ホイール選択をする際、デザインやインセット(はみ出し)については気にするが、リム幅についてはそれほど気にしない人が多いのではないだろうか?
実際にジムニーおよびジムニーシエラ用として販売されているホイールは5.5Jから7.0Jまでの範囲で販売されているが、実はタイヤサイズや求める乗り味でリム幅は考慮したほうが良い部分。
今回の記事はリム幅に特化して解説します。
リム幅について
リム幅とはホイールのこの部分の幅
リム幅は下記のような「ホイールのサイズ表記」で確認することができる。
①リム径・・・ホイールの直径をインチで表記
②リム幅・・・ホイールの幅をインチで表記。0.5(1/2)インチ刻みで設定。
後ろの「J」はフランジ形状を示す記号。
③ボルト穴数・・・取付ボルトの穴数で4穴、5穴、6穴が代表的な数。
④P.C.D(Pitch Circle Diameter)・・・ボルト穴の中心を結んだ円の直径をミリメートルで表記したもの。国産車では100mm、114.3mmが主流。
⑤インセット(※以前はオフセット表記)
②のリム幅はホイール全体の幅ではなく、図の通りタイヤのビードが収まる部分の内幅である。
また、ホイール選びで重要になってくるインセットも簡単に説明しておく。
インセットはリム幅の中心線を基準に、ハブに取り付ける面が外側or内側なのかをミリメートルで表記。
簡単に言えば、車に取り付けたとき、どれくらいホイールが出っ張るor引っ込むか、ということ。
・ゼロセットに比べて奥へ引っ込む・・・インセット(+○○mmで表記)
・ゼロセットに比べて手前へ出っ張る・・・アウトセット(−○○mmで表記)
例えば、インセット+20mmのホイールからインセット+10mmのホイールに交換すると、ホイール(タイヤ)は10mm外側に出ることになる。
タイヤにはリム幅の許容範囲がある
タイヤサイズによって「標準リム幅」と「適用リム幅」が規格によって定められている。
下表はTOYO TIREのOPEN COUNTRY R/Tのサイズ表から抜粋したものである。
タイヤは適用リム幅の適用範囲内なら性能が担保されているが、当然ながら適用を超えての使用は推奨されていない。
ちなみに上表のタイヤの「外径」と「幅」は「標準リム」に組んだ時の値である。標準リムより広いリムに組むと幅は若干大きくなるし、狭いリムに組むとその逆である。
リム幅違いで販売されている
ジムニー向けホイール
ジムニーのホイールサイズは軽自動車の「ジムニー」と普通車の「ジムニーシエラ」で異なっていて、それぞれジムニーとシエラに向けたホイールが様々なパーツメーカーから販売されているが、リム幅やインセットなど、各社で微妙な違いがある。
そこで代表的なジムニーのホイールで、「リム幅」と「インセット」がどのように設定されているか調べてみた。
ジムニーとジムニーシエラのホイールサイズ
まずはノーマルホイールのサイズ確認。
ジムニーとジムニーシエラの標準ホイールのサイズは下表の通り。
径 | インセット | リム幅 | P.C.D | 穴数 | タイヤサイズ | |
JB74ジムニーシエラ | 15inch | +5mm | 5.5J | 139.7 | 5 | 195/80R15 |
JB64ジムニー | 16inch | +22mm | 5.5J | 139.7 | 5 | 175/80R16 |
PCDと穴数がジムニーとシエラで同じなので物理的には両者のホイールはお互いに付け替えることができるが、インセットが大きく異なるので、互換性はない(ジムニーにシエラのホイールを取り付けると、ハミタイになっちゃいます)。
ジムニー向けの代表的なホイールのサイズ設定
ジムニーで人気のあるホイールを中心に、JB64ジムニーとJB74ジムニーシエラ向けのホイールサイズを調べてみたのがコチラの表。
銘柄 | 車種 | 径 | インセット | リム幅 | 最大タイヤ幅 |
純正 | JB74用 | 15inch | +5mm | 5.5J | 215 |
JB64用 | 16inch | +22mm | 5.5J | 215 | |
DELTA FORCE | JB74用 | 16inch | -5mm | 6.0J | 235 |
JB64用 | 16inch | +20mm | 5.5J | 215 | |
A Lap-J | JB74用 | 16inch | +5mm | 6.0J | 235 |
16inch | -20mm ※1 | 5.5J | 215 | ||
16inch | 0mm | 5.5J | 215 | ||
JB64用 | 16inch | +20mm | 5.5J | 215 | |
エンケイRPT1 | JB74用 | 16inch | 0mm | 6.0J | 235 |
16inch | 0mm | 5.5J | 215 | ||
JB64用 | 16inch | +20mm | 5.5J | 215 | |
アピオ WILDBOAR SR | JB74用 | 16inch | -5mm | 6.0J | 235 |
15inch | -5mm | 6.0J | 235 | ||
JB64用 | 16inch | +20mm | 5.5J | 215 | |
Dean CrossCountry | JB74用 | 16inch | -5mm | 6.0J | 235 |
JB64用 | 16inch | +20mm | 5.5J | 215 | |
ワイルドグース | JB74用 | 16inch | -10mm | 5.5J | 215 |
JB64用 | 16inch | +20mm | 5.5J | 215 |
※1 インセット-20mmはJB74でも確実にハミタイするので、社外フェンダーが必要。
