JB74の整備をしている時、作業手順は頭に入っているのに締め付けトルクを覚えてなくて、その都度自分の過去ブログを辿ってトルクを調べているのだが、トルクだけ一覧になっていると便利と思い、まとめてみました。
ブックマークして頂けるとすぐに締め付けトルク確認できて便利ですよ。
注:出典はJB74Wのサービスマニュアルです。JB64Wもエンジン部以外はほぼ同じ車体構造なので、締め付けトルクは共通です。
さっと目的の締め付けトルクを調べたい場合は「目次」を活用してください。
↓↓↓
48Rが使っているトルクレンチ
ジムニーの整備全てを1本でカバーできるトルクレンチはないので、下の2本を使用している。
①東日モータースポーツ用トルクレンチ MTQL70N[3/8sq] 10-70Nm
②BAL(大橋産業)トルクレンチ[1/2sq] 28-210Nm
①のトルクレンチは超オススメだし何十年も前からの東日の人気商品。
モータースポーツ用は東日の通常のプリセット型トルクレンチよりワイドレンジになっており、とても使い勝手が良いのだ。さらに信頼の東日なのでトルク精度はばっちりで、きっちり組みたいエンジン周りに最適である(昔はこれ1本でNSR-miniの車体整備、エンジンOHをしていた。オートバイならほぼこれ1本で完結するのでめちゃくちゃ便利です)。
②の高トルク側のトルクレンチは特にこだわりなしで、アマゾンなどでそれなりに使えそうで安めのものを選んでいる。そりゃ全部一流工具で揃えられたらベストなのだが、高トルク側が必要な足回りなどはそこまでシビアなトルク管理は必要ないので、廉価なものでも十分と思っている。
160N·mまでトルク範囲があれば、JB64/JB74の一般整備にはほぼ対応できる。
↑ホイールナット用のソケットもついているのがありがたい。
ちなみに、デジタルトルクレンチも持っている。
デジタルトルクレンチは指定トルクになるとブザーがなるのだが、カチッとショックがくるプリセット型に比べ音だけだと締めすぎやすい嫌いがあるので、メインでは使っていない。まあ、慣れればオーバートルクになりにくくはなるが、なにも考えずにカチッという手応えでトルクを感じられるプリセット型についつい手が伸びてしまっている状況である。
ただ、こいつは3N·mからセットできるので、自転車の小さめのボルトなど指定トルクが10N未満のときに使用するときには活躍している。
本記事でのトルク単位について
締め付けトルクは全てN·m(ニュートンメートル)で記載している。
以前はトルクの単位はkgf·mが一般的であったが、現在はSI単位系(国際単位系)への移行が義務付けられており、N·m単位が記載されていないトルクレンチやサービスマニュアルは存在しないので、N·mだけの記載で問題ないはずだ(48Rがkgf·mまで打ち込むのが面倒くさいのもある)。
どうしてもkgf·mがよければ
10N·m = 1.02kgf·m
で脳内変換してください(ほぼ1/10です)
JB64/JB74ジムニー エンジン周りの締め付けトルク
オイルドレンボルト(JB64/JB74共通)
- トルク:35N·m
- サイズ:14mmボルト
オイル粘度
SAE粘度 | JB64Wジムニー | 5W-30 |
JB74Wジムニー | 0W-16 | |
0W-20 | ||
5W-30 |
オイル使用量
規定量 | JB64W ジムニー |
オイル交換時 | 2.6L |
オイルフィルター 交換時 |
2.8L | ||
JB74W ジムニー |
オイル交換時 | 3.4L | |
オイルフィルター 交換時 |
3.6L |
オイルフィルター(JB64/JB74共通)
- トルク:14N·m またはパッキン着座から3/4回転
- サイズ:フィルターレンチ
スパークプラグ(JB64/JB74共通)
- トルク:18N·m
- サイズ:16mmスパークプラグソケット
トルクレンチがない場合は、手で締め込んでから指定回転角での締め付けもOKであるが、プラグメーカーによって指定回転角が異なるので注意が必要だ。
(指定回転角例) | 指定回転角(新品時) | 指定回転角(再使用時) |
NGK プレミアムRXプラグ | 1/2回転(180°) | 1/12回転(30°) |
DENSO イリジウムプラグ | 1/3回転(120°) | 1/12回転(30°) |
マフラー(JB64/JB74共通)
マフラーはJB64/JB74ともフロントパイプ、センターパイプ、リアピースの3分割構造。
それぞれの接合部の締め付けトルクを次に示す。
リアピースと中間パイプ
- トルク:50N·m
- サイズ:14mmナット
中間パイプとフロントパイプ
- トルク:50N·m
- サイズ:14mmナット
JB64/JB74ジムニー 足回りの締め付けトルク
ホイールの締め付けトルク(4輪共通)
- トルク:100N·m
- ナットサイズ:19mm
ちなみに、ホイールナットは対角線の順番で締めていくのが基本です。
ついでに100kmほど走ったら必ず増し締めしましょう。ホイールの位置が馴染んで、もう一度100N·mで締めると少し締まります(つまり、ちょっと緩んでいる)
ショック
フロントショック
- トルク:上側35N·m / 下側70N·m
- サイズ:上側12mmナット / 下側17mmボルトナット
リアショック
- トルク:上側70N·m / 下側45N·m
- サイズ:上側17mmナット / 下側17mmボルトナット
ラテラルロッド
フロントラテラルロッド
- トルク:両側160N·m
- サイズ:両側19mmボルト
リアラテラルロッド
- トルク:両側95N·m
- サイズ:助手席側17mmボルト / 運転席側17mmボルトナット
リーディングアーム
- トルク:フレーム側73N·m / ホーシング側95N·m
- サイズ:フレーム側17mmボルトナット / ホーシング側17mmボルト
トレーリングアーム
- トルク:フレーム側73N·m / ホーシング側95N·m
- サイズ:フレーム側17mmボルトナット / ホーシング側17mmボルト
スタビライザー
スタビライザージョイント
- トルク:両側50N·m
- サイズ:両側14mmナット
スタビライザーマウント
- トルク:両側23N·m
- サイズ:両側14mmナット
JB64/JB74の駆動系締め付けトルク
5MTトランスミッションオイル
- トルク:ドレンプラグ:23N·m / フィラープラグ 23N·m
- サイズ:10mmスクエアソケット
注意)ミッションのドレンやフィラーは座面があるボルトナットのねじ締結による張力で締めるのではなく、ミッションケースに開けられたテーパーネジにプラグをねじ込む方式になっている。テーパーネジの状態によっては23N·mでもオーバートルクでミッションケースを破る事例が発生しているので注意!
