純正プラグは片側のみイリジウムのタイプなので、推奨交換サイクルは10,000kmとそれほど長くない。
NGKでいえば、両側に貴金属を用いた「イリジウムMAXプラグ」、イリジウムを上回る耐久性のルテニウム合金電極の「プラミアムRXプラグ」がある。
これらの高性能プラグの推奨交換サイクルは次の通りで、純正プラグよりかなり長い!
プラグの推奨交換サイクル
・ジムニー純正イリジウムプラグ(LKR7BI8) :〜10,000km
・イリジウムMAXプラグ(LKR7BIX-P):〜50,000km(軽自動車は〜25,000km)
・プレミアムRXプラグ(LKR7ARX-P):〜60,000km(軽自動車は〜30,000km)
(交換サイクルはNGKサイトより引用。JB23ジムニーを含め、軽自動車は上記の半分。プラグを買わせたいのではなく、軽自動車は普通自動車より高回転を使うので、その分普通車と同じ走行距離でもプラグの点火回数は多いのだ)
特にプレミアムRXは走行性能もアップするので、非常にオススメだ→NGKプレミアムRXサイト
実勢価格もプレミアムRXとイリジウムMAXでほとんど差がないので、性能と寿命で劣るイリジウムMAXをあえて選ぶ理由はないだろう。
チューニングエンジンにはHKSの熱価アッププラグ
こちらは熱価アップ(NGK8番相当)のHKSイリジウムプラグ。
NGKのプレミアムRXで8番相当があれば一択なのだが、NGKはプラミアムRXもイリジウムMAXも7番しかラインナップがないため、熱価アッププラグを導入するにはHKS一択となる。
ちなみに、メーカー間によって熱価表示が異なるので非常に不便を感じている。換算表は必須。
HKS 熱価 | 25 | 30 | 35 | 40 | 45 | 50 | 52.5 | 55 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
DENSO社 熱価 | 16 | 20 | 22 | 24 | 27 | 31 | 32 | 34 |
NGK社 熱価 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 10.5 | 11 |
プラグの熱価とは
さて、チューニングエンジンには熱価アッププラグがなぜ必要かご存知だろうか?
一番の目的は、プラグの電極温度を適正に保つためだ(500~900℃が適正)。
プラグ熱価とは、プラグの冷えやすさを示した数字であり、熱価が上がるほどプラグ温度が冷えやすくなる。
つまり、
プラグの熱価 = プラグの放熱量
プラグには付着するカーボンを焼き切る自己清浄機能が備わっており、この機能を適正に維持するため燃焼室の温度の高いエンジン(チューニングエンジン)には冷えやすい高熱価のプラグ、逆に燃焼室の温度が低いエンジンには冷えにくい低熱価のプラグを入れて電極温度を500~900℃に保ってやる必要があるのだ。
もし熱価が高すぎる(放熱量が大きすぎる)場合、プラグの電極温度が低くなり過ぎてカーボンの自己清浄機能が失われてしまい、プラグはカーボンだらけになる。そうなるとカーボンは電気を通すのでプラグのプラスマイナスの電極が導電されてしまい火花が飛ばなくなってしまう(いわゆるプラグがかぶって火花が飛ばない状態)
また逆に熱価が低すぎる(放熱量が低すぎる)場合、プラグの電極温度が950℃を超えてしまい、ここまで高温になってしまうとプラグの電極自身の温度でガソリンに着火してしまうプレイグニッションという状態になる。そうなると異常に点火時期が進角した状態なので出力が損なわれたり、プレイグニッションによる衝撃波でエンジンに多大なる負担がかかってしまう。
ちなみに、プラグが適正温度になっているかどうかは、プラグの焼け色で判断可能である。
エンジンのチューニングに関しては次の方向にチューニングするとプラグ温度が上がる方向になる。
・点火時期の進角
・ブーストアップ
・空燃比を薄くする
どれもパワーを出すためには必須だが、プラグ温度が上がることは覚えておこう。4サイクルエンジンはそれほど熱価に対してシビアではないが、チューンをある程度進めるなら熱価アップは必須だ(ちなみに昔2サイクルのバイクでレースしていたときは、季節でも熱価が変わったりキャブセッティングするたびにプラグの焼けを確認したり、けっこう大変だったのを記事書きながら久しぶりに思いだしました。下手するとプレイグニッションでピストン溶けるからね)
まとめると
プラグの適正熱価について
・プラグの電極温度は適正温度に保つと自己戦場機能でカーボンが付着しない
・適正温度(500-900℃)に保つため、プラグの熱価=プラグの放熱量で調整
・プラグ温度が高すぎると、プレイグニッションのリスク
・プラグ温度が低すぎると、カーボン付着で失火のリスク
・エンジンチューンすると、プラグ温度が上がるので熱価アップの方向
JB23プラグ交換方法
必要工具
・プラグレンチ(16mm)
・エクステンションバー
・ラチェットハンドル
・マイナスドライバー
・10mmソケット