ざっと見ると、リム幅についてはJB64向けホイールは5.5J一択なのに対し、JB74は5.5Jと6.0Jの2通りが選べるようになっている。
さて、次の章で、リム幅違いによる性能差について解説する。
リム幅違いのメリットデメリット
広いリム幅のメリット
ハンドリングのレスポンス向上
同じ215/70R16のタイヤでも、広いリム幅に組んだ方がタイヤの横方向の剛性が上がり、ハンドリングレスポンスの向上が見込める。
ちょっと専門的な話をすると、タイヤは空気を充填してケースが張ることによって剛性を発揮しているのだが、リム幅が広い方がタイヤのケースの曲率が大きくなり、タイヤのような空気膜構造においては、曲率が大きいほど剛性が高くなるのだ(同じ200kPaの空気圧でも5.5Jより6.0Jに組んだほうが横剛性が高くなるということ)
一方で、縦方向の剛性については横方向に比べそれほど上がらないので、乗り心地は悪化は感じるか感じないかのレベルである。
単純にオンロードをスポーティに走りたいなら、許容リム幅で広めのホイールを履いたほうが良い。
ちなみに、ジムニーでサーキットを攻めることで有名なレインボーオートの横ヒレさんもサーキットでは6.0Jにしたい内容のツイートをされている。
=シャコタン号のアルミが来た(゜∀。)
あと1週間早かったら十勝は6Jで行けたのにな(笑)チタンナットも装着するかな(゚ω゚)❤️❤️❤️ pic.twitter.com/LfU3x8yCI1
— 横ヒレ@株式会社RainbowAuto (@rainbow_auto) October 20, 2022
ここら辺はワタクシメはお仕事でリム幅違い剛性試験をしているので、普通の人より多少知見を持っていたりします。
また、ポルシェなどもスポーツカーメーカーも昔からタイヤサイズの許容リム幅に対して、広めのホイールを純正設定していたりする。
太いタイヤが履ける
上の表にも最大タイヤ幅を書いているのだが、タイヤサイズによって許容リム幅は規格で決められており
・5.5Jでは最大タイヤ幅は215
・6.0Jでは最大タイヤ幅は235
となっている。
ジムニーでは大きめのタイヤをドレスアップで履く人が多いが、人気の「225/70R16」や「225/75R16」、「235/70R16」のは許容リム幅は6.0J〜 なので、5.5Jでは規格外となる(組めないことはないが、規格外なのでトラブル時は自己責任)。
よって、太いタイヤと組み合わせたいなら、6.0Jのホイールから選ぼう。
広いリム幅のデメリット
悪路での安定性低下
先ほどリム幅が広いとタイヤの横剛性が上がってハンドリングレスポンス向上と書いたが、裏を返せば道路の外乱を拾って車体に伝えやすくなるということ。ギャプや凹凸、轍では逆にハンドル操作が過敏になったりする。
よって、悪路メインで走るなら、多少の外乱を拾っても安定する5.5Jのほうが運転しやすくなる。
縁石でホイールをガリったりしやすい
広いリム幅はタイヤ幅に対してホイールが出っぱる方向になるので、縁石ヒットでホイールにガリ傷をつける確率が上がることになる。
逆に狭いリム幅だとタイヤのサイドウォールがリムガードになるので、ホイールを守ることができる。
ホイールが重たくなる
エンケイのRPT1のサイトを見ると、5.5Jと6.0Jのホイール重量の違いが記載されている。
6.5kg ➗ 5.9kg = 110%なので、約1割の重量増加。ホイール4本で2.4kgの増加。
バネしたの重量変化はハンドリングや乗り心地への影響が大きいので、見逃せない範囲かも(個人差あるかもですが)。
JB64/JB74ジムニー向けオススメのホイール
48Rの独断と偏見でオススメを紹介する。
ハードな四駆イメージならDELTA FORCE
ジムニーというか、四駆乗りに絶大的な支持を得ているデルタフォース。
48Rも深いコンケイブとエッジの効いたリムデザインでめちゃくちゃ気に入っている!
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性能重視ならA LAP-JかRPT1
純正アルミも結構軽いのだが、さらに軽いのがRAYSのA Lap-JとエンケイのRPT1。
JB64純正(16インチ 5.5J)が6.4kgに対し
エンケイRPT1(16インチ 5.5J)が5.9kg
A Lap-Jに至っては4.8kgである。
バネしたを軽くしたいなら、これで決まり。
(デルタフォースはけっこう重かった)
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クラシック系ならアピオ WILDBOAR SR
個人的にはクラシック系ではこのホイール!
こういうカスタムはJB74よりナローなJB64が映えるねぇ。
リム幅違いの性能まとめ
まとめるとこんな感じ。
ハンドリング | 乗り心地 | 太いタイヤ | 悪路の安定性 | 縁石ヒット | 重量 | |
リム幅広い | ○ | ○〜▲ | ○ | ▲ | ▲ | ▲ |
リム幅狭い | ▲ | ○ | ▲ | ○ | ○ | ○ |
え、結局リム幅5.5Jと6.0Jで、どれくらい体感差があるかって?
台上試験だと明確な差があるのだが、人間の評価試験ではプロドライバーなら絶対わかるレベル、普通の人だったら注意深く運転したら気がつくが、ぼーっと運転していると気がつかないレベルかな?!
ここまで書いていてその程度の差かい!!ってツッコミもきそうだけど、こういう豆知識も考えてホイールを選んだ方が楽しいじゃない?というブログ記事でした。
チャンチャン。
他にも「JB74ジムニーシエラ(☜クリック)」カテゴリーで様々なジムニーに関する記事書いてます。よろしければ、そちらの記事もどうぞ。