メーカー組み立て時の状態では青マーカーで印がついているので、48Rはそれを目安に締め込んでいる。
ミッションオイル | グレード | スズキ4輪ギアオイル75Wシンセティック | ||
規定量 | 1.2L |
トランスファー
- トルク:ドレンプラグ:23N·m / フィラープラグ 23N·m
- サイズ:10mmスクエアソケット
トランスファーオイル | グレード | スズキ4輪ギアオイル75Wシンセティック | ||
規定量 | 1.2L |
デフ
フロントデフ
- トルク:ドレンプラグ:55N·m / フィラープラグ 50N·m
- サイズ:ドレンプラグ17mm / フィラープラグ 10mmスクエアソケット
リアデフ
- トルク:ドレンプラグ:55N·m / フィラープラグ 50N·m
- サイズ:ドレンプラグ17mm / フィラープラグ 10mmスクエアソケット
デフオイル | グレード | スズキ4輪スーパーギアオイル75W-85シンセティック | ||
規定量 | フロント | 1.6L | ||
リア | 1.3L |
JB64/JB74ジムニー プロペラシャフトの締め付けトルク
No.1プロペラシャフト
- トルク:トランスファー側50N·m / ミッション側:ボルトナットなし(スプライン)
- サイズ:トランスファー側14mmナット
No.2プロペラシャフト
- トルク:フロントデフ側50N·m / トランスファー側50N·m
- サイズ:フロントデフ側14mmナット / トランスファー側14mmナット
No.3プロペラシャフト
- トルク:リアデフ側50N·m / トランスファー側33N·m
- サイズ:リアデフ側14mmナット / トランスファー側12mm
JB64/JB74ジムニー ステアリング系の締め付けトルク
ステアリングホイール
- トルク:32N·m
- サイズ:17mmナット
ステアリングダンパー
- トルク:車体側50N·m / ステアリングロッド側43N·m
- サイズ:車体側17mmボルト / ステアリングロッド側17mmナット
ステアリングロッド
- トルク:ナックル側43N·m / ピットマンアーム側43N·m / ステアリングロッドのロックナット65N·m
- サイズ:ナックル側17mmボルト / ピットマンアーム側17mmナット / ロックナット24mm(ステアリングロッドの周り止め21mm)
JB64/JB74ジムニー 室内の締め付けトルク
運転席助手席
- トルク:ドレンプラグ:55N·m / フィラープラグ 50N·m
- サイズ:ドレンプラグ17mm / フィラープラグ 10mmスクエアソケット
JB64/JB74ジムニー ブレーキ関係の締め付けトルク
ブリーダープラグ
エア抜き順序は下記の通り(サービスマニュアル記載)
リア左ブレーキ→フロント右ブレーキ→リア右ブレーキ→フロント左ブレーキ
フロント ブレーキブリーダープラグ(ディスクブレーキ)
- トルク:左右共に11N·m
- サイズ:左右共に10mm
リアブレーキ ブリーダープラグ(ドラムブレーキ)
- トルク:左右共に7.4N·m
- サイズ:左右共に8mm
キャリパーピンボルト(フロントディスクブレーキ)
- トルク:22N·m
- サイズ:12mm
JB64/JB74ジムニーのボディの締め付けトルク
ボディマウント
- トルク:車体前から60N·m / 60N·m / 113N·m / 60N·m
- サイズ:車体前から14mm / 14mm / 17mm / 14mm
JB64/JB74ジムニー 締め付けトルクまとめ
ねじはトルク不足だと緩むし、オーバートルクだと外れなくなったりネジ山を潰したりネジが折れたりトラブルの元。また、意外と知られてないがオーバートルクでもネジが伸びて張力が失われ緩んでしまう場合もある。
ジムニーいじりは楽しいが、事故を起こさないためにもトルクレンチを使って適切なトルク管理をしましょう。
他にも「JB74ジムニーシエラ(☜クリック)」カテゴリーで様々なジムニーに関する記事書いてます。よろしければ、そちらの記事もどうぞ。