プラグレンチは16mmを持っていなかったので、今回はコーケン製を新調した。
よくあるマグネット式では鉄粉とか金属カスが付着してしまうので、今回はクリップ式固定式を選んでみた。さすがコーケンのトップモデルのZEALシリーズ、無駄な贅肉を削ぎ落としたデザインで機能美を感じるフォルムである。
手順①インタークーラーの取り外し
まずはインタークーラーを取り外すため、インテークパイプやインタークーラーに接続されているステーのネジを外す。
4箇所の固定を外して、インタークーラー本体を手前に引けば外れる。
先日のインテークチャンバー取り付けのとき、インタークーラーの中がオイルまみれだったのだが、それから走行400kmでまたオイルベッタリ。
とはいえ、これには既に対策を打っていて、プラグ交換と同時にオイルキャッチタンクも取り付ける(ちらっと画像にもキャッチタンク写っている)キャッチタンクはまた別の記事にする予定なのだが、作業としてはプラグ交換もオイルキャッチタンクもインタークーラー取り外し作業があるので、まとめてやったほうが楽なのだ。
オイルキャッチタンクの取り付け記事はコチラ。
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余談だが、外したネジや工具置きにマグネットトレイがあると重宝する。
プラグ交換など、取り外すボルトが多いときは便利。
手順②イグニッションの取り外し
まずはイグニッションのカバーを取り外す。8mmのボルト4本で固定されている。
お次はイグニッションの固定ボルト(10mm)と配線カプラーの取り外し。
向かって奥側のイグニッションは、インタークーラーの取り付けステーが干渉して外れない。ボルト2箇所の取り外しと、ボルト1箇所を緩めて取り外した。
赤丸のボルトは緩めるだけでOK。しかし、インタークラーステーとバルクヘッド(フロントボディと車室を隔てる隔壁)の間なので、作業性が悪い!
こんな作業させるより、インタークーラーステーにイグニッション外せる「逃げ」を設計しといてよ鈴木さん!
手順③プラグ交換
プラグ交換のため、イグニッションを取り外す。ゴミが入るのを防ぐため、イグニッションは全部外すのではなく、交換するプラグのみ外そう。
プラグを外したとき、燃焼室にゴミが落ちるのを防ぐため、エアを吹いてホコリを飛ばす。ほんとうはエアガン使いたいところだが、コンプレッサーを持ってないので、スプレーのブロワーを使用した。
プラグレンチでプラグの取り外し。
交換する新品プラグとの比較。プラグの焼け色は綺麗で問題なさそうだ。
いよいよ新品プラグの取り付け。プラグレンチに新品のHKSプラグをセットする。
プラグは締め付けトルクが重要!必ず説明書に従うこと!!
締め付けトルクはHKSの説明書にならって、手でプラグを締めて、座面に接触してから1/2回転締め込んだ(新品プラグでワッシャーが潰れてないとき)。
各種プラブメーカーの締め付けトルクは次のリンクを参考ください。
この作業を他の2気筒でも同様に繰り返す。
最後に取り外しと逆の手順でカバーやインタークーラーを取り付けて完了。
お疲れ様でした。
取り外したプラグからエンジンの状態を推測
ちなみにこちら取り外した3本のプラグ。ちなみに前のオーナーさんが一度20000km時点で交換しているので、純正プラグではなくデンソーのイリジウムプラグが装着されていた。
左から、エンジンルーム手前、真ん中、奥のプラグ。
摩耗はしているが、焼け色は3気筒とも同様に適正なきつね色で、エンジンはとくに問題なさそう。特にジムニーは真ん中のシリンダーが不調になりやすいが、3本とも同じような焼け色なので特に不調はなさそうだ。
インタークーラーにオイルがべっとり付いていたが、プラグの電極を見るにカーボンの付着はそれほどなく、失火のリクスもなさそう。プラグ温度が適正で自己清浄機能でカーボンが焼き切られていると推測する。
マイジムニーのエンジンの状態を知れて、ちょっと安心した(笑)
JB23ジムニープラグ交換まとめ
JB23ジムニーのプラグ交換はインタークーラーの取り外しなどやや面倒なものの、作業として難しくないので、1時間程度の作業で交換可能だ。
中古のジムニーとはいえ、整備記録をみるとちゃんとメンテされてる車で調子も悪かったわけではないので、加速が良くなった!とか体感できるくらいの違いは感じないが、熱価はアップしたので、これからブーストアップする準備は整った!
実はこのプラグ記事を書いてる時点では、定番のバネチューンのブーストアップを施しているのだが、思わずニヤけてしまうほどの加速を手に入れている。
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熱価アップしているので、こうしたブーストアップチューンでも安心して乗ることができている。
JB23のプラグ交換はそれほど難しくないので、定期メンテナンスやブーストアップなどのエンジンチューンのための熱価アップなど、お役に立ちましたら幸いです。
他にも「JB23ジムニーカテゴリ(☜クリック)」で色々ジムニー 記事書いてます。よろしければ、そちらの記事もどうぞ。